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モニカを探して

 ロッソは街を走っていた。


「い、勢いで飛び出してきたけど一体僕は何処を探せばいいんだぁ!!」


 街のど真ん中で走りながらそんな叫び声を上げるロッソを周りの人は奇異の目で見ていた。


 当人はそんな事も気にならないほどに憔悴し、ゼェゼェと息を荒げる。


 こんな身体を使うことなんて、僕は苦手なのに……くそぉ……それに、モニカがどこにいるかなんて、僕に分かるはずがない。


 ひたすらに街を走り回るしか……。


「……いや、待てよ」


 ロッソはピタリと立ち止まる。


「もしかして、あそこか?」


 最後にモニカと会ったのは、ギドと共に「召喚魔法について聞くためにソウルに会いに行こう」と話をしていたあの時だ。


 もしかすると、僕らがソウルの力を問い詰めることになにか思う所があったのかもしれない。


 だとしたら、きっとあそこだ。


 僕と彼女が初めて出会った場所。


「.......モニカ」


 ロッソは急いでその場所へと足を向けた。


ーーーーーーー


 モニカは独り、ある小屋の中で立ち尽くしていた。


 かつて、数多くの人形を生み出すために日夜明かりが灯っていたこの小屋は、今や見る影もなくひっそりと静まり返っている。


「.......」


 ソウルは呪われた召喚魔法の使い手。


 だが、それが何だというのだろうか。


 それでも、ソウルはソウルだ。


 一緒に任務をこなしたモニカだから分かる。彼は優しい人としての心を持っていた。だったら、それ以上何もいらないはず。


 けれど、人はやはりそれだけで物事を判断できないんだろう。だからギドは、そしてロッソは……。


「だったら私だって……同じじゃないですか」


 ぎゅっと彼女は手袋をつけた手を強く握る。


 戒めとして、残ったその手を。


 あの優しくて真っ直ぐなソウルですらその力1つで忌み嫌われてしまうというのなら。


「じゃあ、この私はどうなるんですか?」


 モニカの呟きは闇の中にこだまして消えていく。


 そんな彼女の問いかけに答えてくれるものはいなかった。

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