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間章

「む?」


 膨大に積み上げられた書類を処理していたジャンヌは1枚の手紙を見つける。


「どうかされましたか、ジャンヌ様」


 白髪の大男ジェイガンは彼女の手が止まったことに気がついた。大量の書類を処理するために止めどなく動き続けるジャンヌには珍しいことだ。


「.......はぁ、あの男が帰ってくるらしい」


 ジャンヌは手紙に一通り目を通すと、がっくりとうなだれながら机に突っ伏した。


「あぁ...あの脳筋バカの騎士団長殿ですか」


 ジャンヌの言葉にジェイガンも頭を抱える。


「.......また面倒なことが増えそうですね」


 そんな2人の会話を聞きながら幸の薄そうな顔をしたハミエルも気だるそうに呟いてジャンヌに紅茶を渡した。


「ずっと帰ってこなくても構わないんだがなぁ」


 紅茶を受け取りながらジャンヌには珍しく愚痴を零した。


 彼女が本音を話せる人間はジェイガンとハミエルの2人だけ。素直な気持ちを垂れ流し、年相応の少女のように落ち込んだ顔をしている。


 そんなジャンヌの姿にジェイガンとハミエルは少し和みながら彼女を励ます。


「あの男の相手は極力私がしましょう。お任せくだされ」


「.......ウザ絡みでもしてこようものなら【ゲート】でどこかに飛ばしてやりますよ」


「すまないな、その時はよろしく頼むよ」


 頼りになる2人の存在にジャンヌは少し安心する。そして次の書類に手を伸ばすと、そこにはあの見習い騎士たちの名前が記されていた。


「.......うん」


 それに目を通すとジャンヌは自然と笑顔が零れた。


「ジェイガン。明日の私の予定をキャンセルしてくれ」


「よろしいのですか?」


 確かに明日の予定は大したものではないからキャンセルしても特に支障もない。


 しかし、生真面目なジャンヌはどんな些細な依頼でも完璧にこなそうとする。


 そんな彼女が予定をキャンセルするなど珍しかったのでジェイガンとハミエルは驚いた。


「うむ。あの子らが配下騎士フォロアーの件で直接話を聞きたいのだそうだ」


「.......へぇ、それは」


 ジャンヌは嬉しそうに告げる。それを聞いたハミエルも心なしか表情が明るくなったような気がした。


「そうですか、楽しみですな」


「あぁ。他の3人にも声をかけてやってくれ、きっと喜ぶはずだ」


 サルヴァン以来の可愛い後輩達の訪問にジャンヌはそっと心を踊らせるのだった。

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