コーラリアの戦い16
「おい、シーナ!アル!!」
ソウルは腕の中でぐったりとする2人の少女に呼びかける。
頼む、目を開けてくれ……!
「.......うぅ」
「.......ここは?」
ソウルの願いが届いたのか、シーナとアルはゆっくりと目を開く。
2人の身体はまだ痺れて動かず、視界もボヤけて何が起こっているか分からない。
感じるのは何かに受け止められている温かさと、ツンツンした黒い影.......。
「.......はっ」
「.......そ、ソウル?」
2人は思わず顔を真っ赤にする。今自分達はソウルに抱き抱えられている状態だった。
「は、離しなさいですわ!みんなが見ております!?」
「.......プシュウ」
2人はそれぞれの反応を返す。ソウルはそんな2人に構わずに強く抱き締めた。
「え、え?」
「.......ソウル?」
しばらくあたふたしていた2人だが、抱きしめてくるソウルの肩が震えていることに気がついた。
「よ...かった.......!無事で...無事で.......!お前らに何かあったら.......俺は.......俺は!!」
ソウルはボロボロと涙を流しながら嗚咽を漏らしていた。
アルとシーナは思わず目を見合わせる。そんなソウルがどこかおかしくて、同時にすごく安心して。お互いにクスクスと笑みが溢れた。
「全く、心配には及びませんわよ」
「.......ソウル、ありがと。よしよし」
2人はソウルの頭を撫でながらそう告げるのだった。
ーーーーーーー
「ひ...ひひっ。まさか.......俺がやられるなんて.......」
イマシュはその光景をただ呆然と見つめていた。
まさか、防御魔法への特攻がある召喚獣がいたとは……全くこの世は世知辛い事だらけだとそう思った。
「そうだ、君の負け。君はソウルに負けたんだ」
レイはそう言ってイマシュへと詰め寄る。
「ひ、ひっひっひ。だが、これであいつも終わりだ.......。俺が死ねば、我らが偉大な王はお前たちの敵になる。その時が来れば、お前達は.......!」
「それ以上口を開くな」
すると、レイの声が突如冷徹なものへと変わる。その豹変にイマシュは違和感を覚えた。
「.......てめぇ、その声?」
ザンッ
イマシュが言い終わる前にレイの剣がイマシュの首をはねる。
ま...さか.......てめぇは.......?
そう考えたところでイマシュの意識は途絶えた。




