コーラリアの戦い3【待ってた】
エリオットを縛る拘束が解けていく。侵された自身の身体が暖かい光に浄化されていくのが分かる。
それで……たったそれだけで、全てを理解した。
来てくれたんだ。
エリオットはそっと瞳を開く。
「.......ヴェン」
そこには微笑む幼なじみの姿があった。
それは、出会った時と変わらない優しい笑顔。あの海のように輝く青い瞳。
ずっと、待ちわびていた彼の姿が……とても、とても眩しかった。
「ごめんよ、ずっと待たせちゃったね」
ヴェンはエリオットをそっと抱きあげる。
彼の瞳に迷いはない。それは初めて出会ったあの時のように自信に満ち溢れたその姿は優しくもどこか力強い。
エリオットはそのヴェンに懐かしさと愛しさを感じる。
「.......ずっと...ずっと、待ってた」
エリオットは頬を染めながら満面の笑みでヴェンを見つめ返す。
「エリオット。ずっと、君に伝えなきゃいけないことがあったんだ」
ヴェンはゆっくりと着地しながらエリオットに告げる。何年も伝えられなかったこの気持ちを。もう決して揺るがない、この想いを……今ここで。
「僕は、君のことが好きだ」
本当は、もっと...もっとたくさん伝えたいことがある。けれど今は...…今この時だけは。これだけで全て伝わるような気がした。
エリオットの顔が真っ赤に染まる。やがて、彼女の瞳から大粒の涙が溢れ出した。
「ヴェン...私も.......私も、ヴェンが好き」
エリオットはヴェンの首に手を回し、ヴェンを力強く抱きしめる。
伝わった。まだ手が震えている。夢のようだけれど、手に伝わる彼女の体温が、彼女の全てが、夢なんかじゃないことを伝えてくれる。
もう離さない。誰にも渡さない。必ず、僕が守り切って見せる。
「愛してる、エリオット」
「私も...愛してる、ヴェン.......!」
そして2人は誓いの口づけを交わした。
互いの絆と想いを確かめるように。
ーーーーーーー
地を這うアイホートは怒りに身を震わせる。
まただ。また水の聖剣に全てを台無しにされた。
だが、もう1000年前の我ではない。この時のために、水の聖剣に復讐するために準備してきた。
「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!!!」
アイホートの叫びが洞窟中に響き渡る。それはまるで彼の怒りを体現するかのようだった。
ゴボゴボゴボ.......。
それに応えるかのように洞窟の中央の水穴が波打ち始める。
悔しいが、我だけではこいつを倒せないだろう。ならば数で圧殺する!そのためにいくつもの船を襲い、手下を増やしてきたのだ!!
アイホートの手下達が水穴へと集結する。
さぁ、行くぞ水の聖剣。今この瞬間こそ、我とお前たちの決着の時だ!!




