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出陣

 明くる日、ソウル達は港へと集合していた。


 いよいよヴェンの言う入江へと向かう時だ。


「じゃあ、段取りを説明するぞ」


 すると、エドワードはどこから仕入れてきたのか分からないが、小さな黒板に何かを書き込みながら告げる。


「ヴェンと43班、そしてギド。君たちがヴェンの言う海域まで進むんだ」


 エドワードはボートの絵を2つ描くと、前のボートにそれぞれの名前を書き込んでいく。


 絵は……下手くそかもしれない。


「僕とモニカ、ロッソは後方の舟で援護をする。そしてギド、君のワイヤーを1本僕らの舟に繋いで行ってくれないか?」


「あ?何でだ?」


 エドワードの不可解な要求にギドは首を傾げる。


「もしもの時に舟を捨てて逃げる必要があるかも知れない。その時はみんなギドに掴まってくれ。僕の魔法で一気に海域を脱出する。そしてモニカとロッソはその時に援護射撃を頼みたい」


「なるほどな。分かったぜ」


「了解しました」


「うん。遠距離攻撃なら任せてくれよ」


 それぞれが納得したように頷く。


「そして、43班のみんなは海域の調査。特にアルは最大限敵の接近に気を張っていてくれ。敵にいかに早く気づくかが命運を分けるだろう」


「お任せ下さいですわ」


 アルはエドワードに小さく敬礼を返す。やる気に満ちた彼女の耳は元気にピンピンと揺れている。


「残りのみんなは、とにかくヴェンの護衛を頼む。特にソウル。初日の森での戦闘は突っ込みすぎだった。気をつけてくれよ」


「き、気をつけるよ」


 エドワードの指摘にソウルは苦笑いする。確かに、あの戦闘は突っ込みすぎた自覚があるだけに気をつけなければ。


「それじゃあ、出発しようか」


 レイがそう告げると一行はそれぞれの舟に乗り込んでいく。


「ヴェン!」


 すると、桟橋の方から可愛らしい声が聞こえて来た。


「え、エリオット!?」


 ヴェンはこちらに向かって駆けてくる幼なじみを見つける。


 だが、やはり依然として彼女の顔を直視することができない。


 やがて、エリオットはヴェンの側までやってくるとはぁはぁと息を荒げながら彼の顔を見た。


「気を...つけてね?」


「.......う、うん」


 エリオットもヴェンにどんな言葉をかければいいのか分からないのだろう。お互いに困ったように目を逸らしあっている。


「.......ヴェン」


 だが、エリオットは意を決したように、ヴェンの手をギュッと握りしめた。



「エエエエリエリエリオット!?」



 どっかの早口言葉か。思わずソウルは心の中で突っ込んでしまう。


「私待ってるから、ね?」


 そう言ってエリオットはヴェンの手を彼女の額に当てるのだった。

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