出港1
「それではこれよりコーラリアへと出港する!」
晴天の空と青い海を背景に、ブラウンは高らかに告げる。
「いよいよか...」
色々と不安要素は抱えたままだが、ついに任務の場、【コーラリア】へと旅立つ時が来た。
「色々と大変そうではあるけど、新しい土地に行くのは楽しみだね」
レイは隣でそう言って笑う。
「コーラリアは海賊が出るまでは観光地としても有名だったからな」
「うむ。島の美しさはイーリスト国の中でも屈指らしいぞ」
それを見たギドとエドワードも楽しそうにしている。
「私は...まぁ普通です」
モニカはそう言いながら顔を逸らす。その顔は少し綻んでいるように見えるが。
「おいおい、素直に楽しみだって言えよ?おませさんだなぁ」
「だっ、誰がおませさんですか!?」
すると、ギドは強がるモニカをおちょくり始めた。
「そうそう。モニカはいつもそうやって大人びた態度をとろうと.......」
「ロッソにだけはいじられたくありません!」
「いたぁ!?なんで僕だけ.......って痛いっ、痛いってぇ!?」
「はっはっは」
ギドに便乗しようとしたロッソがモニカから鉄拳制裁を受け、エドワードはそれを楽しそうに眺めている。
本当に47班は仲がいいなぁと思いながらソウルも船に乗り込むのだった。
ーーーーーーー
「.......」
「.......ほら、行きますわよ」
黙りこくるシーナにアルが声をかけると、シーナは黙ったままついてきた。
全く、昨晩私は何故こんなに取り乱してしまったのだろうとアルは深く後悔する。
シーナがソウルの名に反応した瞬間、アルも完全に自制を失ってしまったことを自覚していた。
こんな感情は初めてだった。.......いや、子どもたち相手に怒ることは多々あった気はするが。
薄々、気付いている。この感情が何なのかということを。だが、それが任務に支障をきたしてしまってはいけないことも理解している。
「はぁ、しんどいですわ」
こんなことなら気づかない方が良かったと思いながらコーラリア行きの舟へと乗り込むのだった。




