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詳しく聞かせてくれよ

「「人魚にあったことがある!?」」


 ソウルとレイは声を揃えて叫んだ。まさかの人魚の目撃情報にソウルは空いた口が塞がらない。


「は、はい」


 そんな2人の様子に少し困惑した様子でヴェンは頷く。


「ど、どこで!?」


 ソウルはたまらず身を乗り出してヴェンに問い詰める。


「む、昔海で溺れたことがあったんです」


 ヴェンは話すのを少し躊躇う素振りを見せるが、やがてふぅと息を整え、意を決したように話し始めた。


「幼なじみの...エリオットって言うんですけど、その子と遊んでるうちに彼女の髪飾りを崖に落としてしまって...。それを取りに行こうとしたら海まで真っ逆さまに.......」


「よ、よく生きてたな」


 その崖がどれほどの高さかは分からないが子どもが崖から落ちて無事に生きて帰って来れただけでも幸運だろう。


「ほんとにですよ。運良く岩とかにはぶつからなかったんですけど、潮の流れがきつい岩礁地帯だったので、そのまま海の底まで引きずり込まれちゃって」


「ますます絶体絶命じゃないか」


 レイは苦笑いしながら告げる。


「でも、そこに人魚が現れて僕のことを助けてくれたんです」


 そこまで語ったヴェンは、ハッとしたような顔をしてあたふたとし始めた。


「で、でもあれが本当に人魚だったのか...それともぼくが見た幻だったのか、今でも分からないんです。次に意識が戻った時には1人で浜辺で倒れていて幼なじみのエリオットが泣きながら.......」


 そこまで話したかと思うと、突然ヴェンの顔が赤面した。


「.......どうした?」


 様子がおかしいヴェンにソウルは問いかける。


「いえ、なんでもありません」


 ヴェンは動揺を隠そうとしているようだが逆にあたふたして明らかに平常心を失っている様子だ。


「.......へぇ」


 それを見て何かを察したレイはニヤニヤする。


「ヴェン、君その幼なじみのエリオットの事好きなんだろ?」


「えっ!?いやっその!?」


 すると、ヴェンは顔を真っ赤にしながら動揺している。おぉ、これは図星だな。


「.......詳しく聞かてくれよ、ヴェン」


「.......悪いようにはしないからさ」


「あ、あぁ~.......」


 ジリジリとにじりよってくるソウルとレイにヴェンは力ない悲鳴をあげた。

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