宿屋探し
4人は近くの市場で安い宿がないか聞き込みを始めた。
ちなみにギド達にはこれ以上迷惑もかけられないので別々の宿に泊まることになった。
「えー、別に俺はおめぇらと同じでもいいけどよぉ」
「ダメです。あなたはアルとシーナの美人2人がいたらまた覗きとかするでしょう?別々の宿に泊まりますよ」
「べべ別に俺はそんなことしねぇし?」
「声が震えているぞ、ギド」
「サイテーですわね」
「.......最低」
「うご.......」
そんなやり取りがあったとか無かったとか。
なので今こうして安い宿屋を探すために町の人々に尋ねて回っているというわけだ。
「へい、らっしゃいにいちゃん!今日は何を探してんだい?」
町を歩いていると、褐色肌でマッチョな漁師が声をかけてくる。
「すみません。この辺で1番安い宿を探してるんですけど、どこかいいとこありませんか?」
「あぁん?そんなもんあるっちゃあるが...予算は?」
「で...できるだけやっっっすい宿がいいんです...その、手持ちがなくて」
ソウルは頭をガシガシとかきながら答えた。
「あぁ~.......この町で文句無しの安い宿なら知ってるが.......あんまりおすすめしねぇぞ?」
漁師は顔をしかめながら言いにくそうにしている。
「それでも構わないんでお願いします」
「だったら、あそこしかねぇなぁ」
そんな感じでいくつか聞いて回ると、どこの誰しもが同じ場所の同じ宿屋を教えてくれた。
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「【マーメイド・ボゥ】?」
「あぁ。どこの誰に聞いてもそこが1番安いんだってさ」
首を傾げるレイにソウルは告げる。
「マーメイドって、人魚のことですわよね?」
「うん。正直どの人も複雑そうな顔してたからあまりいい宿屋ではないんだろうけど、もしかしたら人魚のことも聞けるかもしれねぇし、そこに泊まってみたらどうかと思うんだ」
「そうだね。ただでさえ雲をつかむような任務内容なんだし、面白そうかもね」
こうしてレイもソウルの提案に乗ってくれる。ただでさえ藁を掴むような任務なのだ。意外とこういう地道なところで情報は転がっているかもしれない。
まぁ、何より安いということなのでソウルとしては願ったり叶ったりだ。
「了解ですわ」
「.......」
アルは彼女の耳を嬉しそうにパタパタと揺らしながら答え、シーナは黙って頷く。
こうして4人は【マーメイド・ボゥ】へと足を運んだ。




