19/1167
間章
エドワードは代々由緒正しい貴族の生まれだった。
家訓として、民を導く者は常に品位を重んじ、民の誇りとなるように振る舞わねばならない。
そして、エドワードの父は彼の誇りだった。常に凛とし、民を導くその背中は偉大でエドワードの理想そのものだったのだ。
…あの日が来るまでは。
父が下女と関係を持っていたのである。当然母は激しく父を責め立てた。
エドワードもせめて、貴族としての誇りを守るため、父には責任を持った行いを望んだ。
しかし、現実はそうはいかなかった。父は下女をいなかったことにし、母も力で押さえつけたのだ。
この一連の事件は他の貴族の耳へと入り、激しく言及、名誉は地の底へ堕ちた。
「.......僕は、父とは違う。他の貴族の評価などどうでもよい。だが、上に立つものが愚図であれば民はどうなる?生きているだけであの愚図の民と蔑まれることになる。それだけは、それだけは我慢ならない。だから、だから騎士となり、民が誇れる貴族となる!」
幼いエドワードは固く誓った。




