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コーラリアの人魚姫

 ひとしきりエドワードの黒歴史を根掘り葉掘り引き出してひと段落ついた所で今回の任務の話となる。


 ちなみに、エドワードは恥ずかしさで疲れ果てたのか、隅っこの席でぐったりとうなだれていた。


「今回はコーラリアなんですね」


 オリビアがお気に入りのエールを飲みながら呟く。


「あぁ。オリビアはコーラリアって所がどんなところか知ってるのか?」


「そうですね...確かに人魚伝説のゆかりの地である事は知ってますよ」


「人魚伝説?」


 ギドは豪快にビールを飲みながらオリビアに問いかけた。


「えぇ。確か【コーラリアの人魚姫】っていう御伽話があるんですよ」


「.......どんなお話なの?」


 少し酔っ払ったシーナがポケ〜っとしながらオリビアに尋ねた。


「よしよしシーナ。うーん、昔の記憶だからあまり詳細には覚えてないんだけど」


 オリビアはシーナの頭を撫でながら思い出すようにあらすじを語ってくれる。


「むかしむかし、コーラリアの海を支配していた白くて大きな怪物がおりました。ある時怪物が近くを通り掛かった船を襲い、船に乗っていた勇敢な船乗りを海に放り出してしまいます。それを見かねたある人魚は沈みゆく彼を助け出すことにしました。そして自身を助けてくれた人魚に船乗りは恋心を抱くようになります」


「ふむふむ」


 アルも興味深そうに身を乗り出しながらオリビアの話に聞き入っている。


「人魚も船乗りに惹かれて2人は恋に落ちます。しかしそれを知った海の怪物は、人魚に怒り狂い彼女を捕らえ、見るもおぞましい怪物へと姿を変えようとしてしまいます」


「そ、それは大変です」


 モニカがあわあわとし始める。この子意外と子どもっぽいよなぁ。


「それを知った船乗りは人魚を助けるために戦いを挑むことを決意しますが、彼の力では怪物を倒すことはできません。そこでその島に眠る伝説の剣を手に怪物に戦いを挑み、怪物を打ち倒すことに成功します」


「その島にたまたま伝説の剣があった...ねぇ。なんかご都合主義だな」


 ギドがはぁとため息をつく。


「まぁ、物語ですからね。そして怪物を打ち倒した船乗りと人魚姫は末永く幸せに暮らしましたとさ」


 物語を語り終えたオリビアはパンと手を叩いて物語を締めた。


「いい話ですわ」


「は、はい」


 アルとモニカは2人で感極まった様子で拍手をしている。


 ちなみに話のあらすじを聞いたシーナは本人はオリビアにもたれかかりながらスースーと寝息を立てていた。


「よくあるおとぎ話だね」


 ロッソはちびちびとお酒を飲みながら告げる。


「えぇ、よくある御伽話ですけど、私はこの話好きでしたよ。いつか私もいつかこんな風に誰か素敵な人が助けてくれないかなぁって、夢見たりしてました」


 オリビアは少し照れくさそうに語る。


「まぁ、そんな時期もあるよなぁ」


 孤児院にいた時もそういうのに憧れる女の子はいた。きっと女の子とはそういうものなのだろう。


「えぇ。女の子ってそういうものなんです。だから、もし私に何かがあった時はソウルさんが助けに来てくださいね?」


 するとオリビアは上目遣いでソウルを見つめながら告げた。


「おぅ。もちろんだ」


 ソウルは即答する。普段からお世話になってるんだ。もちろんオリビアのためならいつだって全力で力になるつもりだ。


「う〜ん、ちゃんと意図が伝わってるか微妙ですね」


 しかし、オリビアはソウルにジト目を向けている。


「え?意図?」


 何かまずい事を言ってしまっただろうか?


「もう、知りませんっ」


 ついにオリビアはそっぽを向いてしまった。


「.......なるほど。レイ、お前苦労してんな」


「.......この苦労を理解して貰えたのは初めてだよ」


 人知れずギドとレイはそんなことを言い合うのだった。

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