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再招集の朝②

「お、今日は早かったね」


「うるせー。たまには早く来たっていいだろ?」


 ソウルはレイをジロリと睨むがレイはあっけらかんとしている。


 まだシーナとアルは着いていないようだ。


「うーん、でも珍しいね。シーナがこんなに遅いなんて」


 レイは時計を見ながら告げる。


「そうなのか?」


「ソウルはいつも遅刻してるから知らないだろうけど、シーナはいつも僕より早く来てるよ」


「マジか」


 シーナの事だからもっとマイペースに来てるものだと思ってた...。


「.......早く会いたい人がいるのからかもね」


「ん?どういうことだ?」


「自分の胸に聞いてみなよ」


「全く理解できないんだが.......」


「ほんと、シーナがかわいそうだなぁ」


 レイは遠い目をしている。何だ。おれが何したって言うんだ。


 そんなやり取りをしていると何やら周りが騒がしいことに気がついた。


「ん?」


 見ると人だかりができている。そしてその人だかりはどんどんこちらへと向かって近づいてきているようだ。


「な、なんだ?」


 見るとその先頭には見慣れた銀髪の少女と兎の耳をした少女がいる。


「だぁかぁらぁ!!いい加減にしなさいですわぁぁぁあ!!」


「.......迷惑っ!」


「そんなこと言わずに是非!」


「我々と共にくれば未来安泰だ!」


「おれの嫁になってくれよ!」


「馬鹿野郎!抜けがけはなしだ!!」


「.......」


「.......」


 ソウルとレイは状況が理解できずに目を見合わせる。


 どうやらアルとシーナが大量の騎士だと思われる男達に追いかけ回されているようだが.......何故?


「そ、ソウル!レイ!!」


 するとアルがソウル達をを見つけた様子でこちらへと走ってくる。


「わ、私達はもうすでに彼らと同じチームに所属しております!だからもう付きまとうのはお止めなさいですわ!」


「.......っ!っ!」


 アルとシーナはそのままソウルの背中に隠れると追いかけ回してくる男達にそう叫ぶ。


 いや待て待て待て待て。


「おぅ、てめぇ確か魔法が使えねぇ野郎だったな.......」


「おれ達のアル様に手ぇ出してタダで済むと思ってんじゃあねぇぞ?」


 男達の殺気が一斉にソウルに向けられる。


「ちょ、アル!?これはどういう事だ!?」


 状況を理解できないソウルはアルに悲鳴を上げるように尋ねた。


「え、えーと...実は生活費が足りなくて、ある喫茶店のお手伝いをしているのですけれど、それからずっと付きまとわれておりまして.......」


 アルは言いにくそうに目を逸らす。


「アル様はおれ達が守るんだ!お前なんぞに任せておけるか!」


「ぶち殺されたくなかったらアル様をおれたちに渡せぇ!」


 やばい。マジで殺されそうな勢いだ。


「.......で、シーナは何で?」


「.......アルと一緒に歩いてたら巻き込まれた」


 シーナはソウルの背中でブルブル震えている。余程怖かったようだ。少し涙目になっている。


 よ、よし。ここはおれが男らしくビシッと言ってやらないとダメだな、とソウルは男達の前に出る。


「お、お前ら!アルとシーナが怖がってるから.......」


「あぁん!?」


「アル様とちょっと仲がいいからって調子に乗ってんじゃあねぇぞ!?」


「○▼※△☆▲※◎★●!」


「∴÷;¥!”#$%&’()=◎~|▽♪>?+*‘P`={}_?>□●@!?」


「.......」


 ソウルは予想以上の反撃に心が折れそうになる。とても世間に聞かせられるレベルの罵詈雑言を超えているのだが...。


「全く、君たち。いい加減にしないか」


 すると、レイがやれやれとソウルの前に出る。


「あぁ!?てめえも邪魔する気.......」



「ぼくが笑っているうちに消えなよ?」



 レイはにこやかに笑う。


 それはまるで花びらが溢れるかのような爽やかな笑顔だった。.......目以外は。目からは異様にどす黒いオーラが溢れて出している。


 その異様な圧力に男達は勢いを失う。


「もう行ってもいいよね?」


「.......く、くそ」


 その圧力にやられた男達は散りじりと散っていく。


「あ、ありがとうですわレイ」


 アルはほっとため息をつく。


「いえいえ。大変だったね」


 そんなアルにレイはケラケラと笑いかけた。


「.......」


 助けようとして返り討ちに合って、そしてレイに助けられるという1番かっこ悪い醜態をさらしたソウルはがっくりと項垂れた。情けなさすぎる。


「.......ソウル、よしよし」


 シーナはそんなソウルの頭を撫でて励ましてくれるのだった。

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