シーナのおしゃれ
再招集まであと2日のこの日、ソウルとシーナは夕食を食べにいく約束をしていた。
本来はソウルがビーストレイジに拉致されている間心配をかけたお詫びとしてレイとシーナの2人に奢る予定だったのだが。
「ごめん、その日急に抜けられない大切な用事が入ったから、2人で行ってきてくれよ。アーイキタカッタケドシカタナイヨナ」
と、レイが急遽キャンセルすることになりシーナと2人で行くこととなった。
「少し早めに着いておいた方がいいよなぁ」
ソウルは集合時間より10分ほど早く着くように家を出る。
外は程よく暗くなってきて町はカップルで溢れかえっている。この中シーナと一緒に街に出るのか。
「.......何意識してるんだ俺は」
ソウルは深呼吸して息を整える。冷静に考えてみたら夜2人で食事に行く.......これって、デートなのではないか?いや、待て待て待て。シーナはそんなこと...思ってる.......はず.......。
「ない.......のか?」
ソウルは口に出してみて少し悲しくなる。
そもそも、シーナにとってソウルはどんな存在なのだろうか。
正直ずっと気になっている。シーナはあまり感情を表に出さないし、突然ツンケンとした態度をとる。かと思えばこの前のように抱きついてきたり、ソウルに「ずっと一緒にいる」と伝えてくれたり.......。
「.......」
ソウルは思い出す度に顔が熱くなる。
「ダメだダメだ!」
意識してしまうとシーナの顔が見れなくなってしまう!普通にご飯を食べて普通に話をしよう。そうしよう。そう自分に言い聞かせながら待ち合わせの広場へと足を運んだ。
ーーーーーーー
「.......」
「.......え...と」
待ち合わせ場所には既にシーナが待っていた。
普段の動きやすそうな質素な服とは違ってベージュの短パンに胸元が少し開けた黒い飾り付けの多い服を着ていた。
シーナのほっそりとした白く綺麗な肌が黒の服によって強調される。そして彼女の銀の髪が黒と対称となっていつもより綺麗な輝きを放っていた。
「.......ど、どうかな?」
シーナは頬を赤らめながら消え入りそうな声で告げる。
「え...と.......」
きっと今日の服についての感想を求めているのだろうということは流石のソウルにも理解できた。
こんな時、どんな言葉をかけるのが正解なんだ?あぁ、世の中の素敵な男性かレイ。教えてくれぇ!
ソウルは何とかいい言葉を返そうと思考を巡らせるも、やっぱり気の利いた言葉なんて出てこない。だから、素直に思った事をそのまま告げた。
「に、似合ってる」
ソウルも小っ恥ずかしくなりながらもなんとか言葉をしぼりだす。ここまで頑張って絞り出せたのがそれだけかよ、とうなだれそうになる。
「.......そか」
だが、シーナは一瞬目を丸くしながらも顔を真っ赤にしてどこか嬉しそうに呟いた。
「お...おぅ.......」
そんなシーナにまた見惚れながらしばしソウルはその場に釘付けになるのだった。