奴とは違う
「ソウル.......離して.......あいつは私が殺すのですわ.......!」
まだアルはソウルの腕の中で暴れていた。
「.......アル、俺はお前があいつを殺すとこなんか見たくない」
ソウルはそんなアルを必死に抑える。
アルの頭突きがソウルの顔にぶち当たり、アルの爪が肌を削る。それでもソウルは力を緩めない。
「あいつは...あいつは、お母さんの仇なのですわよ!?あなたに何の権利があって私を止めるというのです!?」
アルの茶色い瞳がソウルを睨む。
「それでも、例えどんな奴だったとしても俺はお前に実の父を殺して欲しくない!」
ソウルは訴えかけるようにアルを羽交い締めする手に力を込める。
「実の父親を殺した手で、親を無くしたあの子たちを抱きしめることが.......できるか?」
「.......っ!」
ソウルの言葉にアルの体が脱力する。
アルの脳裏をよぎるのはいつも笑顔でアルを迎えてくれる4人の子ども達の顔だった。
「あなたは.......残酷ですわ」
そしてアルは声を上げて泣き始めてしまった。
分かるよ、この世で1番憎いやつを目の前にしてそれを抑える辛さは。俺もガストを失った時に.......。
「俺達は、あの子たちが笑って生きられるように戦うんだ。私欲のために戦う奴とは違うってところを見せてやろう」
そしてソウルはアルを抱きしめながらレグルスの戦いを見守るのだった。




