決断
時は少し遡り、ソウルとアルが話をしていた頃。
レグルスは1人、町の外れ...かつてケインとハルが結ばれた獅子の岩の上へと足を運ぶ。
「ソウルは本当にいいやつだ。短い付き合いでも分かる。.......不思議な奴だ」
人間を信じられなかったレグルスの心を変えたのはソウルだった。あの良くも悪くもまっすぐな青年はレグルスの迷いも晴らしてくれた。
だったら、もう立ち止まることはない。
レグルスは獅子の岩の上に立つ。
獅子の岩はあの頃と同じくサルヴァンの町を見下ろしている。ここからの景色は変わらない。変わったのは町の中身だけだ。
「貴様があのソウルの上に立つ者ならば、きっとお前は信用にするに値する人物なのだろう」
レグルスは決意を固め、拳を強く握る。
「俺は最後にもう一度、人間を信じる。だから、お前も答えてくれ、聖女ジャンヌ」
そしてレグルスは右手にマナを込めた。
かつての友と決別するように、全ての因縁に決着をつけるために。
「これが俺の最後の戦いだ!【メテオブレイク】!」
ゴッ!
轟音と共に獅子の岩は崩壊を始めた。
ーーーーーーー
「.......そうか、決心がついたか」
ジャンヌは崩れ落ちる獅子の岩を見つめる。
「では、私たちも動かせてもらうぞ。この町を救うために」
そう呟きながらジャンヌは決意を固めた。
ーーーーーーー
「.......」
崩れ落ちる獅子の岩を眺めながらケインは過去を振り返る。
「な、何事です!?」
その隣でサイルは慌てふためいていた。
「安心くださいサルヴァン公。大したことはございません」
ケインはサイルに告げる。
「.......来い、レグルス。機は熟した。おれはこの時を10年待ったんだ。全てに決着をつけるぞ」
そう呟きながらケインは手のグラスを握りつぶした。




