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ソウル、告白大作戦1

「レイ、相談がある」


 朝、起きると同時にソウルは隣のベッドで眠っていた相棒にそう切り出した。


「な、何だい突然」


 そんなソウルの様子にまだ寝ぼけ眼のレイは少し困惑した顔をした。


「こ、告白って……どうやればいいんだ?」


 ソウルは頭をガシガシとかきながら小っ恥ずかしさを誤魔化すように尋ねる。


「告白って……シーナに?」


「あ、あぁ」


「でも、もうシーナに気持ちは伝えたんじゃなかったの?」


「ダゴンとの戦い中に……勢いで好きだって伝えた。でもあれ以降シーナとろくに話もできてない」


 レイは昨日奇声をあげながら走り去るシーナの姿を思い浮かべながら苦笑いする。


 確かにあれでは2人の関係はどうなのかとソウルが不安になる気持ちも分かる。


「だから、改めてちゃんとシーナに気持ちを伝えたいんだ。あんな土壇場じゃなくて、ちゃんと面と向かって……はっきりとさせたい」


「そっか……ソウルがそう言い出すとはちょっと意外だな」


 てっきりシーナの方がモヤモヤを抱えきれずに泣きついてくるかと思ったが、予想外なことにソウルの方からこんな相談が来るとは。


 誰かに後押しでもされたんだろうか、なんて思ってみる。


「だから、ちゃんとシーナに告白をしようと思ったんだけど……どうやれば良いのか分からん」


「あぁ……なるほどね」


 だからシーナに面と向かって自身の気持ちを伝える。そしてちゃんとした関係になる。


 だが、ソウルにそんな恋愛経験なんてない。何が正解で何が良くないのかも分からない。


 きっとレイならその辺の経験もあるだろうし、無かったとしてもしれっとうまくやるような気がする。だからレイに聞いてみることにしたのだ。


「こう……おしゃれな馬車で迎えにいくのが良いのか?それともダンスパーティに誘うのか?」


「待って待って。そんなところからなの?」


 ウブなソウルを見てレイは苦笑いする。


「物語の読みすぎじゃない?」


「で、でも!俺の恋愛の知識なんて昔読んだ本ぐらいしかないんだよ!」


「あんなのは子ども向けの物語なんだからそれを真に受けたらえらいことになるよ」


「マジかよ!ならどーすりゃいい!?どこで何をすりゃあ良いのか教えてくれ!!」


「そうだなぁ……」


 頭を抱えて嘆くソウルを見て、ふとレイは思う。


「別に、僕に倣う必要もないんじゃないかな?」


「なぁ!?そんな!ここまできて見捨てるのか!?」


「別にそんなつもりはないけど」


 ケラケラと笑いながらレイは続ける。


「大事なのは気持ちでしょ?だから下手な小細工を仕掛けるよりも、どんな風に伝えたらシーナが喜ぶのか、どうやって気持ちを伝えられるのかを考えたらどう?」


「どんな風に伝えたら……?」


「そう。他の人がどうだとかって考える必要はないよ。だってこれはソウルとシーナの関係なんだ。どうすればシーナが喜んでくれるのかを考えてソウルが決めるべきことなんじゃないかな?」


「な、なるほど……シーナが喜んでくれること……か」


 レイのアドバイスにソウルは思わず感嘆の声を上げる。


 そうか……いかにかっこよく告白できるかなんてことを考えていたが、それではどこかでボロが出る。何よりソウルらしくない。


 だったらソウルらしく……シーナが喜んでくれるように。一体俺はシーナに何をしてやれるのだろう。


「うーん……正解がない方が難しいぞ」


「あはは。そうだよ、こんなの正解なんてないんだから。ソウルの思うように悩んでやってみなよ」


「……ぐぎぎ」


 ニヤニヤとソウルを見るレイを見てソウルは歯痒い想いに駆られる。


 でも、それもそうかと納得。他の人の真似じゃなくて、ソウルがシーナにしてやれる最大を考えよう。


 どうすれば良いだろうか。確かシナツはエリーさんを連れて空で想いを伝えたと聞いている。


 だったら、俺はどうするべきだ?


「……よし」


 ソウルは勢いよく立ち上がり、駆け出した。


「サンキュー、レイ!俺頑張るよ!!」


「うん。応援してるよ、いってらっしゃい」


 そしてソウルは勢いよく部屋を飛び出してどこかへと駆け出して行った。


「……ようやく、ソウルらしくなってきたじゃないか」


 そんなソウルの背中を見送りながらレイはそんなことを呟くのだった。

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