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ヴルガルド革命【産業区解放戦5】

 新たに現れた木彫り人形ロベルト。


 その姿を見てロイガーは笑う。


「新たな人形を出そうとも何も変わらんよ!何度でも奪ってやる!」


 再び放たれるロイガーの触手。対するロベルトは狼狽えることもなく、悠然とそれを迎え撃つ。



『さぁ、モニカちゃん。僕の力を使って。僕の力ならあのふざけたミミズを倒せるはずだよ』



「ロベルト……!」


 モニカの目から涙がこぼれそうになる。これまで、何度も言葉をかわそうとして、決して答えてくれなかった2人のうちの1人。


 そのロベルトが遂に、モニカの呼び掛けに答えてくれた。


 その事実がモニカの体に力を沸き上がらせた。


「ありがとう……ございます!必ずスプリングと巴を助け出しますよ!」


 そして、モニカはマナを溜める。


 新たに目覚めた力。冠された名は……。



「【分霊】に【炭火(たんか)】のマナ!お願いします、【ロベルト】!!」



 ロイガーの触手から放たれる白い胞子。モニカの人形を奪いし侵略の芽。


 対するロベルトは……!


『【点火(トーチ)】』


 ボッ


 ロベルトの木の身体に赤い光が点る。


 そして次の瞬間、ロベルトの身体が一気に燃え上がりその全身を炎で包み込んだ。


「な……!?」


 ロイガーの胞子はロベルトの炎に焼かれ、塵となって消える。


 ロベルトの魔法。それは炎の力。


 全身に炎を灯し、火力を底上げする魔法。


『さぁ……』


 ロベルトの握る槌にも炎が宿る。


『久々に暴れさせてもらうね。【フレイム・ダンサー】!』


 ロベルトがそう告げると共に、彼の姿が消える。


 シュドドッ


 体に宿る炎を推進力に、高速移動。スプリングと巴の首の後ろに生えるキノコを叩き飛ばす。


 するとキノコが一気に燃え上がり、灰になってシュタールの風に飲まれて消えていった。


 2体の人形達はそのまま体から力が抜けたようにその場に倒れ込んだ。


「この……!私の下僕共をよくも!」


 ロイガーは折角奪った下僕を取り返されて怒りに震える。


 あの全身燃え上がる人形は厄介だ。ロイガーの寄生の元である寄生キノコを絶ってくる。そして胞子があの人形に取り憑く前にあの全身の炎で焼かれてしまう。


 属性の相性とはまた違う魔法の相性。


 先程までそれで優位に立っていたはずのロイガーが逆に追い詰められる。


「だが……!」


 手がない訳じゃない。


 外がダメなら内側から侵食すればいい。あの人形の身体を触手で穿ち、中身に侵食の胞子を叩き込む。それしかない。


 ロイガーは自身の触手にマナを込める。


「【寄生】に【突撃】のマナ!【ストローマ】!!」


 ロイガーの触手が超速でロベルトに迫る。


 対するロベルトは手にした槌で触手を叩き伏せる。


 ドンッ!


 すると、殴られた触手が内側から弾け、爆発する。


「ぐ…なぁ……!?」


 文字通り内側から焼けるような痛みを受けて、ロイガーは怯む。


『さぁ、ここまでにさせてもらうよ寄生獣ロイガーとやら』


 破裂した触手の向こうから、ロベルトがロイガーを睨む。


 そして、そのまま超速でロイガーめがけて飛び込んでくる。


「く、来るなぁ!?」


 ロイガーは触手をロベルトへと叩きつける。だが、そんな単調な攻撃はロベルトには通用しない。炎を纏った鎚でまるでモグラ叩きのように全て打ち倒されていく。


 打ち倒された触手の中にロベルトの炎が流し込まれ、内側から爆散。ロイガーの触手は次々と弾けていく。


 それだけではない。触手に燃え移った炎がまるでまとわりつく亡霊のように絡みつき、その身を燃やしていく。


「ひ、ひいいいっ!?」


 触手からロイガーの本体に広がるロベルトの炎。


 ロイガーはただそれを震え上がりながら見ることしかできなかった。


 そして、恐怖はまた視野を狭くする。


 ロベルトはおののくロイガーの背後に回り、鎚を構える。


「あ……」


『チェックメイト』


「【ヒート・スタンプ】!!」


 ロベルトの槌がロイガーの背中を穿つ。ミシリ、と鈍い音を立てると同時。ロイガーの腹部が赤く染まる。



 ドンッ!!



 そして、ロイガーの腹を炎が突き破り、その身を破壊して見せた。

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