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ヴルガルド革命【ゼリルダの選択3】

 ゼリルダなら、力で全てが決まるヴルガルド国を変えてくれる。


 アイザックはそう信じている。


 だからこそ、俺はお前の元で戦う道を選んだ。お前の進む道を切り開く矛となる道を。


「さぁ、行けゼリルダ。お前の兄に会いに……お前が何を信じ、何をすべきか確かめろ」


「ふむ……心意気は結構。だが私とてこのままゼリルダ様をお通しするわけにはいきませんのでな……それ相応の抵抗を……」


「【白光(びゃっこう)】を【武装】!【ロンギヌス】!!」


 アイザックの握るランスが白い閃光を纏う。そしてその瞬間、アイザックのランスが超高速で横に薙ぎ払われる。


 ズドン!!


 そしてダゴンの身体を吹き飛ばし、城の壁へと叩きつけた。


「あ、アイザック……」


「行け、ここは俺が受け持つ」


 ランスを構えながらアイザックはゼリルダを庇うように立ちはだかる。


 だが、これ程の一撃をモロに食らったのだ。ダゴンはこのまま倒してしまったのではないかとシーナは思う。


「ぐ、ぬぬぬ……流石は【白き閃光アイザック】。速すぎて回避するのも一苦労だ」


 しかし、壁に叩きつけられたダゴンは何事も無かったかのように立ち上がる。見るとどうやらあの速度の一撃をガードしたらしい。プルプルと腕を振って痛みを誤魔化しているようだ。


「さぁ、早くいけ!」


「ど、どうする……!?」


「……っ」


 ゼリルダは腕を組んで少し考えた後、シーナとオデットの手を引く。


「ぬぁあ!!ここは任せたぞアイザック!ありがとう!!」


 ゼリルダはアイザックに背中を任せてここを抜け出すことを選んだ。


ーーーーーーー


 ゼリルダが城を飛び出して兄を探しに行った。


 よし、これでいい。あとはダゴンをここに足止めするだけか。


 アイザックは思案する。このままダゴンとヒュドラ2人を同時に相手するのは少々分が悪い。ならば。


「決闘といこうか、ダゴン」


「ほぅ……」


 アイザックの申し出にダゴンは笑みを浮かべる。


「お前が俺を倒したならば、ゼリルダを後から追いかけるがいい。だが、もし俺が勝った場合は……」


「ゼリルダ様を見逃せ……か」


 ダゴンは変わり者だ。紳士的だのなんだのということに強いこだわりを持っている。だからこそ……。


「良かろう。ならば正々堂々1対1の勝負といこう。ヒュドラ、手を出すなよ」


「ふふふ……えぇ、分かっておりますわよ」


 必ず、乗ってくると踏んだ。


 後はアイザックがダゴンを下すかゼリルダが充分に逃げ切れる時間を稼げばいい。


「さぁ……やろうか。決闘なのだ、まずは互いに礼を……」


「【連撃】のマナ、【シューティング・スター】!!」


 ダゴンのくだらない格式など無視してアイザックはランスで連続突を放つ。


 対するダゴンはそれを素手で次から次へと受け流していく。


「相変わらず野蛮な力だな。触れると相手を消滅させる光の力……私でなければここで死んでいるぞ」


「この程度で死ぬ貴様ではないだろう」


 ダゴンの手が光を纏い、アイザックのランスを防いでいるようだ。アイザックの魔法は光の魔法。触れるだけで相手にダメージを与える力なのだが、ダゴンには通用していない。


 ダゴン。この男はあまり表立って戦うことの少ない男。


 アイザックが知るこの男の情報は腕に浮び上がる魚鱗のようなもの。そして、彼と本気で戦った者は誰一人として生きて戻った者が居ないということだけ。


 だから、誰もダゴンの真の強さを知らない。彼がどういう魔法を持ち、何の技を使うのか。同じ【北斗七帝】であるアイザックにすら分からなかった。


 それ故に、アイザックは油断できない。未知の強さを持つこの男をいかにして下すか。


「まぁ、やってみるがいい」


「ほざけ……」


 アイザックはランスを構え、マナを溜める。


「【強撃】のマナ!【コメット】!!」


 アイザックのランスから光の塊が発せられる。それは超速でダゴンへと迫り、襲いかかる。


 対するダゴンは回避せず、腕でガードする姿勢を見せた。


 当たる。直撃である。


 ゴッ!!


 白い光が城の中を照らす。爆発音とともに光が爆ぜ、そして……。


「ぐ……!?」


 ()()()()()はその場に膝をついた。


「どうした?まだ決着はついていないぞ?」


 何が起こった……?


 アイザックは事態を把握できていなかった。


 攻撃を放ったはずのアイザックがダメージを受け、対するダゴンは何事もなかったかのようにこちらを悠然と見下ろしている。


「貴様……何をした!?」


「ふむ。それはよくないな、アイザック。決闘の相手に教えを乞うなど……紳士らしくない。紳士であれば正々堂々、全身全霊をかけて戦うものだ」


 ゴキゴキと腕を鳴らしながらダゴンは語る。


「さぁ、存分にやり合おうかアイザック。実はお前とは一度本気でやり合ってみたかったのだ。存分に胸を貸してもらうとするぞ」


「……ほざけ」


 傷ついたアイザックは立ち上がる。


 上等だ。アイザックに流れる【破壊者】の血が騒ぐ。


 これもまた、【破壊者】の特性。あのシーナという娘は気がついているだろうか。


「死んでもここは通さん!こい!ダゴン!!」


「それでこそ!天晴れなり!!」


 そしてまた2人は超速の応酬を始めた。

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