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作戦会議1

 フィンの覚悟は決まった。


 とにかく、レイオスを倒してゼリルダをレイオスから解放し、彼女に真実を伝える。


 これからその為に動くことになる。


「シェリー。協力してくれるか?」


「それは構いませんが……しかし、ソウル。元々の目的はどうするのですか?」


 元々の目的。ヴルガルド国とシンセレス国の同盟。


 ソウルがこの国に来たのはそれを果たすためだった。


「そりゃ……全部終わった後でゼリルダに相談してみるしかないな」


 確かにソウルの使命は変わらない。けれど、だからと言ってソウルがやることもまた変わらないだろう。


 どの道覇王側の陣営と思しきレイオスがいる以上、覇王を倒すための同盟なんて締結できるはずもない。


 結果論だがあの場でフィンを見捨てずに共に逃げ出したのは正解だった。


「それよりさ、ずっと気になってたことがあるんだけど」


 フィン達の話を聞きながら、ソウルはずっと引っかかっていることがあった。


「何で……レイオスはそんなに魔獣を操ることができるんだ」


 今の話を聞く限り少なくとも迷いの石窟の6体に加え、もう一体。そのファーロールとか言う化け物と協力関係にあるように聞こえる。


 しかも、始祖龍アルファディウスをも殺せるほどの強さをもった魔獣……いや、人語を話せると言うことはそれ以上の存在。


「そのファーロールっていう魔獣……いや、もしかすると……」


「えぇ。私も同意見です」


 ソウルの言葉を聞いてシェリーも頷く。


「この小さな竜人を……そして伝説の黒龍を屠るほどの力を持った者。恐らく魔人……それもただの魔人じゃない、10の邪神の可能性が高いでしょう」


 10の邪神。フィンとアルファディウスを倒せるほどの力を持った奴だし、アベルの話と合わせればアルファディウスと1000年前の戦いで戦ったようなことを話していたらしい。


 この戦いで、1番の障害は始祖龍アルファディウスをも殺して見せた魔人、【ファーロール】。


 ソウルの脳裏に蘇るのは同じ10の邪神【クトゥグア】。奴は1人でシンセレス国を滅ぼすほどの力を持った奴だ。


 もし奴が現れたのならそいつ1人でソウル達の力関係はひっくり返るだろう。


「うっそー!?そんなやっばい奴がいんの!?ありえないんですけどー!?!?」


「ほんとにそんな奴がいるんだったらこの国終わりじゃん。見たことないけどなぁ」


「あぁ。実は俺たちがここに来た理由もそれなんだ」


 ソウルはアベルとカミラ、ポピーにソウルがヴルガルド国に来た理由を改めて説明する。


 覇王の封印が解かれようとしていること。その為に今世界のどこかで覇王直属の部下10の邪神が暗躍していること。


 そして、それに対抗するために国同士が協力し、一丸となってそいつらに立ち向かわなければならない。その為にヴルガルド国に同盟の締結を提案しに来たこと。


「何と……」


 ソウルの話を聞いてアベルは唖然としていた。


「なるほどねー。それでゼリルダ様と話がしたいってことになったのか」


「でもでもでも!そんじゃあ尚更レイオスがこの国にいる限り無理な話じゃーん!!」


 ポピーが頭を抱えながら叫ぶ。


「そうだね。とりあえずソウル君に改めて今のヴルガルドの状況を説明しとくよ」


 すると、ポケットの飴を口に放り込みつつカミラが口を開く。


「正直、今回の件ではっきりした。レイオスをあのまんまにはして置けない」


「そーだそーだ!あのクソメガネめぇ!」


 両手を振り上げながらポピーは怒りを露わにする。


「だから、僕らはソウル君達に協力する。この国の政権をゼリルダ様に戻す。助けてもらった恩義もあるしね」


「あたいも!ぜーったいレイオスの野郎に一泡吹かせてやるんだから!!」


「2人とも……」


 彼女らはこのヴルガルド国でもかなり重要な役目についている。つまりこの国のことやゼリルダ達の内情に詳しいということ。


 その2人が協力してくれるというのなら、とても心強い。


「でも……いいのか?」


 だが、それは同時にいよいよレイオスが支配する元の役職に戻ることは不可能になるということ。


 今の2人の地位を捨てることになるのだ。


「いいよ。あんな奴の元に戻るなんてむしろ願い下げ。やってやんよ、ヴルガルド革命」


「ヴルガルド革命?」


 革命って、確か前の政権を潰して新しい統治者を作るとか、そのための戦いとかって意味だったか?


「うん。僕らが反乱を起こして国の実権をゼリルダ様に戻す。そのための戦い」


「なるほど……」


 事実上、ゼリルダは元からこの国の実権を持っていることになるが、あくまで形式上なだけ。


 それを、形式だけではなく正式なものにする。


 ゼリルダがこの国を治める真の女王にするための戦い。


「ただ戦うだけってのも味気ないし。大義名分掲げてやるんだったらこっちの方が楽しくないって話なんだけどさ」


「いいな。やってやろうぜ、ヴルガルド革命!」


「簡単に言いますが……今ゼリルダはレイオスの洗脳下にある。それを解くのは容易ではありませんよ?」


 乗り気なソウルに対して苦言を呈するのはシェリーだ。


「ふむ。当然ゼリルダ様はレイオスと敵対する我々の敵となるでしょうな」


「そーなんだよナ」


 アベルとフィンもまた首を捻りながら告げる。

 

 ゼリルダを解放するためにゼリルダを敵に回す。正直それは少々厄介な問題でもあった。


 ファーロールとかいう【10の邪神】。フィンのことを警戒しているレイオスが抑止力となるファーロールをこの国においている可能性は非常に高い。


 奴が出てくることを考えておく必要がある。


 その時に備えてこちらの消耗はなるべく抑えておきたいのが本音だ。


 ゼリルダは【龍の召喚術士】で戦闘の拙さは目立つがその力の強さは圧巻の一言だった。多分、あれは始祖龍アルファディウスと彼女の兄弟たちの力を持った召喚獣なのだろう。そんなのと真正面からぶつかればお互いただでは済まない。


 ようは、仮にゼリルダの説得に成功したとして。レイオスがただでそれを許すとは思えない。つまりそこからは泥沼。レイオスや他の【北斗七帝】や魔人たちとの戦いになっていくことが考えられる。


 そうなった時にゼリルダとソウルたちで削りあいをしてしまっていれば、それこそ覇王陣営の思うつぼだ。無駄にこちらの戦力を消耗させることにつながる。


 理想はそうなる前にレイオスに対してゼリルダが疑問を持てるようになること。


 本当に、レイオスが言うことは正しいのか。


 そして、フィンの言葉に耳を傾けて説得。こちら側に引き込む。それができれば1番いい。


「何とかして……ゼリルダがこっちに攻めてこないようにできないもんかなぁ」


 だが、顔を合わせた瞬間殴りかかってかつ、話を聞く姿勢を一切見せなかったゼリルダだ。当然難しいだろう。


 どこかに拘束するとか方法はないだろうか。だが、あれだけの馬鹿力……そう易々と抑え込めるはずもない。


「ゼリルダ様がレイオスに協力しないように……かー」


 話を聞いていたカミラが、ふとこぼす。


「あるよ。もしかしたらゼリルダ様がレイオスに協力しないようにできる方法」


「「「「…………え?」」」」


 全員の目が点になってカミラに視線が釘付けになった。

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