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勇者パーティーへの就活



勇者はこんな道端に置いて行けないと

言う事で捨て猫の様な扱いで近くの町まで

送ってもらえる事になった。


腰が抜けた僕を馬車に乗せてもらった。

話を聞くと年に何回か、いわゆる異世界からの

訪問者がいるらしい。


その者達は魚のような出で立ちをした者や、

仰々しい顔をした獣の様な者、僕みたいな人間や

この世界の神話に出てくる存在があやふやな者から

多種多様のようだ。


僕の『姿』『形』は、この世界の人と呼ばれる

存在の人達と何ら変わらない様に見える。


その者達はいきなりこの世界に連れて来られ、

文無し、宿無し、知り合い無し、

の三拍子揃った状況下に町にも入れてもらえず、

生活もままららないという事。


さっきあったような魔物と言われる者達に、

いわゆる拐われて、もしくはスカウトされて、

この世界に君臨する魔王に大概が

手下とされてしまう様だ。


無理もない……放り出された人が生きていく

為には、お金もないし商売も出来ず、服すらも、

この世界に於いて、不審者と思われても仕方ない。


その状況下で雇ってもらえる

ホワイト企業も無いであろう。


 最早ブラック企業でも雇わないだろうケド、

ブラック通り越して漆黒企業というべきが

魔王軍という訳だ、ここしか生きて行く道は

無いとも言える。


そもそも町には入れないのだから。


安全と思われれば近くの町に保護する体制に

最近なったそうだ。

見た目、安全そうという判断も救いになった、

顔がだらしなくて良かった……


 さらに魔王はこの世界の統治に終わらず

異世界まで手を伸ばすつもりらしい。


 異世界とも呼ばれてはいるが実はそれすら纏めて

一つの世界として君臨するつもりなのだろう

みたいな夢のような規模の話を聞いた。


その異世界への干渉が、僕の様ないきなり世界の

歪みに巻き込まれる事となったらしい。


 魔王軍への武力強化、そういった状況を

改善するために、この世界に複数いる世界を

救うもの『勇者』は見つけたら職を斡旋、

悪か善かを判断する審判の役目も

担っているらしい。


 世界には勇者という職はある様で、

アレクを始め世界には数は多くは無いが

勇者と呼ばれ世界を救う為に活動する者がいる事、

特性として勇気の意ある者は人の真実を見極める

事ができると言う……

それを選択するのは希望者が慣れる訳ではなく、

勇気のある者ただその曖昧な定義が

前提とされる……聞いてもよく解らない

内定システムだ。


 僕の立場、そう異世界人は落ち人と

呼ばれている事も語ってくれた。


なんて事を話しながら2日かけて町に到着。


この2日で魔物と出会った数は8体、

1日4体として起きてる時間にすると3時間に

一体ということになる。


……結構怖いな。


映画一本とケーキを食べ終わる時間位か……


道でうたた寝したら3時間で昇天となる計算だ。


城には門番が2人、その城壁はまさに

ロールプレイングゲームそのものの世界、

圧巻の規模を誇る建造物である。


 太陽が真っ白な城を輝かせ、反射した光が

町を包む入る前から町人の賑わう声が聞こえる、

不謹慎にもちょっと心が踊るんでないかい?


勇者様御一行の後をスタスタ歩きながら周りを

見渡すと、見たことのない食べ物や飾り、宿屋、

巫術屋、王道の武器屋等、建ち並ぶ情景だった。


 大通りに全てを集約したかのような作りに、

ここだけは道というか石畳で出来た通りに商店が

立ち並ぶ、中央には大きな噴水があり

見た目も素晴らしく美しい。


僕が迷子の子供の様に噴水前で町をキョロキョロ

見廻しているその間に勇者様御一行は僕を

アルバイトさせるべく、町の商店の方々に

話しかけている様が伺えた。


脱ニート……


しかし予想通りこんな大きな町では人出は結構

足りていると思われ、さらに異世界人となると……

皆、警戒する気持ちもわかる。


何軒も回るも惨敗だったらしい……ごめんなさい。


リアル現実でも就職は難しいものです、トホホ……


とはいえ明日をも知れない身、さらに一文無しと

あれば空腹を我慢したとしても、せいぜい2日、

その後は稼ごうと思っても狩りに行く体力も

無くなる、

こりゃ悠長な事を言ってる場合ではない。


焦り始めるも噴水が夕暮れの紅い日差しを

纏わせる頃となり、その光景とは逆に

シャレにならない不安が襲う。


ハク「ガタガタガタ」

(どうしよう……こんな所で置いて

行かれたらマジヤバイ)


疲れた顔をしてトボトボと僕の前に立つアレク、

わかりやすい見た目で結果がわかるんですケド……


勇者「やはりそんな簡単にはいかないようだ……

僕達も使命があって先を急がねばなりません」

勇者も困った表情を浮かべた。


そりゃそうだろうな……しかし!

こんな所で放り出されたら、生きるすべも知識も

お金も無い、時間もない、となると本格的にヤバイ


勇者「町にはしばらく置いて貰える様には

頼んだから後は……悪いけど自分で」


焦る僕はおもわず、「僕も勇者様御一行に

加えていただけませんか?」

と思わず口走ってしまった。


いやいや、言い訳させて頂きますけど

一人旅なんてもんじゃ、ございませんよ?

いざ異世界に放り出されたらと

想像してみてくださいな。


言葉が通じる現代でも、なかなか生き抜くのは

難しい、ましてや外国の更に治安が悪い場所を

想像してはどうだろう……


いやいや更に、この世界感ならもっと危ないし!


てな具合である、言っとくが、しつこい様だが

更に追加する、僕は普通の人間です。


 そもそも異世界で働くと言うことは、

まずは通貨の事を学ばねばならないであろう。


そして、現代と比べ、どのような単位なのか、

固定した日本のような通貨なのか変動制なのか、

そして何を基準にその単位を判断したらいいのか。


外国人に、お金の単価の話できますか?

いやそもそも教えてくれますか?

宇宙人にみたいな感じなのだろう。


力仕事しようにも異世界来るって想定して

鍛えてねぇぇしぃぃぃ!


そもそも文化からみて、現代人より遥かに生活に

便利さがない分、リアルハードな生活して

いらっしゃる、この世界のお方々のほうがよっぽど

力持ちだし……


頭がいい、化学?いや、いやそもそも学校で

習った程度なら化学反応、元々の解るものって

水くらいしかないし……

H2Oぬグォォォ役に立つとは思えねぇぇ!

フレミングの法則、芸人にしか見えねぇ!


 格闘技やってましたが、対人用でしょ……

猪の顔したマッチョモンスターやドラゴンに

技のかけ方、習わないしぃぃ!

尻尾固め?いやいや実際人型でトカゲ想像して

みなさいよ、あーた……

筋肉の塊ですよ、あれ

……締め技使ってる僕の骨が折れますって


ヌメヌメもしてるだろうし……オェ


もし銃とか持ってても、弾何発いります?


現代で用意して持って来たとしても、

持ちきれないほどリックに詰めても、

到底足りませんて……


おっと愚痴吐いても仕方ない。


話が飛びましたが、勇者は僕に言った。


 勇者「君、そもそも戦えるの?僕達は魔物と

戦いながら魔王を倒しに行くんだ。

着いて来た方が遥かに危ないし、

戦えない者を巻き込む訳にはいかない」


心の声(僕も行きたくは御座いません、全く、

コレっぽっちも1ミリも)


(しかし、だが!し・か・し!

行かねば生きてけないんですぅぅ)


と言う事で僕は咄嗟に嘘をついた。

なぜなら僕は思いついたのだ。


そう、町の灯りにランプが使われていた事に!


ハク「えーご紹介が遅れましたが僕は実は

魔導具術仕と申しまして……僕の住む世界では、

あらゆる力を増幅する魔法があります」


なんだそれ?みたいな顔をする勇者一行


勇者「ほう……聞いたことが有りませんが?

どう言ったものなのでしょうか……」

疑う顔でハクの顔を見る勇者


勇者「……見た目には信じれなのですが」


僕(うっ、するどい……

さすが勇者と言うべきか……)


百聞は一見にしかず。


ハク「ゴホン、ではお見せしましょう……

では準備がありますので、

小一時間ほどお待ち願えますか?」


少し興味もあった勇者一行は疑いながらも

ハクの提案に乗った。


こうして人生に於いて重要な2回目の就職活動、

実技試験とあいなりました。




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