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偶像  作者: 夢乃マ男
4/8

ユメ

忘れられないカンペがある。

アイドルになった年。頑張らなきゃとモラルやらなんやらは大人がうまいことやってくれると思って、ロケでとにかくはしゃいでいた頃。


そういったバラエティロケもやはり向き不向き才能というものがあるのだろう、と今にしては思うのだがお笑い芸人さんヨロシクなバラエティをしよう!と考えていた、その当時は。


爪痕を残そう。そう考えていた。

グルメレポートなのに

「わたしが作ったカレーのがおいしい。」

「鰻ってひっくり返すと気持ち悪いですよね。」

とか、求められている事を理解できずに変な尖り方をしていた。

スタッフさんや視聴者さんが求めているのは、アイドル(可愛い)×グルメ(美味しそう)=興味(視聴率≠話題性)なのに私は空回りしていた。


あのカンペが出された時も私はとにかく、流れにさからったり、やってはいけない事をすり、出された事を否定する。そういったものがバラエティだと思っていた。

「押すな!押すなよ!!」

その境界線が分からなかった。


心霊ロケ。霊的なものをあまり信じていなかった私は面白い映像の為に、いろんな事を無邪気にしていたと思う。

おそらく今YouTuberさんとやらが同じ事をしたら、ものすごい勢いで叩かれるのだろう。


同一人物の今の私がその時の私を思い出してもそう思う。


そして、私のシーンは全カットお蔵入りだったのでやっぱりそうゆう事だったのだろう。


私はあのロケを忘れた事がない。

廃屋の学校のような場所だったのだが、なぜだか眠りの中の夢で新築同様のそのロケ地を舞台とした夢をよく見る。


ひどく楽しい夢だったり、やけにぐろかったり、やさかったり、こわかったり、大きな声では言えないがエロかったり。


いろんな夢の舞台がそのロケ地なのだ。



そして、夢の終わりは必ずエヴァンゲリオンのタイトルを彷彿させるような、白地に黒い文字で


「その扉は開けないでください!」


「早く閉めてください!」


最初の指示に従わなかった私に更に突きつけられたカンペ。


夢はいつもそこで終わる。


ロケは確か、続行された。珍しくかなり謝ってもスタッフさんがイライラしていて許してくれながらも、ピリっとした空気で撮影が続いたのを覚えている。

事務所の人以外に初めて怒鳴られて泣いてしまったんだ。

いろんな事で自分の不甲斐なさで悔しくて泣いたり、周りの人間と比べて泣いたり、それは全て身内の中でだからこそ見せれる涙だったが、この時はスタッフさんの感情に対しカメラが回っている中泣いてしまった。

お蔵入りになってくれてよかった。なんともみっともない姿なので、それはありがたかった。

そして、その時の失敗が今の私を作ってくれている。失敗が良い方向に働いているパターンだと。



ただ、なぜだろう。

私にとって仕事に対する考え方が変わった大事な場所だからなのか、どんな素敵な夢め悪夢もあの場所であのカンペを出され目が覚める。


その後の行動は決まっている。

余裕があれば二度寝、起きる予定の2時間前以内だったらシャワーを浴び簡単な朝食を作る。


そして、少し埋められなかった時間であのロケの事を思い出す。

ロケバスに乗って連れられていったあの場所はどこだったのだろう。移動中眠っていたであろう私はあの場所を知らない。


ちなみに皆さんならどうします?バラエティのプロ。

そうですね、カメラが回っていてあなたの隣でダチョウ倶楽部の上島竜兵さんが


「押すなよ!絶対押すなよ!!」


と言っていたら。

どうします?

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