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スーパーダンジョンマスター!!!  作者: PMK
超音速の死闘、超龍勇者ドラグブレイバー!
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ダンジョンハック

 帝国軍が飛ばした空中防空艇からの超望遠画像には、すでにその謎の森は広がっていた。

 帝国軍はこれをダンジョンと断定。対ダンジョン部隊の即時投入を決定した。

 採用されたのは、連合のブレイバー部隊を囮にして、裏から突入する作戦である。

 連合側部隊には大使館越しに特使を送り込み、『滞りなくプランを遂行』させるよう手配してある。

 だが、電波妨害は計算外であった。時間合わせで突入するならばその偽装特使、エージェントの実力を信じるしかない。



 12台のバイクが隊列を組み、土煙を上げながら荒野を走る。



 対ダンジョン部隊。黒いフルフェイスヘルメットにライダースーツ。背には対ブレイバー強装弾を装填したアサルトライフル。スーツにはミスリル鋼線の網が埋め込んであり、魔力遮断と防弾防刃の機能を兼ね備えている。

 魔力を持たない人間で選抜され、さらに装備によってダンジョンの感知を防ぐ隠密部隊。

 忍者部隊とも呼ばれる特殊部隊であった。



 先頭の黒服がハンドサインを出すと、さらに部隊は二手に分かれた。

 ちょうど半数6台の分隊は、さらに森を回り込み突入する手はずだ。自分たち本体は直進し、このまま森に突入する。



 そろそろ森に差しかからんとする時、先頭の黒服は異変に気づいた。




 いや、気づいた時には遅かった。


 なにかの飛翔体が甲高い音と共に通り過ぎる。


 横から衝撃波が襲いかかる。


 バイクごと吹っ飛ばされた。


 投げ出された空中で、誰かが血肉の霧になって弾け飛んでいるのが見えた。



「えっ」



 黒服はバイクから投げ出され、激突の衝撃を逃さんとばかりに勢いよくゴロゴロと転がる。

 割れたフルフェイスヘルメットを外して伏せたままアサルトライフルを構えて様子をうかがう。


 慌てて散開した4台のバイクに機関砲らしき掃射が襲いかかる。森の中からだ。敵の姿は見えない。



 空気を貫く金切り声と共に火線は正確に4台を追い、次々に黒服を肉塊へと変えていった。



 弾丸を受けた何台かのバイクは燃料に引火し、爆発した。



(いくらなんでもおかしい。狙いが正確すぎる)



「なんなの…これ…」



 先頭で指揮をとっていた黒服、対ダンジョン分遣隊隊長のアユハマ大尉は呆然とする。鍛えに鍛えられた部下たちは、敵の姿を確認することもなく一瞬で肉片に変わってしまった。


 しかしアユハマ大尉は瞬時に切り替える。倒れたバイクを一瞥し、匍匐のまま近づいて荷台に掛けたサイドバッグをひっつかむと、そのまま森に足を向けて匍匐前進で進み始めた。


 わかったことはたくさんある。

 防衛兵器の存在、その射程距離、威力、弾速、正確に吸い付くような異常なエイム力。

 敵の力がいくら強力でも、分かればいくらでも対策は立てられる。


(この情報は必ず持ち帰らねばならない。そのための忍者部隊なのよ)



 ◇



 ブロッケイドは焦っていた。

『…おのれ…バイク部隊の分隊を取り逃がしてしまったか…』


 機関砲の射程に引きずり込むために引きつけたが、その前に部隊が別れて散ってしまったのだ。


 胸部、運転席に偽装していたホロモニターが左右に開いている。その下に隠れていた胸部モーターコイル単装砲と胸部モーターコイル機関砲を、ホロモニターを閉じて格納する。


 リドルのスマートフォンが捉えた情報によって帝国軍の長距離偵察があったのはわかったが、そこからの情報は秘匿され動きがつかめなかったのだ。

 もし来るのならば時間合わせかと、念のために張り込んでいたのだが…。

 …突破されてしまった。

 相手の数が多すぎた。人手が足りない。


 ライオブレイカーは連合軍側を対処しているはず。


『…このままではリドル博士が危ない…急がねば…』


 変形して走るには木が多すぎる。ブロッケイドはダンジョンめがけ、ドスドスと走り始めた。



 ◇



 6台のバイク分隊はつる植物の森を抜け、森の中央にたどり着く。森に突入してから10分ほども走っただろうか。元は荒野だった地面は固く、走行に向いている。


 ダンジョンモンスターの襲撃はない。黒服の装備がダンジョンの感知を阻害しているのだ。



 黒服の六人は頷きあって、バイクを降りて各自散開した。ひとりは録画カメラを取り出し、巡洋艦の残骸を撮影し始める。


 ミスリルコンポジット装甲板が無残に融解している。

 これほどの高熱源攻撃を行う武器は帝国にさえ存在しない。この貴重な映像だけで任務は達成したも同然だ。黒服はほくそ笑む。


 乗組員の死体はない。…すべてダンジョンに吸収されたのだ。傾いだ通路を伝って、内部を調べる。


 部屋が荒らされている。おそらくダンジョンモンスターが荒らしたのだろう。

 …やはり何かがいるようだ。これ以上の深追いは危険だ。

 全滅のリスクを減らすため、順次、時間をずらして撤収する手配になっている。黒服は先行して単騎で脱出するために撤収を始めた。




 ひとりはダンジョンの入口らしき階段に近づいていく。

 細身の懐中電灯を取り出し、アサルトライフルに装着する。

 そして足跡を立てないようにゆっくりと階段を降りていった。



 階段の行き着いた先、大部屋にはめぼしいものはなにもない。

 黒服はゆっくりと、懐中電灯で周囲を物色する。


 左の壁は迷宮のドアがついており、わずかに明かりが漏れている。

 右の壁には通路が開いており、暗い別の部屋へとつながっているようだ。



 さあ、どうする?

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