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スーパーダンジョンマスター!!!  作者: PMK
超音速の死闘、超龍勇者ドラグブレイバー!
11/35

必要施設とマナプラント

 リドルたちが敵の残骸をあさっている間、ライオブレイカーたちは今後の重要な方針について話し合っていた。

 やることはたくさんある。敵の位置や戦力の把握。周囲の地形の把握。周辺国家や武装組織の把握。そして必要な施設の設置。


「…年頃の女の子に惨めな思いをさせるわけにはいかない。トイレや風呂を造るべきだろう」


『はぁ』


 女性の声は、どこか気のない返事を返す。




「寝床も必要だろう。あとは排水をどうするかもある。部屋も分けねばならないだろうな」


 一時の仮宿だとしても、必要最低限のものはなければいけない。なんだかノリノリな気分で、ライオブレイカーは続ける。

「地下水脈を組み上げ、地下に排水を流すのは水脈汚染の危険がある。何かないのか?ダンジョン」


『この荒野で水脈を探すのは、とても困難なことです。魔法で水を出すのはいかがですか?』


「うん、聞かせてくれ」


『コンティニュアル系の永続魔法に、【コンティニュアルウォー(持続する水)ター】があります。通常の【クリエイトウォーター(水作成)】でしたら1DPで済みますが…』


「いくらだ?」


『起動に100DPが必要です。維持コストに一日1DPを消費します』


「それでいこう。排水や温熱の役に立ちそうなものは?」


『下水に住むコモンモンスターや何でも溶かすコモンモンスターなどもいるにはいますが、廃水処理の役に立つとは思えません』


「排水管と排水桝を使うしかないな」



『温熱に関すれば、熱系魔法や炎のコモンモンスター等、選択肢はいろいろあると思われます』


「プライベートな空間だ。俺の手を借りない機構を使いたい」


『でしたら【コンティニュアルウォー(持続する水)ター】の術式を改変し、お湯にしてはいかがです?DP消費は維持コストと共に倍になりますが…』


「良いな。それでいこう。浴槽や便器はどうしたものかな。使いやすいものにしたいが」


『…あの、デッドエンド様?』


「なんだ?」


『甘やかしすぎです』


「えっ」




 地上部爆撃クレーターの横にコアルームと同じ大きさの初期設定部屋をひとつ設置(1DP)し、鍵のかかる迷宮ドアを一つ壁につける。

 内部の天井に魔法でお湯の水源を設置(200DP)し、その直下からややずらした位置にコモン罠、【開放型落とし穴】を浅めに設置した(1DP)。

 水道よりは太い水の束がなにもない空間から流れ出て、落とし穴に溜まっていく。

 側面上部に採光窓兼排気口をいくつか設置し、溜まったお湯の上澄みがクレーターに流れ込むように溝を設置した。


 やがて落とし穴の上まで溜まったお湯が溝を伝い、クレーターに排水として流れ出始める。

 溜まるのはまだまだ時間がかかる。染み込まずあふれるようだったらその時考えるとしよう。



 魔力化して消えた死体が着ていた軍服や衣類の束を抱えて、リドルが寄ってきた。

「何をなさっているんですか、デッドエンド様?…あっ、お風呂!!」


 華やぐリドルの表情に、ライオブレイカーは厳格な声を返す。

「風呂だ。だが生活用水も兼ねているのだ。…あとは自分で工夫しなさい」


(かく)ロボで魔法ロボとかギャップ萌えです!デッドエンド様!」


 意味がわからない。


「…ありがとうございます、デッドエンド様…」


 リドルは、少しはにかんで言った。



「…リドルよ…少し聞きにくいのだが」


「なんですか?」


「トイレはどうするつもりだね?」


「スコップを見つけました」


「たくましいな」




 初期コアルームの両隣に、部屋を設置する(DP2)。ひとつは鍵付きの迷宮ドア(DP10)を設置し、もうひとつは【出口作成】で通路を作っておく。

 ひとつはリドルの私室、もうひとつはライオブレイカーの私室だ。そのつど【出口作成】を壁に戻せば、機密性を高めることが出来るだろう。


 いつまでも天井から出入りするわけにもいかない。部屋を前方に増築し(DP1)、階段を設置した。

 階段は踊り場をこまめに造り、巨体のブロッケイドが昇降しやすいようにする(DP10→DP20)。

 雨が降る様子はないが、埃よけに部屋を設置し、床と前面を抜くことで階段の出口とし、屋根をかける(DP1)。これで地上施設がふたつになった。


 なにか隠蔽の方法を考えねばならない。敵兵器の残骸も目立つ。


 そしてライオブレイカーの胸を常に刺す事柄がある。



 DPは、人間の命を吸った数値だ。俺は人の命をもてあそんでいる。



「…ダンジョン、DPを自然吸気でかせぐいい案はないか?」


『魔力生産型のコモンモンスターを設置するのがよろしいでしょう』


「たとえば?」


『マナプラントなどいかがですか?食料は水と太陽光線、大気中の魔力でまかなえます。昼は太陽光線を魔力に変え、夜間は魔力を吸収して繁殖します。差額がDPとして吸収できますよ。地上部でしか使えませんが…』


「植物か。遮蔽物として使えるか?」


『強度は足りませんが大きさは十分です。乾燥地で溜め池が一箇所しかないことを考慮すれば、改変して地下茎型にするのがよろしいでしょう』


「十分に広がるか?」


『ではさらに繁殖力強化を付与いたします。基本マナプラント100DP、二箇所改変で400DPとなります。数日で十分元が取れましょう』


「よし、やってみるか」




 溜め池クレーターのほとりにやってきた。まだ水(お湯)は底の方にたまっているだけだ。

 残骸のひとつのあたりで、リドルとブロッケイドがいろいろサルベージしているのがここから見える。


 その植物を召喚、設置した。つる植物がより合わさって固まったような、奇妙な植物だ。初期設定部屋を超えるぐらいの高さ。これを増やせば地上からの視界は遮蔽できるだろう。上空への対策は考えねばならない。


『ユニークモンスター【マナプラント・インベーダー】として召喚されました!デッドエンド様、おめでとうございます!』


 女性の声はとても誇らしげだ。

「なんだかわからないが、良いものなのか?」


『水と太陽、魔力がある限り、地下茎により単体でどんどん増殖し、周辺植物を駆逐し続ける恐怖のマナプラントです!このモンスターを使えば巨大穀倉地帯を一網打尽にできるでしょう!この子はとても強力ですよ!』


「ダンジョン」


『はい!』


「周辺地帯内にとどめておくように。荒野から出してはいけない」


『えっ…は、はい』

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