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主人公なんて大嫌いだ  作者: 地蔵
2/8

この世界の中心で 2

なんだこの能力スキルは……

言うのが遅れたが……俺は主人公が嫌いだ。たぶん。理由は……恥ずかしいから伏せることにする。

放心。それ以外になんの反応もできない。友達が何か言ってる気もするし担任が何か言ってる気もするがまあ構わない。……いや構わなくはない。さすがに話くらいは聞かねば。

「では三日後、能力スキル訓練を行います。戦闘向き能力スキルでない方は当日の朝申し出てください。あと、三日後までに必ず一度は能力スキルを使っておいてください。では、解散」そう言って担任は出ていった。

皆がガヤガヤ騒ぎながら教室を出ていく。

テツが話しかけてきた。

「公人、能力スキルどうだったよ?」

「控えめに言って最悪。言いたくもない」

「そうか……言いたくないなら良い。まぁ、三日後にはわかるからな……帰るか?」

「いや、少し一人にしてくれ」

「ん。わかった。じゃあな」

「おう」

誰もいない教室で一人窓の外を見ながら、能力スキル判定だけで終わるなら弁当作らなくて良かったなー忘れてたなーとか、晩飯どうしようかなーとか考えていたところ、ガラリと音がして、教室のドアが開いた。

「公人!やっぱり残ってた。ほら、能力スキルとステータス見せてよ!」

ああ……一瞬で誰だかわかった。度々話に出て来てはいたものの、紹介するのははじめてだろう。

幼馴染の、炎寺えんじ あかだ。

腰まで伸ばしたその名にふさわしい深紅の艶めいた髪。整った顔立ち。快活で美しい声。幼馴染としての贔屓目を抜いても、惚れる男の10人や20人いるようなやつだ。

「あー……見せたくねぇ」

「いいから見せなさい!ほら!私のも見せたげるから!」

そう言って紙を交換される。渋々ながら見ると……

ステータス

パワー A

スピード A

ガード A

スキルパワーA

スキルガードA


能力スキル

女神ゴッデス・微熱ラヴ



これは……かなり高い。ステータスだけでも俺を平均的に二段階も上回っているうえに、能力スキル特殊品ユニークだ。

「どうよ。すごいでしょ!あんたのは……うわ、低いわね!それと能力スキルは……ふうん、『主人公補正ヒーローズ・オリジン』ねぇ……普通の人なら当たりでしょうけど、あんたは嫌よね。えっとその……」

さすがの朱でも言葉が出ないらしい。

「無理に感想は言わなくても良いぞ。そんなことより、弁当はどうする?判定だけって忘れてた。ごめんな」

「ん?ああ、いいわよ。この後友達と能力スキル試しに行くから持ってく。むしろ助かっちゃった。ありがとね」

「毎日弁当箱をちゃんと流し台に入れてそれを言ってくれたら百点なんだがな。」

「あらそう?じゃあできるだけ言うことにするわね。あ、私からも1つ」

教室から出ようとして振り向いて言う。

「なんだ?」

「今日の晩ごはん何?」

「今決めた。ハンバーグにする」

「やった!六時には帰るね」

「了解」

「じゃね!またあとで」

「おう、あとでな。気を付けろよ」

走って行ってしまった。俺もぼちぼち帰るか……

能力スキルの問題は残ってるが、何もない時間に考えるのは朱のことばかりだ。ハンバーグにピーマン練り込むべきかなぁとか。惚れているのだから仕方のないことだろうけど。

家に帰って昼まで何をしていようかなぁと思って自室に入ると、ふと机の上に便箋が置いてあることに気付いた。

近づいて手に取っても見覚えがない。所々金で装飾されたずいぶん綺麗で高そうな便箋だ。中身は……手紙が二枚。裏を見てもどこにも宛名も何もない。

「なんだこれ。朱が置いたのか……?」

ラブレターのはずはないが少しばかり緊張する。

えっと……






第二章 一人立ちする我が子達への置き手紙



拝啓 主 公人様


少し堅めに書いてみようかと思ったけど難しいね。止めておこう。この手紙は君の能力スキルのこととこの世界についてのことだよ。あー、始めに書いておくと私は君達の世界で言うところの『神』と呼ばれる存在だよ。まぁ信じては貰えないだろうから後で証拠を出すことにする。

まずは君の能力スキルについて。察してるとは思うけど……君の力は普通じゃない。一度使ってみればわかると思う。明日にでも使ってみたまえ。

簡単に言うと使った瞬間に全ステータスが限界突破リミットブレイクしてSSSSまで上昇する。副能力サブスキルも100以上あるよ。さっき書いた証拠の1つがこれ。君の能力スキルを知っていると言うこと。なんで君に接触したかと言うと……その前にこの世界について説明しておこうか。

学校で習った歴史は二千年分くらいかな?まぁまず言っておくと、8割は嘘だよ。

この世界は僕が三百年くらい前に暇潰しに作ったんだ。いろんなパラレルワールドやら異次元やらをごちゃ混ぜにしてね。

今にして思えば都合がいいと思わないかい?国のシステムと科学技術は明らかに経てきた時間が違うし、能力スキルなんて生物が進化の過程で手にいれる訳のないモノがあったり、明らかに同じ環境で進化したとは思えない魔物なんてものが居るし、そのことに誰も違和感を感じてない。変だろう?

答えは1つ。君達の世界は「適当」なんだよ。どうしようもなくね。

この三百年この世界を見て、時には手を加えてきた。なかなかに楽しかったよ。

でも、そろそろ決別して傍観者に徹するべきかなぁと、十年ほど前に思ったのさ。段々世界も意思を持って動き始めたからね。次に世界を引っ張るべき素養を持った人間にこの世界を任せようとね。

ああ、チート主人公させたいわけじゃないし、これ以降僕が君に接触することはないよ。僕は十分君のことを認めているからね。

ただ……君の能力スキルとこの世界は、きっと君を認めてはいないだろうね。試練も課されるだろう。まぁ主人公の受難ってことで頑張ってくれたまえ。それだけの力が君にはあるよ。

最後に1つ。もし君の能力スキルが『主人公補正ヒーローズ・オリジン』以外のどれかだったとしたら……能力訓練初日で君の愛してやまない炎寺 朱は死んでいただろうね。それだけ。ではこの辺で。いつも見ているよ


親愛なる創造主より。

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