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鎮魂歌(レクイエム)  作者: うっしー
黒水晶の章
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黒水晶の章 第1話

 がらがらと車輪の音が響く。その片隅で白い魔術師のローブを着た青い髪の少年が、幾度とない大きな大きなため息をついた。

「リヴァ……、もう八十二回目」

 その少年の横で金髪の青年がそうつぶやく。少年はその青年を睨みつけた。

「誰の責任ですかディオ。僕は厄介事が一番大っ嫌いなんです」

「でもこうしなきゃエストランジュに数カ月は行けなかったぜ?」



 そう言う金髪の青年、ディオのいう事は確かに正しかったが、現在の馬車に乗っている厳つい面々を見てさらに気が重くなる少年である。

「………………はぁ」

 青い髪の少年はディオをじと目で睨みながら八十三回目のため息をついた。

 事の発端はこうだ。

 青い髪の少年、リヴァことリヴァイア=ディストランタはエストランジュ国へ向かうため、一人で魔法都市レリアを出てまずはガルベイルへと向かった。位置的にエストランジュ国はレリアの隣国ではあったが、山脈と砂漠のおかげで空でも飛べない限り直接向かう事は困難である。そのためリヴァイアももちろんガルベイル国を経由するルートを取った。



 以前はその国境を超える前に事件に出くわし、おかげでエストランジュ国へ行く事が出来なかったが、今回は身分証もしっかり持っていったため簡単にガルベイル国へ入る事が出来た。後は馬車でエストランジュ国のラブラ城へと向かうだけ。そう、それだけのはずだったのだ。

「え? 馬車? そりゃ無理でしょ?」

 六軒目の馬車屋でリヴァイアはいい加減座り込んだ。

「なぜ、どこもダメなんですか……。僕に徒歩で行けとそう言う事ですか……」



「いやあ、徒歩も無理っしょ。今エストランジュとここをつなぐ街道に巨大な魔物が居座っててねー。あちら方面は封鎖されてるんだよ。まあ、公国の大使様が今レリアの方へ討伐依頼を出してますんで、後ひと月もすれば通れるようになるんじゃないかな? それまでの間、いい観光場所教えてあげるからガルベイル観光でもしていってちょうだいな」

 そう言う馬車屋の店主の言葉を振り切り、リヴァイアはその店を後にした。

「ひと月も待てる訳、ないじゃないですか……」



 エストランジュ国に居る五大魔術師の一人であるイリスが同じく五大魔術師であるリヴァイアを訪ねてきたのはもう一カ月も前の事なのだ。竜と戦ってから前以上に幾度と見るようになったエストランジュ国王の死と、この大陸を飲み込む黒い海の夢……。予知を得意とした五大魔術師、先見のリヴァイアの夢には必ず意味がある。これだけ幾度となく見ると言う事は、もう時間はほとんど残されていないという事なのだろう。リヴァイアはかなり焦りを感じていた。

 どうにかしてエストランジュ国へたどり着かなくては、と逡巡しているそのリヴァイアの尻を、突然何かが撫で上げた。

「!?」



 あわてて振り向くと、そこには赤い顔をした年配の男がニタニタと笑いながら右に左に揺れている。昼間から酒でも飲んでいるのか、その男はふらふらとリヴァイアに近づいてくるとリヴァイアの体に絡みつき抱きつく形で再び尻を撫で上げた。

「離して……ください」

 むせかえるアルコール臭に嫌気がさしながらも、まずは出来るだけ冷静にそう言った。すると男は目を見開いて、リヴァイアの顎を持ち上げてまじまじと顔を眺めた。

「あん? 小せぇからかわいい女の子かと思ったら……、何だ、ガキかよ……。チィッ」



 見事な舌打ちまで放ち、男はリヴァイアを見下す目で見つめた。リヴァイアが突然うつむく。

「………………」

 うつむいたリヴァイアの唇がかすかに動く。足元からふわりと風が舞った。

「僕は……子供じゃ……ありません……」

 男の腕を振り払い、そのまま言葉を続ける。手に持っていたリヴァイアの得物、インフィニティアロッドが淡い光を放ちだした。

「お、お前っ……魔術師っ……!?」



雲間(くもま)(いで)(いかづち)よ、かの()連花(れんか)()らせ」

 怯える男をよそに、リヴァイアは詠唱を始めた。一般の人間に対して魔術を発動することはかなり酷だが、額に青筋を立てたリヴァイアにはお構いなしだ。自分を子供呼ばわりする下衆など滅びてしまえばいい、と言わんばかりに唇を動かす。

「ライトニング……」

「リヴァ!! ようやく見つけたぜ!」

「ひいいっ……助けてくれ~!」



 その場にいた三人の声が重なった。いきなり現れた人物にリヴァイアは驚きつつも発動間近の魔術を止めることなどもちろんできる訳もなく……。

「……スパーク……、って、ディオ、何しに来たんですか?」

「ぎゃああああッ……!!」

 突然現れた金髪の男ディオにリヴァイアの放った魔術が直撃し、その衝撃でディオはその場に倒れ伏した。

「お、俺が悪かった! 許してくれ~!!」

 自分の代わりになったディオの事など目もくれず、酔っ払い男はそう叫びながら逃げて行った。リヴァイアはそれを横目で見ながら、ディオの方へと歩み寄り倒れたディオの傍らにしゃがみこんだ。金髪の頭を指先でツンツンとつつく。



「生きてますか? ディオ」

「リヴァ……。いきなり……痺れる……ぜ……」

 プルプルとしながらも起き上がったディオを見て、ほっと胸をなでおろすリヴァイアである。以前、大切な者を失ってから自分でも気づかないうちに死について敏感になっているようなのだ。リヴァイアはその事に気づかれないようにディオから視線をそらして立ち上がると、ローブの下、腰に下げていた自分の荷物を探り中から指輪を一つ取りだした。そのままディオの手の中にそれを押しつけ、ついでとばかりに回復術を詠唱する。

「……? 何だ? これ。リヴァがとうとう俺に求婚か?」



 そう言いながら、ディオは指輪を左の薬指にはめようとしている。

「バカ言わないでください……。それよりディオ、何しに来たんですか」

「ん? ああ……リヴァが天主(てんしゅ)様に進言してくれたおかげで俺、護衛兵士に戻れただろ? んで、その最初の任務がエストランジュに向かうリヴァイア様の護衛だっていう命令があってさ。……つか、リヴァ……やっぱ指輪はまんねー。買い直してくれ」

 必死に指輪を左の薬指にはめようとしているディオの姿に言葉も出ないリヴァイアである。バカオには言葉で説明するのも億劫に感じたリヴァイアは、再びディオに向けて詠唱を始めた。



「へ? リヴァ? なんっ……ちょ、まっ……!!」

 あわてるディオに向けて、光り輝くインフィニティアロッドを突き出した。そのインフィニティアロッドの輝き具合で、先程の十倍以上強い魔力が込められた魔術だという事が分かる。

「ライトニングスパーク!!」

「うぎゃあああああッ……!」

 リヴァイアの魔術はその場に伏せたディオに直撃し、衝撃を与えた。しかし、その魔術はディオのダメージになる事はなく、そのまま流れてディオの手に握られていた指輪に吸収されていった。



「あ、あれ……? 痛く……ねえ……?」

「弱い魔術とはいえインフィニティアロッドで魔力を強化し、かなり本気で詠唱したのですが……、さすが魔具ですね。この程度の攻撃術ならほぼ防いでくれますか」

 先程とは違い、ぴんぴんしているディオの姿にあげた本人が感心してしまうほどのアイテムだった。

「けど、はまんねーよ……。うがっ! 今度は抜けねぇっ!! いてっ! いていていてぇ~!」

 いつまでもバカをやっているディオの左手の薬指に半分はまった指輪をリヴァイアは遠慮もなしに引っこ抜くと、隣の小指に押し込んだ。意外とぴったりはまる。



「リ、リヴァ……指がもげるかと思ったぞ……」

 目尻にうっすらと涙を浮かべながらそう訴えたディオを無視して、リヴァイアは七軒目の馬車屋へと向かって歩き出した。その後ろをディオがあわててついてくる。

「リヴァぁ! ちょっと待ってくれよ!!」

 言いながらリヴァイアの後を追ってくるディオの傍らを、小さな影がよぎった。

「きゅうっ!」

「レコ、またどこへ行って……、て、ああ……。ガルベイルはタタの実が豊富ですからね……」



 手のひら大の白い小さなウサギとリスを合わせたようなこの動物は、リヴァイアの飼い魔獣のレコである。額には真っ赤な魔獣の命でもあるとされる魔石が輝き、その周りには不思議な模様が浮かんでいる。首や小さな右手にはめられたアクセサリは、リヴァイアからのプレゼントだ。その小さな白い飼い魔獣、レコのパンパンに膨れた両方のほっぺを見たリヴァイアがそうつぶやいた。

「おー! いっぱい取ったな、レコ! これもいるか?」

 そう言って手のひらいっぱいのタタの実をポケットから取り出し、レコに差し出すディオである。レコが目を輝かせながらディオの左肩に駆けあがった。なんとなくレコがディオになついている訳が分かってしまったリヴァイアである。




「その大量のタタの実……どうしたんですか?」

「ん? ああ……リヴァを追ってる最中に拾ったんだ。レコにやろうと思ってな。なー、レコ?」

「きゅ!!」

 どうせ、また迷子になってたんですね……、というセリフは、喉の奥で飲み込んだリヴァイアだった。レコは目を輝かせたままディオの肩からリヴァイアの左肩に飛び移ると、集めたタタの実をしまっておけと言わんばかりにリヴァイアに渡した。リヴァイアは苦笑してかけていた眼鏡を押し上げると、レコとディオから受け取ったタタの実をレコに分かる場所にしまった。満足そうなレコである。



「じゃ、エストランジュへ出発だな」

 それだけ言ったディオは何故か横道に入っていく。

「ちょ、ディオ! どこへ行くんですか!?」

 リヴァイアは訳も分からずディオの後を追う。目的地を聞く前にその場所にはすぐに辿り着いた。

「馬車……?」

「ああ! 魔物討伐の先発隊だ。と言っても傭兵やごろつきばかりで構成したただのバトル野郎ばかりだけどな。こういう奴らならさっきからそこら辺にいるぜ?」



 一人の男にギロリと睨まれ、即Uターンのリヴァイアである。

「え? リヴァ!? 行かねーの?」

「ディオ、キミが倒してきてください。僕はガルベイル観光でも楽しんできますよ」

 面倒事には関わりたくない一心でリヴァイアはそう告げ、その場を立ち去ろうとした。

「別にかまわねーけど……この馬車多分エストランジュへの一方通行だから帰ってくるまでに時間かかるぜ?」

(一方通行……魔物討伐だけでも五日はかかるとして……ディオの方向音痴がプラスされたら……)

 リヴァイアの頭の中でそんな考えがぐるぐると廻った。

「分かりました……。行きます」

 そしてリヴァイアは眼鏡を押し上げながら一つ目のため息をつくのである。






「魔物だ!!」

 リヴァイアのため息が九十七回目をカウントした直後、馬車の騎手が突然悲鳴のような声をあげた。そのまま馬車は急激に止まり、リヴァイアの体が吹き飛ばされた。

「おっと!」

 かろうじてディオに抱きとめられ、目の前の筋肉ダルマへの激突だけは免れた。あんな体にぶつかったら鼻の骨が折れそうだと想像してしまう。そんな事を考えているうちに、馬車の中に居た厳つい面々が次から次へと飛び出していった。



「行かないのか? リヴァ」

「はい。まずは魔物の特徴と力量を測らせていただきます。無駄に挑んで死にたくはありませんから」

 それだけ言うとリヴァイアは、馬車の中からそっと外を覗き込んだ。リヴァイアの頭上からディオも外を覗く。

「あの魔物……。見た目はウルフだけど大きすぎる……な」

「動きも早い……ですね」

 体長二メートル、その大きさに反して動きは素早く、数十人の剣や槍や斧、弓矢を地を駆けまわって避けている。それどころか時折鋭い爪や牙で厳つい傭兵たちを切り裂いていく。



「あの動き……僕の目では追うのがやっとです。魔術を当てられるかどうか……。術で捕らえることはできてもあの跳躍力……発動している間に逃げられる可能性も高い。ディオ、キミならどうですか?」

「動きが限定されてればいけそうだが……この広い平地じゃ十中八九逃げられるだろうな。ヘタをしてガルベイルやエストランジュ市街に入られたら大変だぜ?」

 リヴァイアは少し考えた後、ディオに向き直った。

「僕があの魔物の周りを魔術の火で囲みます。ディオ、キミはその火を突っ切って魔物を倒してください」

「おう! 了ー解! ……って! 俺が燃えるだろ!!」




「……バカですかキミは。何のための指輪ですか」

「あ……」

 ようやくリヴァイアの作戦を理解したディオである。

「じゃ、頼むぜ!」

 そのままディオは腰に下げていた剣を引き抜き馬車を飛び出して行った。その後に続き、リヴァイアもインフィニティアロッドを握り馬車を飛び出す。魔物がディオに気を取られているうちにリヴァイアは詠唱を始めた。

()()(ほむら)大蛇(たいじゃ)よ、かの()()やせ!!」

 ふわりと、リヴァイアの足元から風が舞った。その風の動きに巨大ウルフの魔物が気付き、リヴァイアに向けて駆けてくる。



「ファイアスネーク!」

 リヴァイアの数メートル手前のところで、魔物の足元から火が噴き出した。魔物はとっさに後退したが、その後ろからも火が噴き出す。続けて右、左と火がたちのぼり、あっという間に魔物は火の壁に囲まれた。

「ディオ! 今です!!」

「おう!!」

 リヴァイアの合図を元に、ディオが火の壁の中へと駆けだした。ディオの周りの火が指輪の中へと吸収され、一本の通路が出来上がる。ディオはそこを駆け抜け、躊躇(ちゅうちょ)している魔物を光の軌跡で斬り上げた。



「…やったか!?」

 そう思ったのもつかの間、魔物は右後ろ脚から血を流しながらディオの右側をすり抜けた。

「く……。思った以上に素早いな」

 そのままディオは魔物に突きを繰り出した。魔物はそれを飛びあがって避けると、ディオに襲いかかる。

「やるじゃねー……か!!」

 ディオは魔物の牙を避けると、その勢いをつけて魔物の腹を切り裂く。致命傷にはならなかったが徐々に魔物の動きが衰えて行く。



「よーし……。このまま一気に……」

 そこまで言った所で急に周りを囲んでいた火が消えた。魔物はその隙をついてその場から駆け抜ける。

「リヴァ!?」

 振り向いたディオの視界に突っ伏したリヴァイアの姿が映る。

「う……」

 ぐらぐらと揺れる頭をリヴァイアは必至で我慢していた。

「……また……、どうして……!」



 魔力が、自身を飲み込もうとしている。こみあげる吐き気とめまい、もう魔術を発動するどころではなかった。

 突っ伏したリヴァイアに向かって傷だらけの魔物が襲いかかってくる。この短時間ではさすがのディオも仕留められなかったか。

「リヴァ!!」

「っ……!」



 襲いかかる魔物の爪を間一髪のところで転がって避けた。そのまま起き上がろうとしたリヴァイアの頭上で、爆発音が響く。

「そのまま! 動かないで!!」

 そんな言葉と共に、リヴァイアの頭上を今度は風が斬る。横に薙いだかと思えば袈裟がけに斬り、最後に急所めがけて突き刺した。魔物はそのまま動かなくなる。

「サ……」

 見上げたリヴァイアの視界に飛び込んできたのは、すらりと伸びた足にふくよかな胸、そして赤い髪。リヴァイアは目を見開いた。



「サラ!!」

「間に合ってよかったわ。」

 にっこりとほほ笑みながら握っていた剣をひと振りして鞘におさめ、手を差し出す彼女はどう見てもサライメル=スリューだった。見知った顔に驚きを隠せないリヴァイアである。

「サラ……どうしてここに……?」

「リヴァがレリアを出たって情報を仕入れてな。やっぱりこのままリヴァを一人で行かせるなんてできない、ってサラがしつこく言うもんだから追って来た。俺としてもリヴァはサラの大切なペンダントを取り戻してくれた恩人だから、恩返しぐらいしたかったしな」



 そう説明しながらリヴァイアの方へと近づいてきたのはサラよりも少しくすんだ赤い髪、サラの兄であるファンドリガ=スリューだった。

「ファン! キミも……」

 ファンは動かなくなった魔物の体から青い羽根の矢を引き抜くと、にっこりと笑ってその矢をリヴァイアに差し出した。

「よろしくな」

 そこでリヴァイアは気がつく。先程頭上で起こった爆発はファンが放ったこの矢だったのか。リヴァイアは礼を言うと、その青い矢に魔力を込め直した。



 魔具には2種類ある。どちらも特殊な魔術が刻んである事に変わりはないが、攻撃型の魔具にはこうして魔力を込め直さなければその真の威力を発揮することはできないのだ。ディオの剣も攻撃型の魔具だが、彼の場合は自身の魔力を込めて使うという特殊な使い方をしている。

「助かりました、二人とも……」

「リヴァがあんな魔物に後れをとるなんて珍しいわよね」

 サラのそんな言葉にリヴァイアは苦笑した。

「あれー!? ファン兄さんとサラりんじゃないか!! こんなところで会うなんて奇遇だなー!」



「ディオくん。こんなところで奇遇に会うほど世の中うまくは出来てないぞ」

 もっともなファンの言葉に、リヴァイアとサラもうなずいた。

「そっか? 俺は意外と変な所で奇遇に知り合いと会うけどなー。しょっちゅう帰り道とか聞いたりしてるし」

「それはキミの悪運が究極に強いだけでしょう。キミはその運がなかったら確実に死んでますね」

「プッ……」

 リヴァイアの言葉に吹き出すファンとサラである。



「ま、まあ、それは置いといてだな。魔物も倒したし、これでエストランジュに行けるだろ!?」

 ディオはそう言いながら、泡を吹いて倒れていた馬車の騎手を叩き起した。確かに障害はなくなった訳だ。数日中にはたどり着けるだろう。四人は馬車に乗り込み、馬車の騎手はエストランジュへ向けて馬車を走らせた。






「ウルフEX……やられちゃったわね……」

 倒れた魔物を見つめる二つの影があった。

「いいんじゃない? 時間稼ぎにはなってくれたわ。あの方の目覚めは近い。黒水晶が壊れれば全てが始まり、そして終わるんだから……」

 一人はオレンジ色の髪を右側でお団子にした少女。お団子をくるむようにつけられた花飾りが印象的だ。もう一人は水色の髪をミディアムカットにした少女。左側だけ小さく花の髪飾りで結ばれている。二人は走り出した馬車を見つめながら、音もなくその場から立ち去った。

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