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異能現実  作者: 巧ワン
1/1

イノウリアル

異能力とは、非現実な存在か? 現実に存在する可能性だってあるだろう! この物語は、そんな理屈を持った平凡な高校3年生のお話です。


- プロローグ -




異能力なんてのが 漫画や映画ではよく登場するけど


仮に俺がリアルで時間を止めれるとして


そしたら俺は絶対 誰にも知られんように能力を使う自信がある


もし 実際に 誰かが選んだ賢い人間だけが異能力を手にしてると考えたら


世の中は意外と 異能力者で溢れてたりするんじゃないか?


そんなことを考えながら 人差し指を正面に向け 黒板に計算式を書き並べる水井先生の頭を遠近法でぐるぐると 指で空中に描く円の中に当てはめる


それは 授業中によくやる いつも通りの癖みたいなもの


そうしながら 瞬きをした


その一瞬で 水井を見失う


状況を理解するより先に 前列の女子が悲鳴を上げた


その声で 僕も 周りの奴も ゆっくりとその現実に向き合う


見失ったのは 水井ではなく 水井の頭部だった


水井の体は、不気味に動きながらも数秒間は立ち続け ゆっくりと前に崩れ落ちる


その姿に悲鳴を上げて騒ぐクラスの中で いっちゃんだけは 僕を見て悲鳴を上げた


「たか、、指、指が」


それを聞いた瞬間 右手の人差し指に激痛が走る


正面に向けたままの人差し指が、普通ではない角度で前を指差していた



な、なんだこれ、



その人差し指が、ゆっくりと右方向に回転を始める



パキ、ポキ、



初めて聴く 骨の折れる音


「うわああああああああ!!!!」


左手で右腕をぎゅっと掴み、

意味の分からないまま ねじれていく人差し指の激痛と向き合う


体中の体液という体液をダラダラと垂れ流し

全ての状況が理解できないまま ただ苦しい時間が続く



パキ、



「あ、あがああ、あがあああ!!!!」



パキ、パキ... _ _



その痛みと向き合っていたはずの記憶は途絶え


気がついた場所は 保健室の ベッドの上だった


ー ー ー


ーー 。






ピロリ ピロリ ピロリ ピロッ



起床時間を知らせる 本日3度目のアラームで 目を覚ます


ー 8:50 ー



は??? 最悪だ



「お母さん 俺 遅刻やんけ!!!」


下の階で仕事の仕度を進める母に とりあえず大声で八つ当たり


「何度もアラーム鳴ってんの あんたが何度も止めたんや!!!」



ドンッ!



怒りを物に当てる音と共に、僕の2倍はありそうな声量で 正論が突き刺さる


「起こしてくれたらええやんか!!!」


倍返しだと言わんばかりの大声で また八つ当たる



ドンッ!


ガチャ


バタン ー 。



終わりのゴングが 現実を叩きつけた


窓から入る日差しが 乱れた頭髪を明るく照らし チュンチュンと鳴く小鳥が 自分を笑っているように聞こえる


しばらくベットの上で放心状態になると 友達と ふざけて設定したオナラの着信音が鳴る



プゥ ブブゥ



- 新着LALIN いっちゃん -


通知を見て 口角が少し上がった


向こうの気は知らないが こちらは異性として好意ありありの 同じクラスで 一番 仲良しな女の子からのメッセージだからだ


: たか! 起きてる? 朝ね、学校の正門が壊されちゃってて、それで少し授業が遅れて 一限の休み時間はナシ決定(泣) 授業中に来るのが嫌なら 二限の休み時間に来なよ! ねぼすけ(笑) 後、来るなら裏門からおいで! 分かった?


正門の話はすごく気になったが その件は後で聞くことにして、素早く返事を考える


: 正門やば。 了解!いっちゃん優しすぎ!!! そうする♪


文字を打ち終わり、送信ボタンを押す寸前に手を止めて、少し考える


「んー」


キーボードを切り替え、スタンプ欄からくまのボイス付きスタンプをチョイスする


「 君に惚れたでぇ!」


可愛いイラストに似合わない渋い男性の声で喋るスタンプが、メッセージと共に送られる



朝からいっちゃんとLALINできたし、寝坊も悪くないよなぁ...



ベットの上に散らかった制服とカバンを両手に持ち、鼻歌交じりでドアを器用に右足で開け、下の階へ降りる


「次のニュースです、一夜にして、大阪市内の公共施設がーー」


母がテレビの電源を消し忘れたらしく、タイミングよくニュース番組が流れている


「確認できるだけでも、33件が報告されーー」


洗顔と歯磨きを終えて、母の用意してくれた冷えきったおにぎりを片手にソファへ移動し、ようやくニュースに目を向ける


「一連の事件は集団的な犯行と見て、調査を進めています、次のニュースです」


チラッと見えた 粉々に壊された複数の建造物の写真を見て いっちゃんのメッセージが頭をよぎる


「ん...」



大阪市内って言ってたよなぁ、めっちゃ怖いじゃん...


え、待って、めちゃくちゃ怖いじゃん...



「よし」


考えれば考えるほど 壊された正門が気になって 少し早めに家を出た


家から歩いて15分くらいの場所にある学校は、下り坂が多いのもあって、スケボーでは5分で着く


家を出ると同時にカバンからスケボーを取り出すと、前方に放り投げ、勢い良く飛び乗る


わざと正門の前を通る道から裏門へ向かい、チラッと横目に正門を覗く



人の手で壊されたというよりは、巨人が木っ端微塵に粉砕したみたいやな...



それは今朝ニュースで見た、壊された建造物の写真と同じような光景だった


「やばいやばいやばい、これやばいやつやん!!?」


恐怖よりも、好奇心が込み上げ、その感情と連動するように、スケボーのスビードも上げる



超能力? 新しい生物? 人がやってんなら すっげー機械やろなぁ!!!



頭の中を妄想で膨らましながら、裏門に着く


時計の針が、休み時間まで10分あることを知らせる



んー、よし



時間潰しに もう一度スケボーに乗ろうとしたタイミングで、携帯が鳴る



プゥ ブブゥ



- 新着LALIN いっちゃん -


: なんかな、一時間目の休み時間がなくなった分 今から20分も休み時間なんやって!!! って、それだけ(笑) 次の授業は数学やし 課題やってないなら見せてあげるから早くおいで〜!


心の中でガッツポーズを決めた



早めに家を出たのは正解だな! 水井のやつ、課題やらねーとブチ切れるもんなぁ...



周りに先生がいないことを確認すると素早く門を抜け、先生に目を付けられないように、小走りで教室へと向かう



タッタッタッタッ ガラガラ、ダン‼︎



まだチャイムは鳴ってないが、そこにはいつも通りの休み時間が広がっていた


「あ、たか おはよー!」


自分が教室へ入ったことに気が付いたのは いっちゃんが一番だった


「あ、おはよ!」


その声に続いて ちらほらと挨拶が続く


「うん、おはよ!!!」


ひとまとめにおはようの返事をすると、自分の席より先に、いっちゃんの席へ向かう


そこには、女の子の友達が数人 いっちゃんを囲むような形で周りに立っていた


「ちょ、ねぼすけ、荷物くらい置いてきーや」



今 喋ってる子が 俺の絶賛 片想い進行形のいっちゃん


身長は146cmと小柄で、髪は肩を過ぎる程度の長髪、肌は白く、少しの力でポキっと折れてしまいそうなスラッとした体型をしているが、サッカー部に所属するくらい運動が大好きで スカートから伸びる足は見た目に似合わず筋肉質 目は綺麗な二重だが実はアイプチだって事は 多分このクラスでたかしか知らない



「なぁ、聞いとんー?」


いけない、つい見とれていた


「あー、うん、課題 早くやりたいから」



(( あー、うん、早くいっちゃんで癒やされたいから ))



脳内変換で 正しい文に直す


「そ、なら早く写しちゃって! はいこれ」


カバンから取り出された、付箋と色ペンで綺麗にまとめられたノートを受け取る


受け取る瞬間に 微かに香る柑橘系の匂いがたまらない


「5分で返すから、ありがと!」


いっちゃんのノートを片手に自分の席へ戻ろうとしたとき、いっちゃんの周りにいた女子の話し声が聞こえる


「5分は厳しない?」


「やでなやでな、3ページはあった」


「私は 5分は無理に一票だわ!!」


「じゃあ私も それに一票やな!!!」


5分で返すことに反対派が増えていく中で、少数派の意見が生まれる


「んー、じゃあ私は5分で返すに一票で!」



いっちゃああああああああああああああん!!!!!



人の群れを避けスムーズに席へ座ると素早く筆箱を取り出し、自分だからこそ読める文字で速攻に写し終えた


「はい終わり、3分!」


すぐに席を立つと、焦りを見せず 余裕な雰囲気を意識しながら、いっちゃんの席へ向かう


「はい! 助かったよ、ありがと!」


いっちゃんは友達との会話を止めてこちらを振り向くと、ニヤリとしながらノートを手に取る


「ほーら、ね! 私の勝ちじゃん♪」


いっちゃんを勝たせた自分に、気分が上がる



満足だ、最高に満足!!!



ガラガラ、ダン‼︎


騒がしかったクラスが 一瞬で静かになり 俺の高揚は 一気に急降下する


「おはよー、まだ授業は始めへんから、席に座んのはチャイム鳴ってからでええぞー」


3秒程クラスの動きが止まると、静かに皆が自分の席へと向かった


水井は この学校で一番に面倒なタイプの先生で、機嫌を損ねないように大人しくするのがベストだと 皆も知っている


喋れない水井の授業中 俺はいつも真面目にやってるフリをしながら 考え事を永遠とする



んー


今日のテーマは、そうやなぁ



横目にさんちゃんを見つめながら自分の席へ向かいつつ、頭も悩ませる



キーン コーン カーン コーン



沈黙の合図が鳴ったタイミングで、今日のテーマがまとまった



正門の件にちなんで 異能力...


これやな!!!




お待たせしてない連載がスタートしました、お久しぶりです、巧ワンです。高校生時代になろうで活動してましたが、アカウントも名前も変えているので、きっと初めましてになります(笑) やはり自分は非現実的な話を書くのが好きみたいです。 投稿ペースは一週間に一回を目標に頑張りますので、これからどうぞ、よろしくお願いします!!!

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