表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
消えたカードの行く先は  作者: ウツロ
第一章 冒険者編
7/50

ポーカーフェイス

 「どうだ、火はいいもんだろう。己の内面を浮き彫りする」


 筋肉ダルマが話かけてくる。さっきまで無視してた癖に偉そうに言いやがって、と思ったが顔には出さない。

 

 「ええ、まるで心を見透かされているような気になってしまいます」


 適当にそれっぽい事を言ってみる。

 ダルマは満足そうな顔をして、うんうん頷いている。どうやら正解のようだ。


 「それで何しにここへ来たんだ」


 見学だっつてんだろジジイ。


 「武器に命を預ける身、さらに良い武器には作り手の魂が宿ると言います。見てみたいと思うのは自然ではないでしょうか」

 

 オブラートに包んで答えてあげる。

 筋肉ダルマはご満悦だ。


 「俺の名はギムレット。ギムでいい。お前も打ってみるか」とハンマーを見せてくる。

 期待していた展開になり、ほくそ笑む。


 鉄の棒を炉にいれる。黒色の棒は、やがて真っ赤な姿に変わる。

 取り出した真っ赤の棒には無数の精霊フェイが纏い付く。

 カン、カン、カンと筋肉ダルマがハンマーで叩くと、精霊フェイは踊り狂い宙を舞う。鉄の棒は伸び、やがてフェイの姿もなくなると、水に浸けられジューという音と湯気をだす。


 「やってみろ」


 渡されたハンマーを右手に持ち、火箸で挟んだ鉄を炉に入れる。

 真っ赤になり無数のフェイを纏う鉄を、ハンマーで叩く……と見せかけて水にジュー。

 精霊フェイはカードとなり、ひらひら舞い落ちる。


「やはり私には難しいようだ」


 神妙な顔でハンマーを返す。


 「今、なんかカードみたいなのが…」


 礼を言って逃げるように武器屋を後にする。

 理想はサラナンダーだったが十分だ。欲はかき過ぎないほうがいい。

 再び街の外の川へ向かう。魚、取れるといいな。

 

 川幅は10メートル程だろうか、中に入っていく勇気はないので、川のほとりから沈めてあった樽をカードに変える。当然カードは流れていくが、消えてポケットに戻る。

 広い場所でカードから樽を出す。中を覗くと一杯の水と枯れ草だけ。樽を蹴っ飛ばして中の水をこぼす。

 別の場所で同じ事をする。樽は大小合わせて8個。1つのカードにつき1つの樽しか無理だと思っていたが、マトショーシカの様に樽の中に樽を入れていくと1つのカードで複数の樽をカードにする事が出来た。

 

 「これも駄目か、そうそう上手くいかないな」


 調べた樽の数は7個、残すは一番大きな樽。餌を食べた魚がいつまでも樽の中に留まっているはずもなく、あわよくば隠れ家にでもしてくれればと思い試してみたが、どうやら徒労に終わりそうだ。

 最後の樽をカードにし、平な場所で樽に戻す。半分諦めつつも中を覗く。

 いた、目が合った。とぐろを巻いた大きな蛇だ。


 「ごわぁ!!」


 急いで顔を引っ込めると同時に樽をカードにする。

 蛇は飛び掛かろうとしたのだろう、口を開け噛みつこうとした頭を残し、胴体は樽と共に消え、カードになる。

 取り残された頭はポーンと頭上を飛び越え地面に転がると、やがて新たなカードに変わった。

 危なかった、もう少しで食われるとこだった。

 

 こうして魚ではなくモンスターのカードを手に入れる事に成功したのであった。










うーん…

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ハードボイルドなファンタジー小説も連載しております。よろしければどうぞ 失われた都市ジャンタール
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ