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消えたカードの行く先は  作者: ウツロ
第一章 冒険者編
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コソ泥

 悪態をつきながら街を彷徨う。

 道行く人々が全員敵に見える。


 屋台で買った串焼きを頬張る。そして、よくよく考えてみると、俺は金貨を数枚持っていた。

 銀貨の百倍のパワーを持つ金貨。金の力は偉大だ、心にゆとりが生まれてくる。慈愛の心まで生まれてくるような気がする。

 

 まずは情報を集めよう。隙間産業を探すのだ。あとは商家に潜りこむのもいい、使い走りをしながらでもいい、ノウハウを盗むのだ。



 宿屋のベッドで考える。商人に雇ってもらうのは無理だった。旅の行商人ならいざ知らず、見ず知らずの男を雇う商家など無かった。

 熱意をみせるべく付き纏って頭を下げるも、水を掛け追っ払うババアまでいた。

 情報のほうは十分とは言えないが、それなりに集まった。明日いろいろ試してみよう。




 朝食を食べ街に繰り出す。水を入れる樽と桶、瓶を購入し、街の外へ向かう。

 この街は水資源が豊富だ。近くを流れる川から水路を引き、一般に開放している。

 そこから水を汲む訳だが、多く水を使う施設は子供を雇って賄っている。これを奪うのは本意ではない。今は諦める。

 井戸は厳重に管理されており、そこから取れる飲み水は、水売りなる者が売り歩いている。

 明らかに利権であろう井戸には近づかない方がいい。



 街に程近い川で餌を入れた樽をドボンと沈める。魔物が出たら、一目散に街へ逃げ帰る事の出来る絶妙な位置だ。

 川の水をカードにしようとしたが、範囲が定まらないのか無理だった。ならばと、川に入れた樽をカードにしてみる。無事中身ごとカードに出来た。これで魚がガッポり取れる……はず。

 

 ぼけっと待っていて魔物の餌になるのは嫌なので、樽を放置して街に戻る。


 

 次は教会に向かう。教会ではバカ高いお布施を払うと怪我や病気の治療をしてくれるらしい。光の精霊による治癒魔法だ。魔法を使うには精霊と契約しなければならず、契約方法はよく分かっていない。おそらく隠匿しているのだろう。


 教会の中は一見質素だが、高級そうな調度品がさりげなく飾られいる。儲けてるんだろうなと考えつつ、奥の祭壇を眺めて息を飲む。

 日の光が祭壇を照らし、半透明の輝く小さな人影が無数に空を舞い祭壇を取り囲む。光の精霊だろうか、現れては消え現れては消えを繰り返し、踊るように舞っている。

 祭壇の下には信者らしき人々が、頭をさげ祈っている。

 自分も信者に混じって祈りを捧げる。徐々に前へと進みでる。そして歓喜余った信者のように祭壇に手を差し伸べ、懐に持っていた瓶に光の精霊を入れると、素早くカードにした。

 

 帰り際に司祭らしき人物に精霊の契約方法について尋ねると「弛まぬ信仰が、神々とその証たる精霊様との対話を生むのです」とまるで参考にならないお言葉を頂戴し、教会を後にする。


 

 少し高級な服を着て、武器屋に向かう。腕のいいドワーフが店主をしており、店の裏の武器工房には特殊な炉がある。なんとその炉には炎の精霊が宿るという。


 武器屋の中は様々な武器や防具が展示されていた。だが全てカウンターの後ろに置かれており、手に取る事は出来ない。

 人族らしき店員にまずはブーツを見せてもらう。靴は基本オーダーメイドらしいが、革のブーツはいくつか武器屋に置いてあった。

 あうサイズを購入し、次はクロスボウを見せてもらう。最初は胡散臭そうな目で見ていた店員も、この頃になると丁寧に接客してくれるようになる。

 裏庭で試し打ちもさせてもらい、単発式のクロスボウ2挺と矢数十本購入。金貨が飛んでいく。


 オニアス邸(酒場で聞いた貴族の名)の方から来た。工房を見学させて欲しいと頼むと、快く案内してくれる。

 もちろんオニアスなんて知らない。あった事もない。消防署の方(方向)から来ましたってやつだ。


 工房の中は雑然としている。なにより蒸し暑い。鉄を叩く音もうるさい。

 カン、カカカン 一定のリズムでハンマーを振るう筋肉質の男がいる。二の腕は丸太のように太く、顎鬚を伸ばし、体も丸太のようだ。要するに髭を生やしたすんぐりむっくりの筋肉ダルマだ。


 「親方、こちらの方が工房を見学したいと」


 筋肉ダルマは振り返らない。聞こえてないのか、あえて無視しているのか。

 おそらく後者だろうと考え、勝手に見学するのでそのままでいいと伝えると、店員は「怒られますんで、その辺の物に手を触れないで下さい」と言うと店に戻っていった。


 筋肉ダルマを尻目に炉に近づき眺める。

 轟々と燃える火はまるで生き物のようだ。様々に形を変え燃え、踊り狂う。その姿は荒れ狂う嵐ようでもあり、トカゲの様でもある。


 トカゲ?


 目を凝らして炎を見る。いた、燃え盛るトカゲ、サラマンダーだ。

 サラマンダーは炎を食い、さらに大きな炎を吐き出す。体からはパチパチと小さな炎を飛ばす。それは小さな人の姿をしており、ゆらゆらと体を震わせると、やがて大きな炎に飲み込まれていく。

 炎の精霊フェイだ。

 酒場で昼間っから飲んだくれていたオッサンから聞いた話の受け売りだが、間違いないだろう。

 

読んでいただいてありがとうございます


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ハードボイルドなファンタジー小説も連載しております。よろしければどうぞ 失われた都市ジャンタール
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