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消えたカードの行く先は  作者: ウツロ
第二章 行商編
22/50

再び

 ここはダリアの街の一般区。

 街ゆく人々が今日の食材を求めて屋台に目を向ける。


「リンゴいかがっスか~」


 間の抜けた声で呼び込みを掛けるのは、エム。そう俺だ。


「コイツは旨えや!!」


 すぐ傍でリンゴにむしゃぶり付いているのはテンガ。

 これで六個目だ。勿論サクラだ。

 

「あんまり売れないね」

「そうだな」


 俺達は損した分を少しでも取り戻すべく、リンゴを馬車の荷台で売る事にした。

 食料が不足しているとは何だったのか。

 だいたい何でリンゴなんだ。単価が安くて大量にある。さばくのが大変だ。


 こんな事では腐ってしまう。損切だ。さっさと別の街に行っちまおう。


 行く先の選択肢は二つ。険しい道で一週間の距離にあるアーケの城下町へ向かうか、道を引き返しデッサの街を経由して北東にあるルクセリオの街へ向かうかだが。


 


 デッサの街へ引き返す事にした。商会と顔を繋ぐ事を優先する。

 儲けが見込まれる商品は以下の品だ。

 岩塩、鉄鉱石、干し肉、毛皮、陶磁器。


 ギルドにもよっていくか。何か依頼があるかもしれん。


 依頼掲示板の前で「ボケー」としていた。何せ字が読めんのだ、大人しく二人に任せる方がいい。

 取り敢えず在庫処理に貢献すべくリンゴを食べていると、なにやら不快な声がする。


「よう! エムじゃねぇか。元気だったか」


 オニールだ。俺の依頼を断りやがった癖に何故ここに。


「心配だったから後を付けて来たに決まってんじゃねぇか」


 この野郎、堂々と噓つきやがって。 え、本当なの?

 後ろに居たビューイを見ると、首を横に振っている。


 やっぱり噓か!! 



 ギルドにて皆でエールを飲む。俺のおごりだ。優秀な商人は情報収集を欠かさないのだ。

 何か俺、奢ってばかりだな。たかられてんのか。


 オニール、ビューイ、アンの三人組は別の隊商の護衛依頼で来たらしい。

 ホンマかいな、全てが噓に思えて仕方ないんだが……。

 

 オニール達もデッサの街に帰るらしく同行する運びとなったのだが、食事はこちら持ちらしい。

 確かに護衛依頼と考えれば破格なのだが、何かモヤモヤするな。



 現在俺は4のカードまで出せる様になった。やはりというか数字は召喚可能回数を現すようだ。

 物をカードにした場合、数字に意味があるのか定かではないが、なんとなく積載量に関係している気がする。

 トランプよろしく一つの数字に対して四枚カードが存在し、現在十六枚のカードを操る事ができる。

 だが仮に4のカードを召喚した後、3のカードが埋まっていた場合2にカードになってしまう。そのため一つは開けておいた方が無難であり存外使い難い。



 翌日商会を巡り、少しでも安く商品を買うべく交渉するも中々に難しい。オニールの伝手つてで干し肉と鉄鉱石は少しだけ安く買う事ができたが。

 街との距離が近いため価格差が余り無く、生産者と繋がりが無い事が儲けを縮小させている。




 次の日デッサに向けて出発する。荷物を馬車に乗せ徒歩での移動となる。

 馬車に乗るのは御者の俺と、一人ずつ交代で荷台で休む者だ。座り続けは結構辛い、特に出発前からケツにダメージを負っているからな。ガキンチョめ。


 今回食費が馬鹿にならない。なんせ六人と牛だ。

 以前お年寄りが言っていたが、戦後食べる物がなく芋ばっかり食べていたそうだ。「芋は見たくもない」と。

 リンゴ尽くしだ。トラウマになる程リンゴを食わしてやるわ。特にオニール、奴には芯の部分をふんだんに使った料理を出してやる。特別料理だ有り難く思え。



 特にトラブルも無く馬車は進んでいく。こちらの数が多いとやはり襲う者は減ってくる。

 狩りでは弱い者、孤立した者が真っ先に狙われる。自然の摂理であろう。

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ハードボイルドなファンタジー小説も連載しております。よろしければどうぞ 失われた都市ジャンタール
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