視線
ギルドの西側の依頼受付カウンター、アンが何やら手続きをしている。
お尻をジッと見つめるも、ローブの下に防具を身に着けてるのかちっとも楽しくない。
目の前にはオニール。俺の目線をちょこちょこ遮ろうとする。お前らデキてんのか。
逃げられ無い様にするためか、背後にはビューイ。何気にコイツが一番怖い、逃走したらナイフを飛ばしてきそうだ。
手続きを終えたアンはこちらに来ると四人でゾロゾロとギルド内部へ入っていく。
テーブルに着くとギルドの職員が依頼受注書みたいな物を持ってきてオニールに手渡す。
それ俺充ての依頼だよね、何で君が受け取るのよ。
「それでいくら欲しいんだ」とオニール。
そう言われてもなぁ、相場が分からんし。金貨ぐらい欲しいなぁ。
「チッ、欲張り過ぎだ。その程度の依頼は5銀が精々だ。
特別に色を付けてやる。遺品が見つかりゃ50銀、でなけりゃ10銀だ」
そう言って書類に何かを書き足す。
さっさと受注しろと、三人のプレッシャーが半端ない。たちの悪いのに返済を迫られる債務者のようだ。
フン、俺は詐欺師だ。闇金だって騙してやるさ。
書類を引ったくって見つめる。怪訝な目で三人が見つめる。
失礼な、数字ぐらいなら読めるわい。
確かに50と10の数字が書いてある。だがこれじゃあ、俺が払うのか受け取るのかすりゃ分かりゃしねぇ。
どうする?今更こっ恥ずかしくて字が読めませんなんて言えねぇぞ。
スッと席を立ってギルドの職員の元へ歩いていく。小声で読んでもらうようお願いする。
ギルド職員はこちらの顔をジッと見つめた後、依頼掲示板の方に向かって言った。
「おいコール、この書類読んでやりな」
やめて、バラさないで!!
依頼を受けた後は四人でエール片手に話し合う。
出発は明日。ビューイの手書きの地図で場所を確認。
日帰り、もしくは野営有りとなった。最低限の持ち物を確認した後、解散となった。
目に焼き付けた地図を羊用紙に書き写し、ギルドで所用を済ませてから携帯食料などを購入し、宿に帰るのであった。
部屋で瓶から光の精霊を取り出す。光の精霊はフワフワと宙を舞い点滅……
眠たいのでさっさと闇のランプと命名した魔道具に火を灯す。辺りが漆黒の闇に閉ざされる。何も見えない完全なる闇だ。
ランプの火を消して周りを見渡しても、光の精霊の姿はない。カードを確認すると1のカードに光の精霊が描かれていた。
光の精霊と契約し、回復魔法を試してみる。
ナイフで軽く手の甲を切る。手をかざし治れと念じるも変化なし。暫く頑張ってみると「治ってるような気がする」程度だった。
まあ夜だし、こんなもんか。
あるかどうか分からないが、照明の魔法とかどうだろう。昼間は眩い光が発生し、夜は使えない。必要な時に役に立たないという、なんとも世知辛い魔法である事か。
だが考える。光が無ければ光魔法を使えないなら、闇のランプは光の使徒との闘いの切り札になるのではなかろうか。そんなもの居るのかどうか知らんが。
いません。