友達っていいもんだな
あるところにタカシという名前の小学生の男の子がいました。
タカシ君にはヨシオという名前の友達がいました。
二人はいつもいっしょ、仲良くしていました。
タカシ君は勉強が苦手でしたがヨシオ君は頭が良くて勉強ができました。
だから、テスト前にはいつもタカシ君はヨシオ君に勉強を教えてもらっていました。
「いつも教えてもらってごめんねヨシオ君」
「別にいいよ、友達なんだし」
「でも、僕は何もしてあげてないしなぁ……やっぱり悪いよ」
「もしかすると僕のほうが助けてもらう時が来るかも知れないし、気にしなくてもいいよ」
「わかった、その時がきたらぜったいに助けるからね! 」
毎日楽しく暮らしていた二人でしたがある日事件が起きました。
学校の裏の窓ガラスが割られたのです、しかも犯人はヨシオ君だというのです。
先生はみんなの前でヨシオ君を叱りました、ヨシオ君は真っ青になって「僕じゃない」と言いましたが先生は聞いてくれませんでした。
その日のうちにヨシオ君は「悪い子」と言われるようになってみんなから避けられるようになりました。
何日かするとヨシオ君は学校に来なくなってしまいました。
「絶対におかしい! ヨシオ君はそんなことしない!」
タカシ君はヨシオ君のことを信じていました。
だから助けるためにがんばることにしました。
タカシ君はヨシオ君の家に行ってヨシオ君と話しました。
「ぜったいに僕がなんとかするから!ヨシオ君は僕が助けるよ!」
「ありがとう、でも、先生が僕が犯人って言っているんだからどうしようもないよ……」
「……だったら僕が先生に『ヨシオ君は悪くない』って言わせてみせる、そうすればみんなも信じるし」
「……そんなことできるのかな」
「わからないけどとにかくやってみる!まずはガラスを割ったやつを見つけないと。ガラスが割れた時に犯人ぽいのとか何か見てない?」
あの日、何かが壊れたような音を聞いたヨシオ君は音が聞こえてきた方へ行ってみることにしました。
その時、クラスメートの二人が音のした方から走ってきてヨシオ君とすれ違いました。
ヨシオ君が行ってみるとガラスが割れていました、そこに先生も駆けつけてきて「お前が割ったんだな」と言われてヨシオ君が犯人になったそうです。
「それじゃ、多分あいつらが犯人だな。あいつらに聞いてみよう」
タカシ君はその二人を人のいないところに呼び出して聞くことにしました。
「本当はお前たちがガラス割ったんじゃないのか?正直に先生に言わないとだめだろ!」
「……なんのこと?割ったのはヨシオ君だろ?僕らは何もしてないよ」
ぜんぜん正直に話す気は無いようです。
なのでタカシ君はとっておきの手を使うことにしました。
「わかった、じゃあ、警察に頼んで調べてもらうことにする」
「えっ……」
二人の顔色が変わりました。
「警察はすごいんだぞ?何年も前の犯人も見つけれるんだからガラスを割った犯人なんて簡単に見つけれるんだぞ?」
「う……」
「それじゃ、僕は警察に言いに行くから」
「ま、待って、正直に言うから。それだけはやめて」
話を聞いてみるとやっぱりこの二人が犯人でした。
二人でボールで遊んでいたら割ってしまい、怖くなって逃げたそうです。
タカシ君は二人といっしょに先生のところに行きました。そして何があったかを説明しました。
それを聞いた先生はヨシオ君に謝りました。
「先生が間違っていた、すまなかった」
「先生、みんなにヨシオ君は悪くなかったってちゃんと説明して。あと、謝るならヨシオ君にあやまらないと」
「そうだな、そうするよ」
その日のうちに先生はみんなにちゃんと説明してくれました、学校が終わった後にはタカシ君といっしょにヨシオ君の家に行ってヨシオ君にあやまってくれました。
ヨシオ君は事件が解決したのが嬉しくてずっと泣いていました。
次の日からヨシオ君は学校に来れるようになりました、もうヨシオ君のことを悪く言う人はだれもいません。
「タカシ君本当にありがとう、タカシ君がいなかったら僕もう学校に来れなかったかもしれない」
「こまった時には助けるって約束したしね?それに僕ら友達でしょ?助けるのは当たり前だよ!」
「うん……本当に本当にありがとうタカシ君!」
「そのかわり、また勉強教えてね?」
「うん、わかった」
こうして二人は前よりも仲良しになりました。
今日も二人は仲良く平和に遊んでいます。