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胡蝶の夢

作者: 真雪







「私は夢の番人。番人と言っても人の夢を観察するだけなんだけど。今日は誰の夢にしようかしら」


「……よし、決めた。この子にしましょう。この子はどんな夢を見るのかしら?」






ーーーーーーーーーーーーーーーーーー







「うわっキモっ良子じゃん。近づかないでよ、臭いから」


そんなこと言うならいちいち絡んでこなければいいのにと思いつい睨みつけた。



「は、何睨んでんの?つーかこっち見んなよ。気分悪くなる」


「あいつなんかぶつぶつ言ってるけど、もしかして俺たち呪ってる?」


「マジ!本当きも〜い」



教室に嫌な奴らの笑い声が響き渡り顔を顰めた瞬間、目の前に大量のノートが置かれた。

私が1番嫌いな優花のお出ましだ。


「ダメだよそんなこと言っちゃ、良子のおかげで宿題とか助かってるんだから」


「確かに優花の言うとおりだな。でもやっぱいいたくなるだろ?」


「可哀想よ。本当のこと言っちゃ」


「本当のことってww 優花も十分酷いよ」


「そお?まぁそれはいいとして、良子この宿題よろしくね。きちんと明日までにしなかったらどうなるかわかってるわよね?」


「…………」


「おい!なんか返事しろよ」


「いいのよ。優しい良子のことだからきっとやってくれるわよ。よろしくね良子」




笑いながら優花たちは教室からでて行く。




「優花こわ〜いww」


「何が?」


「あの量の宿題今日中に終わらせるとか、不可能じゃない?」


「わかってて言ったの。明日が楽しみ!」


「優花鬼畜だなw」


「でしょ?」




遠くで優花たちの私を馬鹿にする声と笑いが聞こえる。







悔しい。

どうして私があんな顔だけのやつらに馬鹿にされなきゃいけないんだ。

宿題をしないといけないんだ。

いっそこの宿題を破いてゴミ箱に突っ込んでやろうか?

そして明日になったら知らん振りしてやればいい。

でもそんなことしたら何されるか……


もう嫌だ……

死にたい。

でも死ぬのは怖い。

いっそのこと消えてしまえれば楽なのに。


こんなこと考えてる場合じゃない。

明日までにこれ全てを終わらせなければいけないんだ。




私は優花たちがおいていった宿題に手を伸ばす。




どうしてこうなったのだろう?

なんでこんなことしないといけないの?

誰か助けてよ……





涙で目の前がぼやけて宿題が出来ない。

早く涙を拭かないと。

宿題に涙が落ちたら、優花たちになんて言われるか。




もう本当は学校なんて行きたくない。

それか転校したい。

でも親が許してくれない。

あの人は世間の目ばっか気にして、私のことなんか全く考えてくれない。

どうしてあんな親の子に生まれてしまったのだろう?

もうみんな嫌い、大嫌い!

こんな自分自身さえも。

みんな消えちゃえばいいのに!!!






ーーーーーーーーーーーーーーーーーー






「ん、んーー」


「ほら、良子ってば起きなさい!」


「え、あれ、宿題は?」


「何言ってるの?昨日したでしょ」


「あ、夢?」


「とにかく早く準備して朝ごはん食べなさいよ」






なんか嫌な夢見たな。

というかどうして私が優花なんかに虐められてるのよ!

あーもう、イライラする。

私が虐められるわけがないし、というか私が虐めてる側なんだから。

本当に最悪な夢!

まぁ、所詮夢は夢でしかないんだしいいか。

ああ、そう考えると私って幸せ者かも(笑)

大抵なことは叶えてくれる両親だし、友達もたくさんいるし、虐めてストレス発散も出来てるし、本当最高!



ふふふ、今日はどうやって優花を虐めてやろうかな?

本当楽しみ!






ーーーーーーーーーーーーーーーーーー






「皆さん胡蝶の夢って知ってますか?胡蝶の夢というのはある人が夢の中で胡蝶になり、自分が胡蝶か、胡蝶が自分か区別がつかなくなるという話です。この夢は良子にとってただの夢なのでしょうか?それとも……あらいけない少し喋りすぎね。まぁ、皆さんも夢と現実の見境は見失ってはいけませんよ」











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