表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
71/113

71、カフィスの洞窟1 ~VSネズミ~

 何だろう。村長、もしかして俺の考えに気づいていたのかな。


 そんな風に思ってしまった。


 いや、でも会ったばかりの人間のことを正確に判断するのはそう簡単ではないよな。


 が、あるいは村長程の人生経験を持つものなら、簡単なのかも知れない。


 まあ、そんなことを若輩者の俺が考えても無意味ということだ。


 俺にできるのは、その亜人獣とやらを倒すことだけ。


 他ならぬ、俺自身の為に。


 レベル上げには持ってこいな依頼である。これを俺の為と言わずして何の為というのだ。


「さて、ここか」


 地図の通りに歩いてきたら、洞穴があった。いや、ないと困るのだが。


 ここが『カフィスの洞窟』とかいう場所で間違いないだろう。


 うむ、では早速入ろうではないか。


 ……入ろうではないか。


 いえいえ、別にビビッてなんかいませんよ? いませんけど、ほら、ね?


「仕方ない。入ろう」


 入った。













 中は勿論暗かった。


 外はあんなにも天気が良かったのに、中に入った途端にこれである。いやあ、湿っぽい洞窟だなあ。


 天井を見ると、小さな氷柱のようなものがいくつかあった。


 何だろう、鍾乳洞みたいな感じなのかな。


 だがそれにしても、ここは暗い。暗すぎてあまり周りが見えない。


「そうだ。こんな時は」


 想像魔法。


(照らせ)


 想像すると、俺の周りに四つの明かりが灯った。


 手に持つとかは面倒だからさ。俺の右前、左前、右後ろ、左後ろにそれぞれ一つずつ明かりを用意したという訳である。


 決してビビッていて多くつけたとかそういうことではない。


「ん……?」


 よく見るとその明かり、結構大きい。大きいとは言っても、勿論想像したものよりは小さいのだが、今までの効果からするに、光の球はもう少し小さくてもいいはずなのである。


 それなのに、今俺の周りを飛んでいる光球は、それなりの大きさを保っている。


 おっ、これは少し上達したということなのかな?


 地味な所で少し嬉しくなる俺であった。


「にしても、この洞窟、どこまで続いてんだ?」


 もしかすると、反対側まで抜けているのかも。先程から何度か大きな空間になっている所もあるし、結構複雑なつくりになっているということもあり得る。どうしよう。これ、帰り道分からないんじゃね?


「っ!?」


 帰り道に対する不安を抱いていると、目の前にそれを越す懸念事項が出現した。と言っても亜人獣ではない。


 ただの、獣である。


(能力確認!)


 すぐさま目の前の巨大ネズミのような化け物の能力を確認する。






 生物名  トーグ

 レベル  44






 ふう。強敵ではないようだ。しかしレベルの観点だけで言うのなら俺よりレベルは高い。油断はできない。


「ギヤアァ!」


 目を光らせたネズミは、俺の姿を確認するなり襲ってきた。が、この程度であれば恐れるに足りない。ドラゴンの方が余程凶悪である。巨大ネズミとは言っても所詮はネズミである。だいたいルテティアと同じサイズくらいかな。


「とうっ!」


 単調に飛びかかってくるネズミに思い切り蹴りを食らわせた。


「キャイィ!」


 俺の蹴りを腹に食らったらしいネズミは情けない声でのけ反った。


 ……弱い。


 本当にレベルとか関係あんのかな。全然当てにならないんだけど。


 もう一度蹴りをお見舞いする。


「ギャァ!」


 すると再び情けなく吹っ飛ぶ。


 だがまだ反抗力はあるようだ。ネズミは大きく下がって威嚇すると、再び飛びかかってきた。


 単調ではあるが、今度は速度が違う。


「おっと!」


 急にスピードが上がったため一瞬驚いてしまったが、まだ躱せない速度という訳でもない。


 俺は左足で地面を蹴った。


煉獄炎インフェルエイム!」


 躱したついでに、ネズミを丸焦げにしようと炎の技を放った。因みに技の名前は今咄嗟に考えた中二感溢れるものである。良いだろう? 当意即妙だろう?


「ギァャゥ……!」


 悶えるネズミ。ふむ、これで大丈夫かな――


「ギャアアアアァッ!」


「な、何だ!?」


 と思ったら何と、ネズミが炎を纏ったまま俺に突進してきた。


 ば、馬鹿な。


 炎のネズミ、だと?






 トーグ 詳細

 属性ダメージを受けた際、その属性に変わる。






 カク○オンかよ!


激流槍げきりゅうそう!」


 ちっ、詳細を先に読んでおけば良かったぜ。しかし、受けた属性になるということは、その属性に対して有効な魔法を選べばいいだけのことである。


 普通一人が使える属性には限りがあるようだが、幸いなことにこのインチキ魔法は範囲だけは完璧である。一回毎に違う魔法にすれば問題ない。


「ギュアアッ!」


 ネズミの鎮火、完了。


 しかし案の定、今度はネズミが風呂上りのビーバーみたいになった。あれ? ビーバーって風呂入るよね?


「ギョォォオオッ!」


「な!?」


 余裕をぶっこいていたら、そのネズミが口から水流を出してきた。だから何でハイド○ポンプ!?


 何なんだよこいつ。超うぜえぞ。


 これは、先程の発言を取り消さざるを得ないな。


 こいつ、強い。


 体力も高そうだし耐久力もありそうだ。


 加えて俊敏性も十分。それに凶暴。


 厄介な相手だ。亜人獣と戦う前にこんなやつで疲弊することになろうとは。


雷神愚賛ライジングサン!」


 属性と技名が全く関係のない技を出してみた。


 俺の手のひらから放たれた電撃がネズミの体にぶち当たる。


「グョアアア!」


 電撃により痺れるネズミ。


 よしよし、調子良いぞ。


 が、しかし。


 ここで俺はヒヤッという体験をしてしまった。


 あれ、雷属性に有効なのって、何だろう。


 ポ○モンの属性表は当てにならないからな。こういう場合どうすればいいんだろう。


「キョアアア!」


「絶縁体ソード!」


「グヒャア!?」


 突発的に召喚した絶縁体ソードによって、取り敢えずは身を守った。


 ふう、少し焦ったぜ。


 冷静に考えてみれば、何も毎回有効属性を食らわせる必要などないではないか。


 雷をまとったネズミ相手に炎の攻撃をしても普通に食らうだろうし。おかげで絶縁体ソードとかいう訳の分からない代物を召喚してしまった。


「食らえ! 炎兆閃破機雷エンチョウセンハキライ!」


 俺はそろそろ片づけるか、と決意すると、両手で波動弾っぽいのを放った。


 イメージは、炎、光、雷である。


 食らいやがれ。


「ギョアアアオァ……!」


 俺の波動弾と共にネズミが吹っ飛ぶ。そして天井の一部も崩れる。やべ、ちょっとやり過ぎたかな。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ