表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
53/113

53、ドラゴン athwart ザ・ウィンド ~低空滑空、ドラゴン急襲~

 確かにリィサは良い動きをする。だがだからと言ってこのままドラゴンに勝てるかといったらそんな上手くはいかないだろう。


 故に何かモーションを起こすべきである。


 例えば二対一の状況において有効な策は。


 おとりだ。


 この場合、どちらがおとりになるかというのは分かりきっていることである。


 両方だ。


 上手な連携が取れないのなら、せめて味方の攻撃を阻害しないように攻撃する。


 互いが互いを邪魔しないだけでそれは一種の連携と言える。


 しかしお互いに相手のことを気遣っていたのではやはり効率が悪い。


 だからリィサには全力で戦ってもらうのだ。


 注意は俺がすれば良い。


 俺は左手を前に突き出して、念じた。いや、声に出した。


火焔鈍器流星群グラムフレイムメテオグレム!」


 直後、俺の後ろ情報が輝き、そこから大量の火焔鈍器が放出された。


 俺とリィサはドラゴンを跨いで反対側にいるので、この火焔鈍器流星群が彼女に当たることはない。


「グラアァッ!?」


 背後からの攻撃に気を取られたのか、ドラゴンが俺の方を向いた。よし、おとり役は交代だ。


「どうしたデカトカゲっ! 俺を踏み潰すんじゃなかったのか!」


 挑発に意味はないのだろうけれど、何となくやってみた。そう、これはテンションの問題である。


「グラェェアアアアアア!」


魔導障壁ウォリアルマズール!」


 両手のスタンピングクラッシュを壁を作りだすことによって防ぐ。うん、パクリですが何か?


「ってやばっ!」


 咄嗟に横に飛んだ。


 直後先程まで俺がいた所にドラゴンの両手が振り下ろされる。


 おお、死ぬところだった。


 俺のレベルは低い。だからリィサの真似事をしようとしたって所詮は偽に過ぎないのだ。だから強度が違う。


 しかし、その程度で俺が諦めるとでも思ったか。


 強度が低いのは俺のレベルが低いから。経験が足りないから。


 だからこうして経験を積みに来ているのである。もっと強くなれば強度は上がる。だから今防げないのは当然のことなのだ。


(レイピア、召喚)


 両手を振り下ろした直後、その隙に俺は想像魔法によりリィサと同じレイピアを創造した。いつ折れるか分からないけど。


「せあっ!」


 ドラゴンの隙を逃さず、リィサが背中側から追撃を加える。


「グラルゥァァァ!」


「ちっ!」


 このドラゴンも馬鹿ではないらしく、背後からの攻撃に備えていたのかその強靭な尻尾でリィサが近づくのを牽制した。


 だが向こうを気にしている余裕はない。俺はレイピアをかっこつけてクルクルと回すと、ドラゴンの足に切りかかった。


「水平斬り!」


 明らかにレイピアの使い方を間違えている。そう思わせる軌跡だった。


 レイピアとは素早さと突きに特化した武器である。間違っても水平斬りなどしてはいけない。まあ、間違ったんですけどね。


 当然、折れた。


 折れて消滅した。


 だが、大事なのは俺の想像魔法には制限がないということだ。


 MPなど関係ない。


「レイピア二本、召喚!」


 二刀流風に持ち、今度は思い切り突き刺した。


「グラァァッ!」


 俺に視線を向けてきたドラゴンはその強力無比な顎を俺の方に向けてくる。何だ、噛み殺そうというのか。


 当然、避けない理由はない。


 俺は突き刺さった二本のレイピアをそのままにし、ドラゴンの足元の方へと回避した。


 顔は前にしか突き出せない為、俺に攻撃を当てることはできない。


 ただ、いつまでもドラゴンの足元にいるのは危険だ。


 どの方向に突進されても巻き込まれてしまう。


 この世界の人間は身体能力が高いようだけれど、流石にモ○ハンの魔人達のような強靭さは持ち合わせていないだろうから。特に俺なんかはまだ新米である。


 突進は御免だ。


狂炎龍撃クェルスラリアス!」


 再び俺の方に注意が行った途端、リィサが後ろから急襲する。


 細いレイピアに幾重にも巻かれた炎の渦を装備して。


「せいっ!」


 可愛い声と共に、豪快に横振りした。


 あれ? レイピアってそんな使い方だっけ?


「グラアアアアアアアッ!」


 が、予想外に効いているようだった。


「ナイスプレイだ! リィサ!」


 返事を期待してのことではないが、戦闘中にお互い一言も喋らないのもどうかと思い、そう一声かけておいた。


「もう一度レイピアだ!」


 強く念じ、レイピアを手元に召喚する。


「あんた! それどうやって――」


「今は戦いに集中だ!」


「わ、分かったわよ!」


 俺はリィサにそう呼びかけると、リィサと同じサイドに立った。


「ちょっと危ないから下がってろ! ――レイピア、大量召喚! おらおらおらおらっ!」


 リィサの一歩前に出て、俺はレイピアをドラゴン向かって投げ始めた。


 え? 何でレイピアなのかって? そりゃそれが最初に思いついたからさ。


 本来の使い方とは明らかに異なるのだが、この際は別にそれで構わない。


 レイピアであってレイピアでない。俺はとにかく次々とエセレイピアを召喚してはドラゴンに投げつけた。


 とにかく物量で押すしかない。


 とは言え重過ぎると投げにくい。だから案外レイピアは適しているのである。


 レイピアを数十本投げた所でドラゴンがいよいよ痺れを切らしたのか、


「グォオオオオオォッ!」


 と一つ大きな雄叫びを上げた。


 上げた後、大きく空気を吸い込んだ。


「リィサ! 逃げろ! ブレスだ!」


 とリィサに退散命令を出し、俺も逃げる。


 勿論逃げますとも。ブレスは絶対回避です。


「グアアアアッ!」


 直後、ドラゴンが火を吹いた。


 はい、よく出てくる感じのをイメージしていただければいいと思います。


 そんな感じです。


 ……何か特殊なブレスが来るのかなと思っていた俺は少々拍子抜けした。


 と言っても、食らったら丸焦げである。


「よし、今だ!」


 ブレスが終わった後、すぐに俺はドラゴンの後ろに回りこむ。また最初の図式に戻った。


 これからもう一度同じパターンで攻撃をすればノーダメージで済むはずである。


「火焔――」


 ともう一度俺の必殺技を繰り出そうとした時、ドラゴンが翼を広げた。


轟雷神速光ギガリオン!」


「やめろっ! リィサッ!」


 ドラゴンが翼を広げたら要注意。


 飛んだら要注意。


 全力で逃げなければならない。


 だがリィサは思い切りドラゴンに向かって行っている。


 ドラゴンがリィサの方を向いた。



 駄目だ。


 駄目だ。


 駄目だ。



「駄目だっ!」


 俺は攻撃をキャンセルし全力で駆けつける。


(もっと速く!)


(もっとだ!)


 加速し、加速し、リィサの元へ、低空飛行のような形をとって近づく。


 体勢を低くして空気抵抗を抑える。


 もっと低くする。


 体と地面が並行になる。


 そして、リィサの腰をがっしりと掴んだ。


「グラアァァアアアァァァアアアァッ!」


 と同時に滑空攻撃が押し寄せる。


 俺と似たような格好で、ドラゴンが飛んできた。


 いや、飛んできたというよりは。


 もう目の前にいた。


「ぐはぁっ!」


 翼の鋭利な部分で腹部が引き裂かれた。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ