33、クラスメイト except キエル ~称号の消失よりも問題なことがあるだろう~
「ぐっ……」
「な、何、だったんだ……」
「……ぅぅ」
「……み、みんな大丈夫……?」
海王、西治、綾火、友理の四人は無彩色の大地に上で仰向けになって倒れていた。
周りには何もない。
白仮面の姿も、ない。
四人しかいない大地に、四人ともが倒れている。
気絶していたのだろうか。
海王は皆の声を聞いてひとまず安心すると、三人よりも先にゆっくりとではあるが上半身を起こした。
「みんな、無事か?」
「ああ……」
「うん、大丈夫だよ~」
「アタシは大丈夫」
大けがをしている様子はなさそうだ。それだけでも海王の心的負担は減少する。
「何だったんだろうな……あの白仮面……俺達の、クラスメイト、なのか……?」
海王は白仮面の言っていたことを思い出していた。
綺慧瑠君のことを知っているか、というような内容のことを聞いてきたはずだ。
「な、なあ海王。その、何だっけ。きえる? とかいう奴って、誰なんだ?」
次に上半身を起こした西治が海王に尋ねる。
「ええっと……確か、きえるっていう名前のクラスメイトがいたはずだ……」
たどたどしくも海王が言った。クラスメイトの名前を憶えていないとは随分なことだが、彼らは本気で憶えていないらしい。ここまでくるともう仕方のない感じがしてきてしまう。
「……そんな奴いたっけ? うーん、分からん」
西治が唸り声を上げる。一応思い出そうとしているようだが、それでも出てこないものは出てこない。
「確か……名字は煌々川。さっき白仮面はそう言ってた気がする。……ああ、そんな名字のクラスメイトがいたようなきがするな……端っこの方の席に」
「いたか?」
「私全然記憶にない~」
「アタシも……うーん、憶えてないなあ……」
皆、憶えていない。
「でも、俺達四人が全員憶えていないなんてこと、あり得るのか? 何か月も一緒に生活してきたクラスメイトなら、顔と名前が一致しない人間はいたとしても名前そのものが分からない人なんていないと思うんが……」
海王がかなり真面目な顔でそんなことを言う。
「確かにそうだよね~ 私達結構顔広いし、普通なら知ってると思うんだよね~」
「アタシも顔は広い方だから、クラスメイトは全員分かると思うんだけど……」
さらに女子二人も真面目な顔でそう言う。
「あれじゃね? もしかしてさっきの白仮面の言った「クラスメイト」ってのは俺達が一年の時の話だったり、なんじゃねえか? ほら、俺達がつるむようになったのって二年に上がってからじゃん? 一年の時はクラス違ったし、だったらあの白仮面は俺達のうちの誰かに、一年の時のクラスメイトって意味で言ったんじゃね?」
「……なるほど。確かにそういう解釈もできるな」
「あ、それっぽくない?」
「うーん、そうかも~」
皆納得する。
納得してしまう。
「……ああ、そんなことより、みんな怪我してないか? かなりの風圧で飛ばされたから結構痛かったと思うんだけど」
海王が一応皆に尋ねる。もしかすると怪我していないように見えるだけで、内部に損傷があるかもしれない。
「俺は本当に大丈夫だ」
「私も~」
「アタシも」
「そうか、良かった。でもみんな一応HPを確認してみよう。どのくらい減ってるのか見ておいた方がいい」
そう促して、海王は自分のステータスを見た。
それにつられて三人も見る。
名前 国立海王
LV 271
HP 32000/58000
MP 4480/56000
ATK 49400
DEF 48300
MAT 42700
MDF 49500
SPD 46200
LUK A
EXP UNKNOWN
特性魔法 エスケイプフレイム 火属性攻撃時全ステータスアップ、相手の攻撃を逸らす。
JOB 異世界人 候補者
名前 外森西治
LV 262
HP 51000/65000
MP 12000/23000
ATK 49300
DEF 49700
MAT 41700
MDF 36400
SPD 33300
LUK A
EXP UNKNOWN
特性魔法 チャージ 攻撃していない間攻撃力が次第に上がっていく。攻撃すると元に戻る。
JOB 異世界人 候補者
名前 時沢綾火
LV 260
HP 19000/44000
MP 40000/50000
ATK 40300
DEF 41400
MAT 42600
MDF 41100
SPD 39300
LUK A
EXP UNKNOWN
特性魔法 マジックジェム 魔法攻撃を受けた時MP全回復、MAT、MDFアップ
JOB 異世界人 候補者
名前 佐々田友理
LV 269
HP 34000/50000
MP 44300/55000
ATK 49700
DEF 47200
MAT 43800
MDF 37200
SPD 40000
LUK A
EXP UNKNOWN
特性魔法 アビスボディ 攻撃を受けるとATKアップ、高確率で相手に状態異常
JOB 異世界人 候補者
「異世界、人……?」
「お、おい! 俺のステータス、『黒勇者』がなくなってるんだけど!」
西治が驚愕の声を上げる。
「私も~」
「アタシにもないよ!?」
「……俺もだ。代わりに『異世界人』っていうのと『候補者』っていうのがある」
海王の呟きに皆一様に頷く。
「これは……どういうことなんだ?」
海王が自問すると皆一様に顔を青くする。
「お、俺達ってもう、勇者じゃないのかよ……?」
「え~、どうなるの~?」
「あ、アタシ達、勇者じゃなかったら、もう用済みなんじゃないん……?」
更に一段と暗い雰囲気が漂う。
「と、とにかく今は遠征を続けよう。幸いその他のステータスはちゃんと上がってるみたいだし、今のところ戦闘に不便はない。だからまずは、『カウェルス』まで行こう」
「ああ、そうだな」
四人は立ち上がり、大地の先を見る。活力はない。
道は、まだまだ遠い。




