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3、四人召喚 ~ところで、リア充の場合は~

 驚愕せざるを得ない。偽勇者って何だ。初めて聞いたぞ。っ言うかせめて(仮)くらいはとってくれよ。偽物に加えて(仮)ってどんだけエセなんだよ。


「どうだ、ちゃんと『勇者』の文字があったであろう?」


 俺が一通り確認し終えたのを見計らって国王が尋ねてきた。いや確かに『勇者』の文字はありますけどね、偽ですよ、偽。


「ああ、一応あるな」


「そうか、それでどちらだったのだ?」


 間髪入れずに国王が言う。もう少し待てないのかよおっさん。


 それはともかく、どう答えたものか。


 正直に言えば「どちらでもない」のだが、それを言ってしまうと俺の価値が無くなってしまうだろう。


こいつらは本物の『勇者』にしか興味が無いんだから。もしそんな事になったら俺までその辺に放り出されて途方に暮れる羽目になってしまう。そんなのは御免だ。


「黒い方だったぞ」


「そうか、『黒勇者』であったか!」


 仕方なしに俺は答えた。

 嬉しそうな表情を浮かべる国王である。お前に喜ばれてもちっとも嬉しくないんだが。加えて隣のちょび髭も嬉しそうにしている。さらには王女も嬉しそうにしている。


 ……まあ、王女可愛いからいっか。


 因みに「黒い方」というのは「腹黒い方」の略である。偽者なのに勇者を名乗り、皆を騙すなんて実に「腹黒い」だろう。


「ふむ、ではダートン、『黒勇者』用の品を持って来るのだ」


「ゴートンです」


 名前の訂正をして、ダートン、じゃなかった、ゴートンは奥の方へ何かを取りに行った。国王さんよ、自分の部下の名前くらい憶えてやれ。


「さて、『黒勇者』よ、そなたの名前を問おう」


 本来最初に訊くべき事だと思うのだが、国王にとってはどっちの『勇者』か、の方が大事だったようだ。


「俺は綺慧瑠。名前で呼んでくれ」


 名字は長いので。


「キエルと言うのか。よし、ではキエル。今日はもう休むがいい。今ダートンが部下達にそなたの部屋を用意させている所だ。最上級のもてなしをするつもりだが、何か不満があったらすぐに言うのだ。その要望には我が国全体を持って必ず応えてみせよう」


 豪快に笑うおっさんの姿はただの太っ腹な上司にしか見えない。が、どうやら俺は予想以上に歓迎されているようだ。『勇者』がどれだけ凄いのかはまだいまいち分からないけれど。

 ……あれ、ダートンだっけゴートンだっけ。


「元々部屋の準備自体はさせておった故もうすぐにでも通せるはずだ。リネア、案内して差し上げなさい」


「かしこまりました、お父様」


 王女は俺の前に立つと、


「ただいま勇者様を案内させていただく役目を――」


「分かったから早く案内してくれ」


 またしつこく説明を始めそうだったので、こっちからそれを遮断した。本当この王女めんどいな。





             ――――――――――★――――――――――





「ふっふっふ。どうやら天は我に味方したようだな」


 大聖堂を思わせるような広間に輝かしいまでのシャンデリア、外からの光を受けてその場所は神聖な雰囲気を纏っていた。


 純白の座には法衣のようなものを着た人物が満足げに立っている。


「こ、ここは……」


 そしてその下に、転がる人影が四つ。


 最初に口を開いたのはスクールカーストのトップに君臨していた男、国立海王だった。


「……ん? 何故四人おるのだ?」


 満足そうだった王様らしき人物が疑問の声を上げる。


「ん……」


 その声で起きたのか、海王の隣の時沢綾火と外森西治、それに佐々田友理が目を開けた。


「み、みんな大丈夫か!?」


 いち早く状況を察知した海王が皆に声をかける。


「あ、ああ、大丈夫だぜ」


「海王~、ここどこ~?」


「海王クン、何なのさ、ここ」


 海王の一声で三人が目を覚ました。


「お主ら、よく来てくれた。だがおかしいのだ。言い伝えによれば召喚される勇者は一人だけ。四人もおらぬはずなのだ。確かめてくれ。何、別に勇者でなくとも悪いようにはせぬ。きっとこの中に一人だけいるはずだからな。我らの国に繁栄をもたらす、『勇者』がっ!」


「あ、あの、何の事でしょうか」


 流石に状況を把握できていない海王が王様らしき人物に尋ねる。


「おう、そうだった。まだ説明しておらんかった」


 咳払いを一つして語り出す。


「お主らは『勇者』としてこの世界、『リアラース』に召喚されたのだ。我らが王国、クラソルテに繁栄をもたらす者として!」


「な、何をおっしゃっているのか分かりませんが……」


「お主らは我らが救世主なのだ!」


 話を聞く様子も無い王様である。


「な、なあ海王、これってもしかして、ほら、よくある転生ものってやつなんじゃ……」


 心配そうに外森が言った。


「転生もの……?」


 戸惑う海王。


「え? マジで? アタシ転生したん?」


 ハイテンションの佐々田。


「え? 何なに?」


 海王に張り付く時沢。


「そうだって! 俺ら勇者に転生したんだぜ!」


 興奮気味に言う外森。


「……そうか。そう言えばよく西治の家でやったゲームにもそういう話があったっけな」


 海王も少しずつ状況を飲み込んできたようである。


「ほう。中々状況把握能力に長けておるな、お主らは。しかし、もう一度言うが、本来召喚される『勇者』は一人のはずなのだ。だから確認してみてくれたまえ。自分の力が見たいと念じるのだ」


 まだ僅かに困惑の表情は残るが、


「やってみようぜ」


 外森が皆を促すと、それに乗じてやる気になってきたようだった。


「うお!? なんだこれ!?」


 真っ先に始めた外森が驚嘆の声を漏らす。




 名前  外森西治

 LV  252

 HP  60000/60000

 MP  20000/20000

 ATK 40300

 DEF 45700

 MAT 38700

 MDF 32400

 SPD 30300

 LUK A

 EXP UNKNOWN

特性魔法 チャージ 攻撃していない間攻撃力が次第に上がっていく。攻撃すると元に戻る。

 JOB 黒勇者




「何だこのステータス……」


 続いて海王も自身の力を把握する。




 名前  国立海王

 LV  265

HP  48000/48000

 MP  50000/50000

 ATK 45400

 DEF 45300

 MAT 38700

 MDF 44500

 SPD 39200

 LUK A

 EXP UNKNOWN

 特性魔法 エスケイプフレイム 火属性攻撃時全ステータスアップ、相手の攻撃を逸らす。

 JOB 黒勇者




「な、何だ……!?」


 海王は元々あまりゲームをする方では無かったが、外森の影響でそれなりに詳しくなっている。その概念からすると、目の前に現れた数字は規格外のものだった。


「わわっ!?」


 その海王の真似をしていた時沢が狼狽える。




 名前  時沢綾火

 LV  249

 HP  39000/39000

 MP  40000/40000

 ATK 38300

 DEF 39400

 MAT 37600

 MDF 39100

 SPD 35300

 LUK A

 EXP UNKNOWN

 特性魔法 マジックジェム 魔法攻撃を受けた時MP全回復、MAT、MDFアップ

 JOB 黒勇者



「え、何これ!? 海王、何これ!?」




「アタシもびっくり!」


 海王に縋る時沢の横で佐々田も驚きの声を上げる。




 名前  佐々田友理

 LV  260

 HP  40000/40000

 MP  50000/50000

 ATK 437000

 DEF 40200

 MAT 39800

 MDF 33200

 SPD 37000

 LUK A

 EXP UNKNOWN

 特性魔法 アビスボディ 攻撃を受けるとATKアップ、高確率で相手に状態異常

 JOB 黒勇者




「何なん、黒勇者って」


「何だろうな」


「海王~、黒勇者って何~?」


「いや俺にも分からないな。……あなたは何か知っているのではないですか、国王」


「お、お主ら……どんな力を持っておったのだ?」


 恐る恐る、国王が訊き返す。


「いやー、何かこの数字、普通ならあり得ないんだよな」


 最初に声を発したのは外森だ。


「だってさ、全ステータスが一万の位まであるんだぜ? どう考えてもおかしいだろ」


「ああ、俺のもそうだった」


「私も~」


「アタシも」


「な、なんと! それで、皆最後の行には……?」


「黒勇者って書いてあったぜ」


「俺も」


「私も~」


「アタシも」


 皆揃ってそう言うと、国王が暫く静止した。


「どうか、されたのですか?」


 海王が丁寧に訊くと国王は我を取り戻したようで、


「お、お主らまさか、全員『黒勇者』だと言うのか!? まさか、本当に、あ、ありえるのか、こんな事が……しかし、これが本当ならば我がクラソルテ王国は勝利したも同然! ふっふっふ! お主らよ! 実は勇者の部屋を一つしか用意しておらなんだ。故に少々時間がかかる。であるからその前にお主らの役目を簡単に話そう!」


 一人で物事を進めようとする国王に戸惑いを覚えながらも、四人は国王の指示に従って奥の部屋へと入っていった。



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