表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

企画三題噺「文化祭、レム睡眠、カギ」

文化祭、レム睡眠、カギ   雛菊立夏


 文化祭の準備中、仕事をしないで他人の邪魔をする人というのはよくいるが、宇山君はその典型例だった。

 班ごとに文化祭の準備をするのだが、宇山君と同じ班になった美里は、溜め息を繰りかえしていた。3人班であるはずなのに、1人は用事で作業に来られず、宇山君は美里の邪魔ばかりする。

「宇山君は邪魔しかしないわけ?」

宇山君を睨みつけながら言うと、宇山君は悪びれず、にやにやと笑った。

「いやー、横雲さんがやりたそうだから。あ、横雲さんのスマホ弄ってもいい?」

「好きにすれば」

美里はそう言うと、崩れるようにその場に顔を伏せた。邪魔が入りながら1人で作業をすることは、決して楽ではない。体力、精神力共に、限界が近かった。昨夜も夜遅くまでパソコンのキーボードを叩いていたのだ。眠くて仕方がない。

 それにしても、まさか宇山君がこんなに仕事をしない人だとは思わなかった。この作業が始まった時から今に至るまで、宇山君は終始勝手な行動ばかりしていた。美里のスマートフォンを好き勝手に操作し、美里をからかい、飽きるとゲームをし始める。

「横雲さん?」

宇山君の声が少し遠くに聞こえた。美里の意識が少しずつ遠のく。


 ――カシャッと音が聞こえ、レム睡眠中を彷徨っていた美里ははっと目を覚ました。目を開くと、目の前に宇山君のスマートフォンがあった。

「今、写真……」

「あ、横雲さんがぐっすり寝ているから、寝顔撮っちゃった」

今までも宇山君が自由すぎて嫌になったのは、1度や2度ではない。しかし、この瞬間ほど怒りと顔の火照りを感じたこともなかった。

「……人の肖像権を何だと思っていやがる!!」

美里の怒りを封じていた鍵が、カチッと音を立てた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ