僕は君と逝きたい
私が生まれたのは遠い果ての街。
そこでは生まれた時から所有者が決まる。
そこで私は太った貴族の子供のモノだった。
私は毎日毎日その所有者に嬲られた。
だけど、嫌じゃなかった
痛いのは嫌
苦しいのは嫌
だけど、あなたとなら…
俺が生まれてから常にとなりにはあいつがいた
そいつは俺のモノだった。
俺は何でも欲しければ手に入れれた
美味しいご飯も、面白いものも
だけど…コイツのことがわからなかった
だから、嬲った
ただ、それだけだった
なのに、こいつは嫌そうにはするけど…拒否だけはしなかった。
俺がブクブクに太って、親からも疎ましそうにされていても…こいつだけは変わらなかった。
モノ…だもんな…なにも感じないか…
ある日から所有者が人が変わったかのようになった
私を嬲らない
私を優しく扱う
どんどん痩せていく所有者
それに、私にいろんなことを教えてくれだした。
所有者が日に日に輝いていく…そんな所有者がどこか…羨ましかった。
俺はこいつに感情を与えてやろうと思った
なぜ、俺を嫌いにならないのか?
疎ましく思わないのかを聞きたくて。
こいつに優しくしてやった。
そして、俺は美味しいものを我慢した
こいつの生活に合わせてみた、こいつがどんな考えをしているのか知りたくて。
そして、こいつに俺が知り得る知識を与え…ソレが終わったあとにこいつがどうなるかを知りたくて俺は導いてやった。
所有者が急に周りに持て囃し出された
所有者はそれでも変わらない
私に優しく、それでいて強い
それに対して…私は醜い
俺が変わったことから周りが見る目を変えてきた
俺が痩せてから両親も変わった。
俺が優秀になった?
そんなわけはない
おれはただ、こいつを知りたいだけだ。
一番汚かった俺を変わらず見てくれたこいつを
ある日、所有者以外が近づいてきた
私を見て、なぜこのようなモノがここに?
そう呟いて、私はどこからかあらわれた私と同じものたちに捨てられた
私は…どうなるの?
俺がいない間に、俺の父が俺のモノを勝手に捨てた
俺は…何もかもがどうでもよくなった
なぜ、俺は生きてきた?
あいつを知るためだろう?
なぜあいつに知識を与えた?
俺のことを聞くためだろう?
なのに…もうあいつはいない…?
私は衰弱していた。
この街には所有者と、モノだけしかいない
私は誰のモノでもなくなった
そして汚い私を、所有者たちは拾うはずもない
モノに至っては考えることすら放棄しているのだろう
…なら、考えていることのできる私は?
俺は家を捨てた。
俺の居場所は最初からないんだ。
ならおれは最初に知りたかったあいつのことを考えた。
…一緒に居れて、嬉しかったんだ。
俺のことを全ての人が嫌いに思っている中で、あいつだけは「俺」だけを見てくれた。
そうか…俺は、あいつは俺の中で大切な存在になっていたのか?
…私は知った。
なぜ、嬲られても嫌じゃなかったのか…
それは、所有者がすき?だったからなんだ…
そっか…
俺はようやく見つけた
街の隅で転がってる死体に
それは…あいつだった。
俺の大切な人…
最後の最後に気づいた…大切な気持ち
いなくなって気づくなんて…ははははははははははははははは!!
俺は…馬鹿だ
す・・・・・き・・・・
したいだった
確かに死体だった
だけど俺は確かに聞いた
あ なた が・・・す・・き
…俺は君とずっといたかったんだ
君だけと…