表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/3

悪天使~天空戦争~ 3

悪天使~天空戦争~         3戦目・僕は…



 小さな窓から、夕日のような木漏れ日が差してきた。暖かく、柔らかな日差し。ずっと昼間だったと思ってたのに、夕暮れ時にもなるんだな。と言うことは、ここは人間界の逆に時が進むんだ。

 すうぅ、と窓から凍るような風が僕につらぬく。手がギンギンに冷たくなった。冷暖房が完備されてないのか。だんだんと、体力までもが奪われていく。

 コンコンコン。ドアが叩かれた。その数秒後、ギイィィ、と鈍ったような音を無理矢理立ててメザが入ってきた。体と顔の半分を壁に隠し、廊下の暗さで悲しんでいるみたいだった。メザは無言で10秒くらい立っていて、クイッっと指を曲げ、まるで『ついてこい』と言っているようだ。

 僕がついて行くと、メザはあの広場に案内された。そこには、さっきの4~5倍ほどの天使がいた。

アルエリや、リーズ=ファン、レディアさんにガジャル。何で…?

 よく見ると、ガジャルはなんだかうれしそうな楽しそうな顔をしていた。なんでガジャルだけ。

 ホラ貝の音が広場中に響き渡った。ブオオォォォォォォォォ。その瞬間に、ガジャルが唱えた。


「我の灯火、冠者の永久。ガジャルの名の本。みはらわん。」


_______________。唱えられた瞬間に広場から戦場へと変わった。


 地は火と化し、空は紅と化すその戦場には、2つの種族があった。天使と悪魔。対立しあうこの種族で戦争が起きた。何人も何十人も何百人もの人が倒れた。2つの種族の力は平等だった。互角に、ずっと、変わらない力で争ってきた。

 その2つの種族に、愛し合う1組の男女がいた。が、その2人は永遠に結ばれない運命だった。それはなぜか。男は悪魔、女は天使の種族だった。互いに殺し合う中の愛。許されることはならなかった。男は決意をした。

『___邪魔する物は、例え仲間でも切る。』

 女も決意した。そしてその夜、実行した。敵陣に背を向け、仲間の陣に表を向けた。わめきながら、謝りながら切ってゆく。悲鳴と、疑問と、恨みと、憎しみと、愛と。その他の感情がこぼれ、あふれ。

戦場は血に染まる。仲間と敵の血が、女と男の体はべっとりと血にまみれていた。ぬぐっても、ぬぐっても取れなかった。


その悪魔と天使は泣いた。思いっきり泣いた。2人きりになれたうれしさなのか、見方を殺めた罪のせいなのか、真珠のような大粒の涙が血の滴る地面にこぼれた。涙は血の色と化した。



______________その後、2人の間に子供ができた。


____________男の子だった。


_______名は・・・・・・・。利桜。



ふっと、戦場から広場に戻ると、力が抜けたように崩れた。

「ちっ。だから言ったんだ。人間は事実を受け止めることはできないとな!!」

 メザが大きく声を張り上げた。その声が合図になったのか、ざわざわとわめき始める。

「静かにっっっ!!!」

 レディアが声を上げると、しいんとなった。続けてレディアが問う。

「このあとの事実を聞くか?」

「1夜だけ待ってください。」

ここにいるのがなんだか申し訳なくて、悲しくて。

ふるえを止めるのに精一杯だった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ