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推しに殺される大罪人に転生。推しのために……  作者: 流庵
一章

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第〇四〇話 二体のゴーレム

 今日は朝から複数のゴーレムを動かす練習をしていたところ、アルカリオが来たということで研究室に案内するように指示を出した。


 アルカリオのところの従業員たちが布に包まれた大きな荷物を次々と運び入れる。


「ルーシャス様、大変遅くなり申し訳ございませんでした」


「リグナムバイタの加工が大変なのは理解している。予想より早かったくらいだ」


「ありがとうございます。なかなか難しい木材ですが、今回で扱いに慣れてきたというか、この歳で大きな成長を感じることができました。それにしても、この部屋は実に興味深いですな」


「ここはゴーレムの研究室だ。グリムノートも来てくれたのだな」


「アルカリオのやつがうるさくてな。まあ、来て正解だったようだが」


「ルーシャス様、ここに並べられているのは前回納めたマリオネットたちですが、どのような研究をされていたのか聞いてもよろしいでしょうか?」


「説明しよう」


 アルカリオとグリムノートに、木材による性能と相性について説明し、実演してみせる。


「なるほど、杖のようにマリオネット人形にも相性が存在するのですな?」


「そのようだ。俺の場合、アカシアとは相性が良くないようだ」


「杖でもアカシアは癖があると聞いたことがあります」


「そうなんだな。それでは、早速見せてもらっても良いか?」


「もちろんでございます。こちらの大きな包みがリグナムバイタ、小さな方がバルサとなります」


 リグナムバイタに巻かれた包みを開けると、紐で固定された球体関節人形が出てきた。


 身長二百センチのマッチョな戦士といった感じだろうか。


「俺の図面より戦士っぽいフォルムだな」


「二体の人形を作っているうちに、木材がこう作ってくれと語り掛けてくるような不思議な感覚になりまして、それに従った結果、こうなりました」


 木の声が聞こえるというやつか?


「リグナムバイタの重くて硬い特性を活かせそうなフォルムだ。問題ないだろう。次はバルサの方だな」


 バルサに巻かれた包みを開ける。


「……フォルムが女性になっている」


 軽さを活かすために細身のゴーレムを設計したが、胸まであり、完全に女性の体型だ。


「そちらはリグナムバイタの後に作ったのですが、気づいたらこの形になっていまして。材料がもうなかったため、現在取り寄せている最中ですので、繋ぎで使っていただければと」


「なるほど、そういうことか。アルカリオが木の声に従って作ったのならこれで構わない」


「よろしいのですか?」


「木にも意思があることはゴーレム作りで理解している。スギやバルサも女性っぽい動きがあるから、これが正解かもしれない」


「なるほど、スギからもですか。今後扱う際は注意いたします」


「それでは早速ゴーレムを生成するか」


「私たちがいてもよろしいので?」


「構わない。このゴーレムの完成を見届けるがいい」


 まずは二体の人形に、いつもより入念に魔力を浸透させる。木目が消え、石のときのように色が変わった。


「ルシャ様……」


「ルーシャス様、今のは何を?」


「ゴーレムを生成するには魔力が浸透した素材が必要だ。そのため俺の余る魔力を浸透させたが、多すぎたせいで見た目が少し変わったようだ」


「木目がなくなり、より強くなったのかもしれませんな」


「なるほどな」


 次に大きな虹色の魔石を取り出し詠唱し、二体のゴーレムを完成させる。


「スヴェル、アイギス起動!」


 リグナムバイタのゴーレムをスヴェル、バルサのゴーレムをアイギスと名付けた。二体のゴーレムはスムーズに立ち上がり、青い瞳のようなものまである。


「ゴーレムの動きには見えませんな」


「さっきの詠唱からすると、映像を飛ばすことに成功したみたいだな」


「グリムノートにあれだけヒントをもらって、できなかったら格好がつかないからな」


「なるほど、アルカリオの言う通りだったか」


「そうでしょ? 初めて店を開いたときのように、わくわくしています」


「ヒントを与えたつもりが逆にヒントをもらうことになるとは、ゴーレムも魔道具もまだまだ進化しそうだ」


「リリアナ、性能を試したいのだが、どこか良い場所はないか?」


「この屋敷の横で大丈夫でしょう」



 ◆ ◆ ◆



 リリアナに案内され、屋敷の横へやって来たが、ゴーレムの移動の仕方がまるで人間のようだった。


「ルシャ様、その二体のゴーレムは服を着させた方が良いのではないでしょうか?」


「そうか?」


「最低でもアイギスの方は必要でしょう」


「その辺はリリアナに任せた」


「畏まりました」


 俺にはゴーレムにしか見えないが、リリアナはどうやら気になるようだ。


「さて、それでは動きを見てみるか」


 二体のゴーレムと、普通の白いゴーレムの動きを比べることにした。


 

 ◆ ◆ ◆



「これは進化とか生易しいものではありませんな」


「進化というなら、その白いストーンゴーレムでも十分すぎるだろう」


 アルカリオとグリムノートにも好評なようだ。


「確かに動きはすごいが、これでは俺の指示が間に合わない」


「特にアイギスは動きが素早いだけに、ルシャ様の指示待ち時間が長く感じますね」


「もう少し単純な命令で、ある程度動かせるようにするのが課題だな。保存機能を利用して動きの型でも作り、覚えさせるか」


「確か、マリオネットのスキルを使う者は、コンボという動きの組み合わせを覚えると聞いたことがあります」


「コンボ、そういうのがあるのか?」


 アルカリオはマリオネット人形を作っているだけあり、詳しいようだ。


 マリオネット自体にはそのような機能はないが、マリオネットのスキルで覚えられるのだろう。似たような機能をゴーレムでも再現できないだろうか?

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