025:謎も解けずにいろいろ気が散る
待ての勇者と急ぎの姫騎士
025:謎も解けずにいろいろ気が散る
太田道灌とロン毛の女……二つの銅像の前を行ったり来たり、時々、少し下がって両方を視界に収める……それぞれを穴のあくほど見つめる、眺めまわす……しかしわからない(ー"ー;)。
なんだか、セリフを忘れたホームズ役の役者みたいだ。
しかし、ここにはプロンプターも居なければ、こっそり教えてくれるベテランの出演者も居ない。
もう何杯目なのか、お茶を飲みながらオレの閃きなんだか覚醒なんだかを待っている戦乙女と無口なメイド。
「すまん、さすがに溜まってきた。トイレを出してくれるか」
「あ、ああ、迷子になっちゃいけないから、すぐそこな……」
腕を組んだまま指を動かしてトイレを出してやる。
「お手伝いしましょうか?」
甲冑姿では大変だろうとエマが声をかける。
いつもは、少し離れて隠れたところにトイレを出してやるんだが、なんせ謎かけ魔物 リーツセルの罠にはまっている。二十坪あるかないかの原っぱだ、建売の工事現場の仮設トイレ同然で、有能なメイドとしては気になるのだろう。
「慣れている、大丈夫だ」
その言葉通り、三十秒ほどで出てくる。
「え、早!」
「いまさら驚くことでもあるまい」
いや、いつもは、こちらが気づく間もなく済ませているんで気が付く暇もないんだが、すぐそこのトイレに入ったと思ったら出てくるんだ。エマも驚く。
「魔法の一種でございますか?」
「いいや、普通だぞ」
「しかし、その甲冑をお召しになっていては……」
「ああ、パンツに切れ込みがあってな……」
すごいことを言う(;'∀')。
「しゃがむとか座るとかすると、少し手を添えるだけで……中の下着は……こうなって……」
「なるほどぉ……」
ん(#¬¬*)
「そういえば、エマは用を足しているところをみたことがないぞ」
ヒルデが聞き返す。
「バンシーでございますから」
「え、バンシーというのは用を足さないのか!?」
「はい、摂取したエネルギーは全て、家事やご主人様のお世話に使ってしまいます」
「それは羨ましい! ブァルキリーの戦士でも100%のエネルギー変換はできないのだ。いちど、その体、調べさせてくれ!」
「え、いえ、それは(#;'∀'#)」
「おい、おまえら……」
「すまん邪魔をした」「申し訳ありません」
…………………………( ᯣ – ᯣ )( ᯣ – ᯣ )
「いや、そんなに見つめられてもなあ(^^;)」
「むつかしいことを言うやつだ」
「では、もう一度お茶を。スグル様も一度お休みになって……」
「ありがとう、もう少し頑張ってみるよ」
それ以上の話は控えて、再び謎解きに没頭する……。
が、なにも浮かんではこない(-_-;)。
ウ~~~~~ン
暗くならないように気をつけがら気合を入れなおす。
ボヤ~~~~ン
俺の気合に合わせるような緩さで人の影が現れ——魔物め! 姿を現したか!?——俺も、ギャラリーの二人も一瞬で身構える。
「あ、女神ではないか!?」
ヒルデが真っ先に影の正体に気づいて駆け寄ってくる。
シルエットだった女神はたちまち姿を明らかにした……のだが、なんだか様子がおかしい。
両足を踏ん張って地中のなにかを引っ張り上げているようで、綱引きのアンカーのように顔を赤くしている。
「や、やあ……ご無沙汰ぁ(#^▭^#)」
力みながらも、なんだかバツの悪そうな女神だった。
☆彡 主な登場人物
・鈴木 秀 三十路目前のフリーター
・ブリュンヒルデ ブァルキリーの戦乙女
・エマ バンシーのメイド
・女神 異世界転生の境に立つ正体不明の女神
・ハンス・バウマン ズィッヒャーブルグのギルドマスター
・フンメル 西の墓地に葬られている一万年前の勇者
・カルマ フンメルとパーティーを組んでいたエルフの魔法使い
・秀の友人たち アキ 田中




