表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

雨を編むひと

作者: hi2mi

あなたと会う日はいつも雨が降っていた。

あなたは何をしているの?

私が聞くとあなたは答える。

雨を編んでいるんだ。

へえ。

とても短い会話だった。

その後には雨が地を打つ音だけが響く。

傘をさした私だけが世界から切り離されたように感じられた。

あなたはなんでこんなところにいるの?

ここにしかいられないからさ。

傘もさしてないで、風邪引くわよ。

いいんだ。

何が良いのかわからなかったけど、あなた自身がそういうなら良いんだろう。

そう思ってあなたの目の中を去った。

あなたはまた俯いた。


雨の日だった。

いつものあの場所に彼はいなかった。

冷たい雨が傘を打つ。

涙は時々雨に例えられる。

あれは彼の涙だ。

そう気づいても、無機質な涙は一本の糸のように降り注ぐ。

雨は彼を失った。


雨は地に落ち、また空へ戻る。

そして何もなかったかのように降り注ぐ。

彼が雨を編むひとでなくなったなら。

水に濡れたそこにあなたのように座り込んだ。

顔を上げるとあなたがいた。

あなたは何をしているの?

雨を編んでいるんだ。


雨がまた地を打った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ