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第2話新入生代表との邂逅1

 入学して、1か月。俺は既に5個の仕事を成し遂げた。まず、来月開かれる体育祭の障害物競走に実験台。まず、この地点でおかしい。その次に、プール掃除(何故か一人。)、学食の新作コンペに4作出す。(ここで初めて料理をした。)。林間学校の委員会に強制加入。そして強制的に委員長に。(いじめかな?)最後に、保健委員になる。(先生がごねた結果。)しかも、週五回活動を入れられる。(泣きたい。)


 助けて。


「あの、いやマジで、委員会系はいいですよ。百歩譲って。でもさ、障害物競走の実験台にするのは横暴すぎませんか!?マジで骨折しかけましたけど!?擦り傷切り傷で済んだのが、奇跡ですよ!!」

「まぁ、文芸部ですし。その程度の怪我なら、体育祭でも数人が骨折程度で済みますねぇ~。ハハハハ!!!」

「笑いごとかぁ~!!!」


 これに関しては、体育祭実行委員会の委員長をタコ殴りした。その後、校長に呼ばれたけど、お咎めはなしだった、その代わりにプール掃除をさせられた、一人で。解せぬ。


 まぁ、そこから横暴な保健委員の仕事とかをこなしたりして、入学から3週間、気が付けば桜も散って、葉桜に生え変わり始めていた。その日の放課後、活動終了5分前に、ある生徒が、部室に入ってきた。


「失礼するわ。」

「邪魔するなら帰って~。」

「………」

「マジすんません。えっと、何の用か分からんので、一旦座ってもらっても?」

「えぇ、失礼するわ。」


 なんか、入学式の答辞で代表生徒になった生徒が目の前にいるんだけど。俺、今から処されるの?確か、この人生徒会よな?何、文芸部もしかして廃部されるのか??


「とりあえず、名前を伺っても?」

「一応、同じ学年で、答辞もやってるから流石に分かると思うのだけど。」

「済まん。色々あって記憶にない。本当に。」

「………そう。私は、和泉雪いずみゆき。よろしく。」

「あぁ、文芸部の内間修一だ。よろしく、和泉さん。それで、本題を。」

「えぇ、そうね。実は料理を教えてほしいの。」

「………はい??」


 淡々と依頼内容を言われて俺は、呆然とするしかできなかった。和泉さんの家はとても大きく、東北の企業で関わっていないものはないと呼ばれている和泉財閥のご令嬢だったりする。


「まぁ、理由があるなら聞きたいんだけどどうして料理を。」

「前のお礼もかねて、料理を作りたいのよ。」

「ほう、お礼を兼ねてね。ちなみに、その料理は何かな?」

「マカロンよ。」

「………へ?」

「だから、マカロンよ。」


 ど~しよ~う。俺、お菓子作りしたこと無いんだけど。ドラ〇も~ん!!助けてぇ~!!!

 そんなこんなで、期限は週末と呼ばれ、俺は睡眠八時間をしながら、マカロンの制作に精を出していった。



-----------------------------

 はい、土曜日です。期日です。助けてください。今俺の家の前には、何か現実味のないクソ長リムジンが家の前に止まっている件。部屋から見る俺、遠い目になる。経済格差って、人生でここまでの差を味わうとは。今後ないし、拝んでおこう。


「あの、インターホンが鳴ってるんだから、普通出なさいよ。」

「………っ!?!?!?あの!和泉さん!!どっから入ってるの!!」

「どこからって、玄関でしょ?ここ。」

「窓だよ!!玄関は、下だよ。」

「あら、ごめんなさい。わざとよ。」

「わざとかよっ!」

「とにかく、早く準備して頂戴。行くわよ。」

「行くわよって、どこにだよ。」

「とにかく、何も言わず、ついていきなさい。セバス!!」

「ハハッ。」


 簀巻きにグルグル巻きにされてセバスと呼ばれる男に担がれながら、俺はリムジンに突っ込まれた。………入学一か月で身体の不自由を強制されるイベントに2回も遭遇するって普通に考えてありえなくね。まぁ、すぐに解除されて、紅茶を差し出されただけましなんだけど。初回は………うん、思い出したくもない。


「あの、和泉さん。質問よろしいでしょうか。」

「いいわ。何でも答えるわよ。スリーサイズから貯蓄まで。」

「………何か、聞いたこともあるし既視感もあるけど無視しよう。この紅茶。やけにおいしいんですけど。」

「あぁ、Tea For〇eのダージリンを使っているの。」

「………あの、そこって世界の紅茶市場の1% しか出回ってないと言われる、その紅茶ですか?」

「えぇ、その紅茶よ。………それにしても内間君、どうしてそんなに震えてるのかしら。紅茶がカップから零れかけてるわよ。」

「い、いやぁ~。そそ、そんなこと無いと思うんですけどねぇ~。」


 いや、いきなり事実伝えられてビビってる訳じゃ無いんだからねっ!!………えっ?男のツンデレには興味ないって?何か、ごめん。まぁ、戦々恐々としながら紅茶と、高そうなお茶菓子を摘まんでいたら、この街の中でも最も大きい住宅に、リムジンが入っていった。


「………デカすぎんだろ。」

「あら、そんなにこの家が大きいかしら。」

「少なくとも、周辺の住宅街を見たら5から6倍の土地を占めているお前の家は十分に豪邸だよ。」

「そう、それじゃ、そろそろ着くから。セバス、内間のことを再び簀巻きに巻いときなさい。」

「かしこまりました。」

「………かしこまりました、じゃあ、ないんだよなぁ~。」

「何?貴方は、初見の家で迷わない自信でも有るのかしら?」

「………おとなしく、簀巻きにされています。」


 諦めるしかできなかった。しょうがないじゃん。あの家、絶対好奇心働いて、違う部屋に行きそうだし。楽しそうじゃん!!豪邸探索なんて!!夢のまた夢みたいな環境が現実に転がってるんだぞ。

 まぁ、そんなことやる前に、あくまで依頼だし、変なもの見て、財閥特有の都合の悪い人がいたら抹消するとか、シャレにならない対策には、簀巻きがうってつけだったんで、とりあえず、セバスさんには迷惑をかけるが大人しく、簀巻きにされ、和泉家内に担がれて入っていくのでしたとさ。

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