エピソード3 内秘心書
俺の名前は、門平純
俺は吹奏楽部に興味を持っていて、本当は入りたいのだけれど、周りと連携して何かを成し遂げなきゃいけないこと…それはつまり、自分のミスで周りに迷惑をかけてしまうことに怯えて、吹奏楽部に入れないでいる。
中学一年生の夏、友達のお姉さんが、吹奏楽の大会の手伝いを探しているとのことで、吹奏楽部に憧れがあった俺は、荷物運びの手伝いをさせてもらった。
手伝いが終わった後は、お姉さん達の演奏を観ようとコンサートホールの座れる場所を探す。
空いてる席があったので、座ると、前の席に座っている同い年くらいの奴が いびきを鳴らしながら爆睡していた。
あまりにもうるさくて、集中して演奏を聴けなかったことが悔しい。
…うちの学校では見たことないと思うので他中学の生徒だと思う。
俺は結局、チームプレイに自信が持てなかったので、帰宅部のままでもよかったのだが、先生から内申点に関わると聞いたので、ソロでもやれる部活を探した。
尚且つ 俺は足が早かったので、とりあえず陸上部に入り短距離をすることになる。
それでも音楽への憧れは捨てきれないのと、従兄弟の兄さんがバンドやっていたものだから、その影響もあってか、俺はギターを始めていた。
そんな中、中学二年生の夏、またもや お手伝いの話を頂いたので、今回もコンサートホールで荷物運びをさせてもらうことに。
ある程度、荷物運びも終わり、空き時間が出来た。
そんな時、友達のお姉さんが、
「ジュンくん、ギター弾けるらしいね!ちょっと弾いてみてよ!」
と言ったので、
「簡単なコードくらいしか弾けませんよ?」
と伝えた。
それでも大丈夫だよとお姉さんはニコッとしたので、少しドキッとしながら、俺は吹奏楽部のギターを借りて、コードを幾つか弾いてみることにする。
すると、そのコードに合わせて、お姉さんがトランペットでメロディを奏でてくれた。
それが凄く心地良くて、凄く楽しかった。
やっぱり吹奏楽への憧れが強くなってしまう。
…俺、高校は吹奏楽部に入る。
自分の中でそう決めた。
…メンタル強くしとこう。
そして月日が経ち、中学三年生を迎える。
なんと吹奏楽部が強豪で有名な女子高の西高が来年から共学になるとのことだ。
受かれば、高校三年生になったお姉さんと一緒にまた演奏出来る。
それが俺のモチベーションになっていた。
必ず西高校に入学する!