エピソード0 エトセトラ
小さい頃…いや、少し前まで、頑張れば何にでもなれると思っていた。
厳密に言えば、そう信じていたのかもしれない。
"何者かになりたい"
そんなアバウトな感覚で、いつの間にか、夢を見て、現実に裏切られ、自分の才能や限界を突きつけられ、何者にもなれないことを、なぜか苦しんだ。
テレビやYouTube、憧れたミュージシャンやスポーツ選手、アニメに漫画に映画、とにかく それらが全部、いつの間にか、ただ普通に生きるということを無価値なものだと思わせていたんだと思う。
"何者かじゃなきゃいけない"
そう錯覚してしまっていたんだ。
俺も、きっと あなたも、君も、お前も、あいつも、彼らも、彼女らも、嫌いな奴も、大好きなあの人も、皆、ただ普通に生きることを どこか、つまらないものだと思い込んでしまっているのかもしれない。
他の誰でもない 自分の人生を全うすること が つまらないはずがないのに。
少なくとも、そんな葛藤の中を俺もあいつも全力で生きて駆け抜けて来た。
振り返れば毎日に意味があって、暑苦しいほどに尊く、輝いていたように思える。
これは、何者かに憧れた 僕らの 少しロックな 青春ストーリー。