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その名はパンモロ探偵

「それがこの事件の真相です!」

 下木ノゾムは自身の推理を披露していた。大きな館のエントランスに集められた屋敷の住人はそれを固唾を飲んで見守っていた。

 ノゾムの格好は至ってシンプル。上下を紺色のスーツでキッチリ決めており、片方だけ前髪を下ろしたスッキリとした髪型に、左目だけにつけられた特徴的なモノクルが印象的な男性である。

 必死の弁明も虚しく事件の犯人は警察に連れて行かれた。屋敷の女主人は泣きながらノゾムに握手した。

「ありがとうございます、これで主人が浮かばれます」

「いえ、これが仕事ですから」

「ありがとうございます、ノゾムさん。いいえ、パンモロ探偵」

 そう、この男こそ日本で言わずと知れた名探偵。下木ノゾムである。

 全国各地から事件の調査を依頼され名探偵の名に恥じぬ活躍を見せていた。彼は事件の真相をパンモロの如く包み隠さず暴いてしまう為、人は皆尊敬の念と畏怖を込めて彼をパンモロ探偵と呼んでいる。

 彼によってパンモロにされた犯人は数知れず、今や警察さえも彼に協力要請をする程になっていた。今回の事件も警察からの要請で駆けつけて見事解決に導いたのだ。

「ノゾムさん!本日はご協力ありがとうございました!」

 警官達がノゾムに敬礼をした。これ場面だけでノゾムがどれだけ警察に頼りにされ、信頼されているかが分かる。

 ノゾムは微笑みながら警察の敬礼に応えた。

「いいえ、皆さんのチカラがあってこそです。僕一人だけでは解決に導けませんでした」

「そんなご謙遜を、今日の推理もパンモロの如く真実を暴いた見事なものでした」

 中年の警部もノゾムに対しては尊敬の念を抱いている。この言葉もゴマスリやおべっかでは無く心からの感想である。

「ありがとうございます、警部」

「それにしても今回も見事なパンモロでしたな」

「僕にはこれしか出来ませんから」

 ノゾムが警部と話していた次の瞬間、ノゾムの足元に光輝く魔法陣が現れた。

「きゃあ!!」「なんだこれは!」「光ってる!」「大丈夫ですか!」

 警官も屋敷の住人も慌てている。誰もがこんな状況は初めてである。ゆかに現れた魔法陣はノゾムを怪しい光で包んでいる。

「僕から離れて下さい!誰かが僕を呼んでるみたいです」

「呼んでいるって、いったい誰が?」

 警部はノゾムが言っている事が分からない。いや、この中の誰もが分からないだろう。

 ノゾムは手を伸ばして皆を近づかない様に制止した。こんな状況でもノゾムは至って冷静である。

「パンチラさせる突風の様に急な事ですが失礼します。どうやら何処から違う世界から僕に依頼があるようなそんな気がします」

「違う世界とは!」

「分かりません、ただ一つ変わらないことは、僕は何処であっても真実とパンツをモロ出しにさせるだけです」

 そう言うとノゾムの姿は光に包まれ消えてしまった。魔法陣も跡形もなく消えていつもの屋敷のエントランスに戻ってしまった。誰一人この状況を理解出来ていない。

「ノゾム君、もはや君はこの日本にすら収まらないと言う事か……まるでパンツからイチモツがはみ出る様に……」

 警部はそう呟き、天を仰いだ。

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