1
突然ではあるが俺は婚約者との結婚式を控えている。
だが彼女の側のスピーチを頼もうとしていた人たちが私用で出席できないとのことだった。じゃあ、他の人に頼んでみようか。となったようだが、「荷が重い」「私よりもっといい人いるよ」となんだかんだ断られているようだった。まあ、結構準備大変そうだしな。結婚式のスピーチやったことないけど。ちなみに、俺はスピーチは中学からの友達にお願いしたら快諾してもらえた。ありがとう、友よ。
スピーチの人が決まらないというのは問題ではあったが、まあなんとかなるだろう。とりあえず、彼女側の欠席が多く人数が想定よりも少なくなるということが分かった。大変だ、プランの変更もした方がいいんじゃないだろうか。なんて軽く考えていた。
「まずいんじゃないか?」
「何が?」
彼女側の参列者が思っていたよりも少ない、プランの変更は早めにしなきゃいけないなー。ということを友人と呑みにきてその話をした。すると友人はなぜかとても心配そうな顔をしていた。そんなに気にすることか?
「いや、俺の会社の先輩の結婚式の話なんだけどさ。新婦側の参列者が異様に少なかったんだよ」
友人は少しばかり言いにくそうにして話し始めた。
「でも俺も会社の人も先輩の友達だって、参加者少ないな。っていうくらいで特に何も考えていなかったんだ」
今にしてみればもう少し考えていればよかった、友人はぼそりとつぶやいて言葉を続けた。
「結婚式も入籍も終わった後に先輩の嫁さんがバツイチだっていうことがわかったんだ」
衝撃の事実。しかし、友人は俺に休む暇を与えてはくれなかった。
「しかも嫁さんの不倫が原因」
えっもしかしてその不倫相手が先輩?なんて言う泥沼なんだと思った、が。
「ではなかったんだ。その離婚の原因になった男とはとっくにきれているみたいなんだが、慰謝料や養育費も支払っているようなんだ」
養育費?子供いるの!?子供いるの!?大事なことなので2回言う。
「そう、前の旦那さんとの間に」
それらを先輩に一切言わずに結婚、再婚したの!?
「そう。しかも、慰謝料と養育費は嫁さんの両親が一括で支払ったみたいで嫁さんが少しづつご両親に返済しているということらしい。そういうことがあって、嫁さんと両親はほぼ絶縁関係にあるらしい」
なんでそんな状態で結婚しようなんて考えたんだろうか、その疑問は友人がすぐに解決してくれた。
「こういったことがあって結婚、いや再婚か。再婚のことが知られれば両親に反対される。でも孫ができれば両親はきっと許してくれる!みたいなことで再婚したみたいだ。
そういったことがあったから不倫を含めた諸々を知っていた友人知人はもちろん出席しなかったみたいだし、それに加えて両親に告げ口、反対されることを恐れて親戚にはほとんど招待状を送らなかったから参列者が少なかったということが後に分かった」
参列者が少なかった理由ってそいうこと!?時間差でやってくる驚き。
「そういうことがあったから、結婚式の参列者が少ないっていうのはあまり楽観視はできないと思っている、俺は」
友人は言いずらそうに告げる。
「信頼しているのはわかる。でも、思っていた以上に結婚式の参列者が少ないっているのは少し考えるか、調べた方がいい」
俺の先輩のこともあるし。と小声で言っていたのが聞こえた。あまり言わないが同じ職場だ、いろいろあったんだろう。そんなことが彼の声色からもかんじとれた。その声色に、このままではいけないという焦りがつつかれるようだった。
閲覧ありがとうございます。
面白かったら評価、ブックマークお願いします。




