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禁域  作者: 禅海
第二章
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85


 二


 F市街の外れにある、忘れ去られたようにほとんどもぬけの殻の古い映画館の劇場では、岩壁のように巨大なスクリーンが、感情を失ったような虚ろさで、他人のために白光を放つ奴隷労働を指示されるがまま続けていた。階段になった床のカーペットは所々剥げて、たばこの吸い殻やつぶれた空き缶が座席の下にほったらかされて、もうずっと遠い昔に見捨てられた華やかな歓楽街の夢の跡は悲惨極まりない。

 私の趣味(今では広告収入を支える重要資源)が映画鑑賞でもない限り、また私が些細な雑沓をことのほか嫌っているためでない限り、このような極めて薄汚れた人権侵害レベルの監獄のような場所に、二度三度と足を運び続けるようなこともなかっただろうに。


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