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それにしても結局のところ私はいつまで経っても、私を取り巻く周囲の人々と、そして何より私自身を欺くことに、そう思い込むこと自体含めて、長け続けていなければなかった。私はいつも、人生という名の壮大な自殺の中で、普通・常識という烙印を冠した仮面を被り、そのもっとも難解な演劇を続けている。
まさかこの演劇が、観客の誰一人として思いがけない、私が憧れを寄せる、沈鬱な・華麗な死によって締めくくられるだろうなどとは、誰も予想だにしないだろうと期待しながら。
……さて、この演技を上達させる上で強く感化された、寺山修司氏のある詩の節を、ここに書き留めておこう。
ぼくは不完全な死体として生まれ
何十年かかゝって
完全な死体となるのである
~
ぼくは
世界の涯てが
自分自身のなかにしかないことを
知っていたのだ