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今日は金曜日、明日高校は珍しく課外授業がない土曜休みである。課外がないということよりも、私と仲の良い友人ということになっている同級生たち、自分に目をかけてくれている担任教師、その誰にも会わなくて良いことがこの上なく嬉しい。折角だから明日はいつもの映画館に映画を観に行こう。
あの賑やかな休日の街中を抜けて、その賑やかさとは全く無縁な寂れた映画館に。ああ、けれどできれば明日は雨が降っていてほしい。雨が降る日は、騒がしい幸せそうな雑沓の中をかき分けて行かなくていい。街中に出てそこで私が不幸だと悟る苦行には、いつまでたっても慣れる気がしない。私だけが不幸であるなんて嫌だ。
ただだからといって他人が不幸であればいいなどとも思いはしない。私はただ、私が不幸であること、そして他人が幸せであることが嫌なのだ。