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……私が自分自身をいかにも創作好きな人間のように装い、実際は典型的な妄想趣味の異常者であることを孤独に自覚し、あのさもしい文章に一種の社会への憎まれ口や恨み言とでもいうべきものを書きしたためているに過ぎないように、世界に対する憎しみや恨みが多少なり私を支配している以上、この世界に溢れる者に対して何らかの承認欲や自己実現欲など覚えるはずもなく、また余計な物欲すら悲しいくらいに生まれない。
きっと欲というものは必ずしも現実に対する諦念に優越しないのだ。だから広告収入の預金額は減るはずもなく寧ろ増えるばかりで、それこそノーベル財団の銀行口座のような底無しの金鉱床だ。唯一気がかりな田舎じゃ高額な私立高校の学費だって、少し学業成績がマシだったおかげで、他生徒の学費で予算される全額免除制度を受けることになり無用だった。